三重県個人情報保護審査会 答申第44号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った不存在決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年11月1日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った以下の4件の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年12月15日付けで行った不存在決定の取消しを求めるというものである。
- 請求者が告訴した平成○年○月○日の強盗事件について三重県職員が検察庁に提出した書類のうち平成16年度提出の物
- 請求者が告訴した平成○年○月○日の強盗事件について三重県職員が検察庁に提出した書類のうち平成17年度提出の物
- 請求者が告訴した平成○年○月○日の強盗事件について三重県職員が警察に提出した書類のうち平成13~16年度提出の物
- 請求者が告訴した平成○年○月○日の強盗事件について三重県職員が警察に提出した書類のうち平成12年度提出の物
3 実施機関の不存在理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
本請求にかかる文書は存在しない。また、どのようなものが警察または検察庁に提出されたかは認知していない。
異議申立人のいう強盗事件は、テープを取り上げたことであり、そのことは公務遂行の一環として行ったことであることが実施機関に報告されている。警察、検察庁への書類提出についての報告ではない。この件ついて実施機関として事件性を認識していないため、刑事事件について特段の報告を求めていない。
4 異議・\立ての理由
異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
異議申立人は検察庁、警察に三重県職員○○○○と○○○○と○○○○、○○○○が書類を提出したのを確認している。したがって、実施機関の文書不存在とは虚偽の決定である。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
異議申立人は、三重県職員が書類を提出したのを確認していると主張する。
しかしながら、本事件により告訴されたのは実施機関ではなく、特定の個人であることから、本件開示請求に係る提出書類は実施機関として提出されたものではなく、個人として提出されたものであると認められる。
また、告訴の原因となった異議申立人のいう強盗事件について、実施機関は事件性を認識していなかったのであるから、実施機関が検察庁、警察への書類提出について報告を求めていないことや、個人がどのような書類を検察庁、警察に提出したか認知していないという実施機関の説明に特段の不合理な点は認められない。
以上のことから、警察あるいは検察庁に提出した書類は実施機関には存在しないという実施機関の説明に特段の不合理な点は認められず、実施機関の行った不存在決定は妥当である。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成18年7月7日 | ・ 諮問書の受理 |
平成18年8月7日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成18年8月17日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成18年 8月28日 | ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、 意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成18年 9月1日 | ・ 意見書の受理 |
平成20年 5月26日 | ・ 書面審理・ 実施機関の補足説明 ・ 審議(第58回個人情報保護審査会) |
平成20年 6月30日 | ・ 審議(第59回個人情報保護審査会) |
平成20年 8月1日 | ・ 審議・ 答申(第60回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部准教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科准教授 |
委員 | 安田 千代 | 司法書士、行政書士 |