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平成21年02月17日

情報公開・個人情報保護

三重県個人情報保護審査会 答申第42号

答申

1 審査会の結論

実施機関が行った非訂正決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年11月13日、11月15日、11月17日、11月19日、11月20日、11月23日、11月24日、11月25日、11月27日、11月29日、12月4日、12月6日、12月7日及び12月8日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の2つの裁判に関して裁判所に提出した準備書面等」の訂正請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年12月12日付けで行った非訂正決定の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の主張

実施機関が非訂正決定通知書、理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。

異議申立人から訂正請求があった答弁書等これらの書類については、訴訟上の主張であるから、訴訟の相手方当事者が見解に相違がある場合は、裁判の過程で吟味、判断されるべきであり、当該訴訟とは全く別の制度である個人情報保護制度によって、その主張の訂正を求めることは、同制度の本来の趣旨を逸した請求であり、認められるものではない。

裁判制度で時間と労力をかけて事実を明らかにしようとしているものを個人情報保護条例の制度を使って同じようなことをすることは制度上無駄や矛盾がある。

個人情報保護条例の制度を適用したとしても、裁判所に提出する答弁書等は主張なので訂正請求になじまない。

4 異議申立人の主張

  1. 異議申立人が訂正請求書において主張している訂正を求める箇所及び訂正請求の内容は別紙1のとおり要約される。
  2. 異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している内容は、以下のように要約される。

 実施機関が訴訟に提出した文書は公文書であり、公文書の記述が事実と異なることを証する書類を添え、あるいは公文書に相反し矛盾する記述があり不条理であるから訂正を請求したものである。被告らと「見解の相違」があるから訂正請求を行ったものではない。

5 審査会の判断

(1) 個人情報の訂正請求権について

 条例第30条は、「何人も、条例第26条第1項又は第27条第3項の規定により開示を受けた保有個人情報に事実の誤りがあると認めるときは、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、その訂正(追加及び削除を含む。)を請求することができる。」旨を規定し、実施機関から開示を受けた自己に関する保有個人情報に事実の誤りがあると認めるときは、その訂正を請求することを権利として認めている。

 「事実の誤り」とは、氏名、住所、年齢、職歴、資格等の客観的な正誤の判定になじむ事項に誤りがあることをいう。したがって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については、訂正請求の対象とすることはできないため、評価等に関する個人情報の訂正請求については、訂正を拒否することになる。

(2) 訂正請求の手続きについて

  条例第31条第1項は、「訂正請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を実施機関に提出しなければならない。」と規定し、同項第5号に「訂正請求の内容」をあげ、当該事項を訂正請求書に記載すべき事項と定めている。「訂正請求の内容」とは、訂正が必要な箇所及び訂正すべき内容をいう。また、同条第2項は、「訂正請求をしようとする者は、実施機関に対し、当該訂正請求の内容が事実と合致することを証明する書類等を提示しなければならない。」と規定している。

(3) 個人情報の訂正義務について

  条例第32条は、「実施機関は、訂正請求があった場合において、必要な調査を行い、当該訂正請求の内容が事実と合致することが判明したときは、当該訂正請求に係る保有個人情報が次の各号のいずれかに該当するときを除き、当該保有個人情報を訂正しなければならない。」と規定し、同条第1号で「法令等の定めるところにより訂正をすることができないとされているとき」、同条第2号で「実施機関に訂正の権限がないとき」、同条第3号で「その他訂正しないことについて正当な理由があるとき」と定めている。

(4) 本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、特定の裁判に関して実施機関らが裁判所に提出した平成○年○月○日付け答弁書、平成○年○月○日付け準備書面、及び平成○年○月○日付け準備書面等の記述である。

当審査会で本件答弁書及び準備書面を見分すると、診断書等の証拠書類に基づく事実に関する主張や、その評価及び原告である異議申立人の主張に対する評価などが記載されている。

(5) 保有個人情報の非訂正の妥当性について

 実施機関は、裁判所に提出した答弁書等これらの書類は訴訟上の主張であるから、訴訟の相手方当事者が見解に相違がある場合は、裁判の過程で吟味、判断されるべきであり、当該訴訟とは全く別の制度である個人情報保護制度によって、その主張の訂正を求めることは、同制度の本来の趣旨を逸した請求であり、認められるものではないとして非訂正決定を行っている。

 しかしながら、条例における保有個人情報の訂正請求権は、県の公文書に記録された個人情報に対して行うことができる権利であり、当該個人情報の訂正に関して他の法令等の規定により特別の手続きが定められている場合を除き、訂正請求を行うことができるものであると認められる。実施機関が主張するように「裁判所に提出した答弁書等これらの書類は訴訟上の主張であるから、訴訟の相手方当事者が見解に相違がある場合は、裁判の過程で吟味、判断されるべき」であったとしても、条例に基づく訂正請求権を妨げるものではない。

 条例における訂正請求制度は、請求者に訂正請求の内容が事実と合致することを証明する書類等の提示を求めており、請求者から提示又は提出された書類等によって訂正請求の内容が事実と合致することが証明されるかどうかの確認調査を行うものであることに鑑みると、審査会自らが訂正請求の内容が事実と合致することの証拠を収集して事実の究明を行うことまで求めているものではないと解される。したがって、当審査会は、異議申立人及び実施機関の双方の主張、提出書類及び意見陳述等から得られた客観的な情報の範囲内で、訂正請求の内容が事実と合致すると認められるか否かについて審査を行うこととなる。

 以上のことを踏まえ、当審査会は異議申立人から出された各訂正請求について、以下のとおり判断する。

ア 平成17年11月13日付け訂正請求(請求1)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のア(1)のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

 (2)で述べたとおり、条例第31条第1項により、訂正請求しようとする者は、「訂正請求の内容」(訂正が必要な箇所及び訂正すべき内容)を記載した訂正請求書を提出しなければならないとされている。

 しかしながら、異議申立人は、訂正請求書の「訂正請求に係る個人情報を特定するために必要な事項」として、「答弁書4ページ(5)より6ページにわたる部分」と示すのみで、具体的に訂正が必要な箇所を示していない。また、訂正を求める理由についても、答弁書の内容が録音テープの反訳書の内容と異なっていると主張するのみで、どのような内容に訂正すべきかについても記載していない。

したがって、本件訂正請求については手続上の要件に不備があるものと認められる。

イ 平成17年11月15日付け訂正請求(請求2)

①本件対象保有個人情報について

本件対象保有個人情報は、別紙1のイ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(2)で述べたとおり、条例第31条第1項により、訂正請求しようとする者は、「訂正請求の内容」(訂正が必要な箇所及び訂正すべき内容)を記載した訂正請求書を提出しなければならないとされている。

しかしながら、異議申立人は、平成○年○月○日の○○医師の診断書を提示し、○○医師は種々の検査を自分の観察下で行ない診断しているので、準備書面の記述は虚偽であると主張するのみで、どのような内容に訂正すべきかについて記載していない。

したがって、本件訂正請求については手続上の要件に不備があるものと認められる。

ウ 平成17年11月17日付け訂正請求(請求3)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のウ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、○年○月○日の○○病院のカルテに「△年△月△日に関節技をかけられ受傷」との記述があり、○年○月○日以前に「関節技をかけられ受傷した」ことを医師に伝えていることから、「原告の発言・説明・供述や書面等について詳細に検討すると、トラブルの状況が変遷することがわかる」との記述、及び「本件トラブルから6か月経過して『関節技』が初めて登場し、」との記述は事実でないと主張する。しかしながら、準備・走ハの「トラブルの状況が変遷していくことがわかる。」との箇所については、被告三重県らが「原告の発言・説明・供述や郵便物・書面等」をもとに行った評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものであると認められる。

次に、準備書面の「本件トラブルから6か月経過して『関節技』が初めて登場し、」との箇所については、被告らの準備書面をみると、「原告の発言・説明・供述や郵便物・書面等について詳細に検討すると、トラブルの状況が変遷していくとがわかる。」との被告三重県らの評価を、より詳しく述べている記述の一部であり、原告の発言・説明・供述や郵便物・書面等を検討しての被告らの判断と考えられ、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

エ 平成17年11月17日付け訂正請求(請求4)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のエ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、自らの受傷原因に関する説明が変遷していないと主張して準備書面の記述の訂正を求めている。しかしながら、「受傷原因に関する原告の説明が変遷してきたことが確認できる。」とは、被告三重県らが「原告が受診した医師の診断書等」を見て行った評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

オ 平成17年11月19日付け訂正請求(請求5)

①本件対象保有個人情報について

本件対象保有個人情報は、別紙1のオ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」との箇所の訂正請求に関して、被告らが「教頭は体育の教師であり、柔道の技についても教員免許を取得するために週1時間授業を受けた」と主張しているから、「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」ということはあり得ないと主張する。しかしながら、「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」とは被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

次に、異議申立人は「『教頭は中学の体育の教師であるから』との主張を原告がしている。」との記述は事実でないとの訂正請求の理由として、「異議申立人は、教頭が「体育の教師」であるという陳述をしたことはあるが、「『中学の』体育の教師である。」という主張をしたことがない。」と主張している。しかしながら、裁判の当事者が準備書面において、相手方の主張の趣旨を要約して表現することはありうることであり、被告三重県らの準備書面の「教頭は中学の体育教師であるから柔道の関節技を使えるという主張も原告はしているが、」との記述は、異議申立人の主張に対する被告三重県らの判断を記したものであると認められ、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

また、異議申立人は、○○学校では柔道・整復と密接な関係があるはり、きゅう、あんまを教える課程があり、○○は○○学校の教頭であったのであるから、関節技を習得する機会や必要性があると主張し、「体育教師として、柔道と接点があったとしても、関節技を習得する機会や必要性はまったくない」との記述の訂正を求めている。しかしながら、「関節技を習得する機会や必要性」があるかどうかは被告三重県らの判断であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

カ 平成17年11月19日付け訂正請求(請求6)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のカ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、「①「右腕の関節を強く締めつけられ」②「関節技を使って私の抵抗を抑圧した」③「右腕を強くつかんで振り回しました」④「ますます強く締め上げ、さらに乱暴に引き抜くようにひっぱり、ふりまわしました。」」との記述は、異議申立人が平成○年○月○日に教頭により関節技をかけられている様子を表現したもので変遷はないと主張する。しかしながら、当該記述に関して、「暴行の態様が変遷している」かどうかは実施機関の評価であって、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

キ 平成17年11月20日付け及び平成17年12月4日付け訂正請求(請求7、17)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のキ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、患者として満足の行く治療を受けられる病院を探すために多数の病院にかかるのは当然のことであり、自らの医療機関の受診状況に不自然なところはなく、被告らの主張する「原告が希望する有利な診断を出してもらえる医療機関を求めて次から次へと受診する原告の姿が浮かび上がってくるのである。」との事実はないと主張する。しかしながら、当該準備書面の記述は、異議申立人の医療機関の受診状況についての被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

ク 平成17年11月23日付け訂正請求(請求8)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のク(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、実施機関に平成○年○月○日付けの当時の校長の受験承諾書を提示し、大学院受験許可は特に成績の優れたもののみに許可されるものであるから、「原告は勤務成績も不良で」の記述は事実でないと主張する。しかしながら、「原告は勤務成績も不良で」とは異議申立人の勤務成績に対する被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

ケ 平成17年11月24日付け訂正請求(請求9)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のケ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

異議申立人が本件訂正請求で訂正を求めている「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」との記述、及び「教頭は中学の体育教師であるから柔道の関節技を使えるという主張も原告はしているが、教頭は授業やクラブ活動で柔道を教えた経験は全くないし、柔道の技についても教員免許を取得するために大学時代に週1時間授業を受けたに過ぎない。さらに、中学校の柔道で必要なレベルは受身、投技、寝技であり、関節技は一切必要とされていない。教頭は元々専門がサッカーであるし、もし体育教師として柔道と接点があったとしても関節技を習得する機会や必要性は全くない」との記述の非訂正の妥当性については、オ②のとおりである。

さらに、異議申立人は、「教頭は、原告が訴える腕神経叢引き抜き損傷の原因となるような関節技をかけることもできない。」との記述の訂正を求めている。

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、○○病院の○○医師が証人尋問において、「暴力的に腕をひきつけて振り回された」ことで「腕神経叢損傷が十分起こりえる。」と述べており、「教頭が柔道の技をまともに使えない。」との記述が事実でないこと等から、「教頭は、原告が訴える腕神経叢引き抜き損傷の原因となるような関節技をかけることもできない。」は事実でないと主張する。しかしながら、「教頭は、原告が訴える腕神経叢引き抜き損傷の原因となるような関節技をかけることもできない。」とは被告三重県らの教頭に対する評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とすることはできないものと認められる。

コ 平成17年11月25日付け訂正請求(請求10)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のコ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、異議申立人が事件当時テープレコーダーで証拠保全していたのは、会議等で暴言を浴びせられ、生命の危険も感じるほどであったからで、「自らそれを録音してトラブルをデッチ上げようとする意図」などまったくないから、「原告が本件トラブルの際に、テープレコーダーを2台も隠し持っていたのは、明らかにこのようなトラブルを予期し、自らそれを録音してトラブルをデッチ上げようとする意図があったのである。」との記述は事実でないと主張する。しかしながら、当該記述は異議申立人がテープレコーダーを持っていたことに対する被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

サ 平成17年11月24日付け訂正請求(請求11)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のサ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

 異議申立人は、○○医師に対する調査嘱託において、○○医師が末梢神経伝導速度検査から診断した「腕神経叢損傷の存否について」の質問に対して答えられずにいることから、「専門医は神経伝導速度検査等の結果や診察から原告の神経に異常はないと診断し、腕神経叢引き抜き損傷は明確に否定されているのである」の記述は事実でないと主張する。しかしながら、準備書面の「本件トラブルの直近において、専門医は神経伝導速度検査等の結果や診察から原告の神経に異常はないと診断し、腕神経叢引き抜き損傷は明確に否定されているのである」との記述は、被告三重県らの専門医の診断をみての判断を述べたものであり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものであると認められる。

 次に、「仮に、現時点において原告に腕神経叢引き抜き損傷が存在するとしても、校長及び教頭の本件行為と原告の腕神経叢引き抜き損傷との間には相当因果関係は存しないのである。」との記述について、異議申立人は、平成○年○月○日の事件以降入院しているのであるから、事件以降受傷する機会はまったくないと主張する。しかしながら、当該記述の直前に「明確に否定されているのであるから」とあるように、当該記述の前の記述を受けて「校長及び教頭の本件行為と原告の腕神経叢引き抜き損傷との間の相当因果関係の有無」についての被告三重県らの判断を述べたものであって、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

シ 平成17年11月25日付け訂正請求(請求12)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のシ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

準備書面の「原告が主張する症状や医師の発言については、診断書やカルテ等の客観的証拠と著しく乖離している」との記述は、原告が主張する症状や医師の発言についての被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

また、「原告が、殴られたと○○医師に述べたことは間違いない。」との記述についても、被告三重県らが、「教師に殴られましたと当院を受診されました。」と記載がある○○病院の○○医師の作成した診断書を見て行った判断であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものであると認められる。

 次に、「肩、首、電気がとおるような痛み、右手のひらの反り返り、指のこわばりなどに関する記述が診断書には一切ない。」との記述について、異議申立人は、「カルテの記述は異議申立人が甲の6号証で主張する受傷直後の症状を○○医師がまとめたもので、被告三重県らはカルテの記述を一部のみ引き出し、事実を歪めている」から当該記述は事実でないと主張する。しかしながら、当該記述は、診断書の記述に、肩、首、電気がとおるような痛み、右手のひらの反り返り及び指のこわばりなどに関する記述があるかどうかについての被告三重県らの判断を述べたものであり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

ス 平成17年11月27日付け訂正請求(請求13)

①本件対象保有個人情報について

本件対象保有個人情報は、別紙1のス(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

準備書面の「原告は校長、教頭、同僚の教職員の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていた。(甲第55号証の2乃至甲第55号証の5)」との記述の訂正請求について、異議申立人は甲第55号証の2乃至甲第55号証の5の内容証明郵便によって訴えたのは、「教頭」の職務怠慢による不利益の除去であって、「校長」、「同僚の教職員」の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていたという記述は事実でないと主張し、その記述の訂正を求めている。

当審査会で甲第55号証の2乃至甲第55号証の5の内容証明郵便を確認したところ、確かに校長及び同僚の教職員に関する記述は見受けられないが、これだけでは校長、同僚の教職員の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていないことが証明されたとは認められず、訂正請求の内容が事実と合致することが判明したとは認められない。

また、(1)で述べたとおり、個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、教頭の職務怠慢による不利益の除去を実施機関に訴えたのであって、「原告は校長、教頭、同僚の教職員の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていた。(甲第55号証の2乃至甲第55号証の5)」との記述は事実でないと主張する。しかし、「非を一方的に摘示する」との記述は、異議申立人のいう訴えに対する被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものであると認められる。

次に、準備書面の「このようなことも含め、原告は人格面でも情緒不安定で感情の起伏が激しく、協調性に著しく欠け、同僚の教職員から孤立し、生徒からも不評であり、勤務成績も不良であった。」との記述の訂正請求について、異議申立人は、教育職員免許検定により教員免許を取得しているので、異議申立人の「所属長作成の人物に関する証明書」の証明項目には一項目も「不適切」の記述がない。」と主張し、また、実施機関の「異議申立人の条件付採用期間中に不採用とするほど重大な勤務不良が校長から報告されなかった」と理由の付された異議申立人に対する個人情報不存在決定通知書を提示し、異議申立人は条件付採用期間に勤務不良が報告されていないから、準備書面の当該記述は事実でなく、訂正しなければならないと主張する。しかしながら、当該記述は被告三重県らの異議申立人に対する評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

セ 平成17年11月29日付け訂正請求(請求14)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のセ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、「ここでも、自己の主張に不利な診断の存在を否定しようと躍起になっている原告の姿が鮮明に浮かび上がってくる。」との記述は事実でないと主張する。しかしながら、当該記述は被告三重県らが○年○月○日付けの原告の準備書面を見て行った異議申立人に対する評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

また、異議申立人は「カルテからも丁寧に原告を診察したことが推定される。」との記述について、「カルテからは○○医師が丁寧に診察したどころか、医療過誤を犯していることが明らかになっている」と主張する。しかしながら、当該記述についても被告三重県らがカルテを見て行った判断であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

ソ 平成17年11月29日付け訂正請求(請求15)

①本件対象保有個人情報について

本件対象保有個人情報は、別紙1のソ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(2)で述べたとおり、条例第31条第1項により、訂正請求しようとする者は、「訂正請求の内容」(訂正が必要な箇所及び訂正すべき内容)を記載した訂正請求書を提出しなければならないとされている。

 しかしながら、異議申立人は、被告三重県らが提出した準備書面等において行った実施機関の2つの主張は矛盾し、相反する内容であるから訂正しなければならないと主張しているが、具体的に訂正が必要な箇所を示しておらず、どのような内容に訂正すべきかについても記載していない。

したがって、本件訂正請求については手続上の要件に不備があるものと認められる。

タ 平成17年12月4日付け訂正請求(請求16)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のタ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、事実を証明する書類として「甲第94号証の2,3枚目」を示し、腕神経叢は、「「内側神経束」「後神経束」「外側神経束」とも「神経」の「束」であり、多くの神経が集まったものである。「甲第94号証の2,3枚目」のとおり「内側神経束」「後神経束」「外側神経束」は内側上腕皮神経、腋窩神経などの神経に別れ、それらはさらに無数の神経に別れ、複雑に伸びているのである。したがって、「甲第94号証の2,3枚目」からは「腕神経叢は非常に多くの複雑な神経から成り立っている。」ことがわかるのである。」と主張し、「肩の部分においては甲94号証の2,3枚目から明らかなように腕神経叢は、まさに非常に太い神経であり」との記述の訂正を求めている。しかしながら、当該記述は被告三重県らが「甲第94号証の2,3枚目」を見て行った腕神経叢についての評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

チ 平成17年12月6日付け訂正請求(請求18)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のチ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、薬袋のコピーを提示し、これらのコピーは薬袋をそのままコピーしたもので、デッチ上げや捏造の目的はまったくないと主張する。しかしながら、「裁判所も原告のデッチ上げ・捏造体質に強い疑念を抱いていることがわかる。」とは、裁判所が原告(異議申立人)をどのように考えているかについての被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

ツ 平成17年12月7日付け訂正請求(請求19)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のツ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(2)で述べたとおり、条例第31条第1項により、訂正請求しようとする者は、「訂正請求の内容」(訂正が必要な箇所及び訂正すべき内容)を記載した訂正請求書を提出しなければならないとされている。

しかしながら、異議申立人は、○○医師が「臨床的な判断」、「客観的な観察」により、異議申立人が「神経に障害があり、痛がっている。」と証言していることから、準備書面の「○○医師は、痛みそのものを客観的に計測する機械はなく、本人の訴えによるものであることを証言している。」との記述の訂正が行われなければならないと主張するのみで、どのような内容に訂正すべきかについて記載していない。

したがって、本件訂正請求については、手続上の要件に不備があるものと認められる。

テ 平成17年12月8日付け訂正請求(請求20)

①本件対象保有個人情報について

 本件対象保有個人情報は、別紙1のテ(1) のとおりである。

②保有個人情報の非訂正の妥当性について

(1)で述べたとおり、保有個人情報の訂正請求権は客観的な正誤の判定になじむ事項の誤りについて認められるものであって、個人に対する評価、判断等のように客観的な正誤の判定になじまない事項については訂正請求の対象とすることはできないものである。ただし、一見評価に関する事項であると思われる場合であっても、事実に関する情報が含まれる場合があるので、十分精査した上で判断する必要がある。

異議申立人は、準備書面の「原告の右腕神経叢引き抜き損傷が、仮に存在するとしても、本件トラブルがその原因であることを立証する証拠は、原告本人による被害の訴え以外にないといえる。」との記述の訂正を求めているが、当該記述は、異議申立人の裁判上の主張や診断書などの証拠書類などから行った被告三重県らの評価であり、客観的な正誤の判定になじむものではなく、訂正請求の対象とならないものと認められる。

 以上のとおり、当審査会は各々の訂正請求について条例第30条、第31条及び第32条に基づき判断した。

 実施機関は、裁判所に提出されている書類である答弁書等は訴訟上の主張であるから、訴訟の相手方当事者が見解に相違がある場合は、裁判の過程で吟味、判断されるべきであり、当該訴訟とは全く別の制度である個人情報保護制度によって、その主張の訂正を求めることは、同制度の本来の趣旨を逸した請求であり、認められるものではないとして非訂正決定を行ったものであるが、いずれにしても非訂正決定は妥当であると認められる。

(6) 結論

よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙2審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

訂正を求める箇所及び訂正請求の内容

ア 平成17年11月13日付け訂正請求(請求1)

(1) 訂正を求める箇所

被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した答弁書4ページ(5)より6ページにわたる部分。

(2) 訂正請求の内容

訂正請求書に添付した録音テープの反訳書は事件直後の被告らと異議申立人との会話であるが、被告らはテープを再生するまでもなく、異議申立人に「テープを返さない。」と言っている。異議申立人は「皆さんの前で聴いてみましょう。」と言っているのに、被告らはそれを行わなかった。新しいテープを返しておく云々の話は一切出てきておらず、答弁書の記述内容とはまったく異なっている。したがって、(1)に記された内容は直ちに訂正されなければならない。

イ 平成17年11月15日付け訂正請求(請求2)

(1) 訂正を求める箇所

被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面3ページの27~30行目、「○○医師は腕神経叢引き抜き損傷の診断のための検査を自分の観察下ではしていないことを認めたうえで、○○病院の神経伝導速度検査結果に基づく伝聞及び原告本人の弁から診断に至ったことを証言している。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

異議申立人の△△病院○○医師による診断書のとおり、△△病院の○○医師は種々の検査を自分の観察下で行い、異議申立人が腕神経叢損傷であることを診断している。したがって、当該準備書面の記述は虚偽の記述であり、訂正されなければならない。

ウ 平成17年11月17日付け訂正請求(請求3)

(1) 訂正を求める箇所

被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面5ページ26~27行目の「原告の発言・説明・供述や郵便物・書面等について詳細に検討すると、トラブルの状況が変遷していくことがわかる。」との記述、及び同準備書面6ページ2~14行目「『教頭は、両手でかけていた関節技を片手でかけなおすと、』と、本件トラブルから6か月経過して『関節技』が初めて登場し、引き抜き損傷を意識してか『引き抜く』の表現も追加された。また、教頭の得意な表情や声まで加わる。記憶がしっかりしている本件トラブルの直後よりも、半年経過した時点のほうがなぜ詳細なのか。それは、『腕神経叢引き抜き損傷』の症例や原因に関する原告の知識が充実してきたことによるものである。単なる『もみ合い』、『つかみかかり』『ふりまわす』では『腕神経叢引き抜き損傷』の原因にならないので、『関節技』が必要であったものと考えられる。原告も「とくに被告○○は通常の事故では傷つくことがない腕神経叢引き抜き損傷を起こさせるほどの暴力を原告に加えた。」と記述している。すなわち、原告は、『腕神経叢引き抜き損傷』ありきで、同損傷の原因となるよう本件トラブルの状況をデッチ上げているのである。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

○○病院カルテの○年○月○日weekly summary(1週間の要約)に、「△年△月△日に関節技をかけられ受傷」との記述があり、異議申立人は○年○月○日以前に関節技をかけられ受傷したことを医師に伝えている。したがって、「原告の発言・説明・供述や郵便物・書面等について詳細に検討すると、トラブルの状況が変遷していくことがわかる。」、「本件トラブルから6か月経過して『関節技』が初めて登場し、」との記述は事実ではない。したがって、(1)の記述は虚偽であり、即急に訂正されなければならない。

エ 平成17年11月17日付け訂正請求(請求4)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面6ページ22~29行目の「また、原告が受診した医師の診断書等を見ても、受傷原因に関する原告の説明が変遷してきたことが確認できる。○○病院の○○医師は、診断書に患者の申告として傷病の原因を「体育の教師に右上肢を抱きかかえられて相手の胸で圧さえつけながら振り廻された」と記載している。同様に初期の診断書には、『振り回されて』はあっても『関節技』の記載はないが、平成△年△月△日付けの診療情報提供書」には、「柔道の技をかけられ、」という記載が現れる。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 準備書面の記述の「右上肢を抱きかかえられて相手の胸で圧さえつけながら振り廻された。」とは異議申立人が関節技をかけられた様子を○○医師に説明し、それを○○医師が記述したものである。さらに、△△病院カルテの○年○月○日weekly summary(1週間の要約)に「□年□月□日に関節技をかけられ受傷」との記述があり、異議申立人は○年○月○日以前に関節技をかけられ受傷したことを医師に伝えている。また、「平成△年△月△日付けの診療情報提供書には『柔道の技をかけられ、』という記載が現れる。」と後になって異議申立人が関節技を持ち出したかのように記述しているが、これは受傷直後の異議申立人の医師への説明をもとに平成△年△月△日に医師が記したものである。したがって、異議申立人の説明はなんら変遷していない。したがって、(1)の記述は虚偽であり、即急に訂正されなければならない。

オ 平成17年11月19日付け訂正請求(請求5)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面6ページ20~21行目の「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」との記述、及び同準備書面7ページ23~30行目、「教頭は中学の体育教師であるから柔道の関節技を使えるという主張も原告はしているが、教頭は授業やクラブ活動で柔道を教えた経験は全くないし、柔道の技についても教員免許を取得するために大学時代に週1時間授業を受けたに過ぎない。さらに、中学校の柔道で必要なレベルは受身、投技、寝技であり、関節技は一切必要とされていない。教頭は元々専門がサッカーであるし、もし体育教師として柔道と接点があったとしても関節技を習得する機会や必要性は全くない」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 教頭○○は体育の教師であるから「教頭が柔道の技をまともには使えない」ということはあり得ず、この記述は事実ではない。

異議申立人は教頭が「体育の教師である。」という陳述をしたことはあるが、「『中学の』体育の教師である。」という主張をしたことはない。

被告三重県らは、「柔道の技についても教員免許を取得するために週1時間授業を受けた」と主張しているから、「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」ということはありえない。

○○学校では、はり、きゅう、あんまを教える課程がある。はり、きゅう、あんまと柔道・整復とは密接な関係がある。○○は○○学校の教頭であったのであるから、当然に、柔道と密接な接点があり、関節技を習得する機会や必要性がある。

したがって、「体育教師として柔道と接点があったとしても関節技を習得する機会や必要性はまったくない」との記述は事実でない。

したがって、(1)の記述は虚偽であり、即急に訂正されなければならない。

カ 平成17年11月19日付け訂正請求(請求6)

(1) 訂正を求める箇所

 実施機関が平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面2ページ1行目の「(3)原告が平成△年△月△日に強盗事件の被害者となったと主張している点に関し、暴行の態様が変遷している。①「右腕の関節を強く締めつけられ」②「関節技を使って私の抵抗を抑圧した」③「右腕を強くつかんで振り回しました」④「ますます強く締め上げ、さらに乱暴に引き抜くようにひっぱり。振り回しました。」」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 ①から④の記述は、すべて異議申立人が平成△年△月△日に教頭により関節技をかけられている様子を表現したもので変遷はない。したがって、「原告が平成△年△月△日に強盗事件の被害者となったと主張している点に関し、暴行の態様が変遷している。」との記述は事実でない。したがって、(1)の内容は直ちに訂正されなければならない。

キ 平成17年11月20日付け及び平成17年12月4日付け訂正請求(請求7、17)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面8ページ2~9行目の「同病院の医師から「神経について調べられる総合病院へ転院しなさい。」と指示されたと原告は陳述している。また、原告が診断書等を証拠として提出した医療機関以外にも、○○病院等多数の医療機関で受診しているが、そのうち、平成△年△月△日に△△病院、同月◇日に◇◇病院、同月▽日に▽▽病院で画像診断を受けており、原告が希望する有利な診断を出してもらえる医療機関を求めて次から次へと受診する原告の姿が浮かび上がってくるのである。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 異議申立人は三重県で一番と評判の高い▲▲病院でも「うちでは手に負えない、神経について調べられる総合病院に転院しなさい。」との指示を受けた。患者として満足の行く治療を受けられる病院を探すために多数の病院にかかるのは当然のことである。異議申立人の受診状況に不自然なところなどない。被告三重県らの主張する「原告が希望する有利な診断を出してもらえる医療機関を求めて次から次へと受診する原告の姿が浮かび上がってくるのである。」の事実はない。したがって、(1)の記述は訂正されなければならない。

ク 平成17年11月23日付け訂正請求(請求8)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面1ページ20~21行目の「原告は勤務成績も不良で」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 異議申立人は平成△年△月△日に○○大学大学院の受験許可を得ている。大学院受験許可は教諭身分のまま、大学院に留学させ研修を受けるもので、特に成績の優れたもののみに許可される。したがって、「原告は勤務成績も不良で」の記述は事実でない。したがって、当該準備書面の記述は早急に訂正されなければならない。

ケ 平成17年11月24日付け訂正請求(請求9)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面6ページ20~21行目の「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」との記述、同準備書面7ページ23~30行目、「教頭は中学の体育教師であるから柔道の関節技を使えるという主張も原告はしているが、教頭は授業やクラブ活動で柔道を教えた経験は全くないし、柔道の技についても教員免許を取得するために大学時代に週1時間授業を受けたに過ぎない。さらに、中学校の柔道で必要なレベルは受身、投技、寝技であり、関節技は一切必要とされていない。教頭は元々専門がサッカーであるし、もし体育教師として柔道と接点があったとしても関節技を習得する機会や必要性は全くない」との記述、及び同準備書面9ページ14~15行目、「教頭は、原告が訴える腕神経叢引き抜き損傷の原因となるような関節技をかけることもできない。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 教頭○○は体育の教師であるから「教頭が柔道の技をまともには使えない」ということはあり得えない。したがって、当該記述は事実ではない。

異議申立人は教頭が「体育の教師である。」という陳述をしたことはあるが、「『中学の』体育の教師である。」という主張をしたことはない。したがって、「『教頭は中学の体育教師であるから』との主張を原告がしている」との記述は事実でない。

被告らは、「柔道の技についても教員免許を取得するために週1時間授業を受けた」と主張しているから、「教頭が『関節技』はおろか柔道の技をまともには使えない」ということはありえない。したがって、当該記述は事実ではない。

○○学校では、はり、きゅう、あんまを教える課程がある。はり、きゅう、あんまと柔道・整復とは密接な関係がある。○○は○○学校の教頭であったのであるから、当然に、柔道と密接な接点があり、関節技を習得する機会や必要性がある。

したがって、「体育教師として柔道と接点があったとしても関節技を習得する機会や必要性は全くない」との記述は事実でない。

さらに、○○病院の△△医師は平成○年○月○日の証人尋問において異議申立人の供述「暴力的に腕をひきつけて振り回された」ことで「腕神経叢損傷は十分起こりえる。」と述べている。したがって、「教頭が柔道の技をまともに使えない。」との記述が事実でないこと等から、「教頭は、原告が訴える腕神経叢引き抜き損傷の原因となるような関節技をかけることもできない。」は事実でない。

したがって、(1)の記述は虚偽であり、即急に訂正されなければならない。

コ 平成17年11月25日付け訂正請求(請求10)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面1ページ25行目~2ページ2行目の「原告が、本件トラブルの際に、テープレコーダーを2台も隠し持っていたのは、明らかにこのようなトラブルを予期し、自らそれを録音してトラブルをデッチ上げようとする意図があったのである。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 異議申立人が事件当時テープレコーダーで証拠保全していたのは、会議等で暴言を浴びせられ、生命の危険も感じるほどであったからである。「自らそれを録音してトラブルをデッチ上げようとする意図」などまったくない。したがって、「原告が、本件トラブルの際に、テープレコーダーを2台も隠し持っていたのは、明らかにこのようなトラブルを予期し、自らそれを録音してトラブルをデッチ上げようとする意図があったのである。」の記述は事実でない。したがって、当該準備書面の記述は直ちに訂正されなければならない。

サ 平成17年11月24日付け訂正請求(請求11)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面9ページ16行目~20行目の「本件トラブルのより直近において、専門医は神経伝導速度検査等の結果や診察から原告の神経に異常は無いと診断し、腕神経叢引き抜き損傷は明確に否定されているのであるから、仮に、現時点において原告に腕神経叢引き抜き損傷が存在するとしても、校長及び教頭の本件行為と原告の腕神経叢引き抜き損傷との間には相当因果関係は存しないのである。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 被告三重県らが申請した調査嘱託「末梢神経伝導速度検査から診断した腕神経叢損傷の存否について」において被告三重県らの言う専門医である○○医師は「腕神経叢損傷の存否について」答えられずにいる。したがって、「専門医は神経伝導速度検査等の結果や診察から原告の神経に異常は無いと診断し、腕神経叢引き抜き損傷は明確に否定されているのである」との記述は事実でなく、直ちに訂正されなければならない。

 異議申立人は平成△年△月△日の事件以降入院しているのであるから、事件以降受傷する機会はまったくない。したがって、「仮に、現時点において原告に腕神経叢引き抜き損傷が存在するとしても、校長及び教頭の本件行為と原告の腕神経叢引き抜き損傷との間には相当因果関係は存しない」ということはあまりに不条理であり、ありえず、(1)の記述は直ちに訂正されなければならない。

シ 平成17年11月25日付け訂正請求(請求12)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面2ページ5行目~6行目の「原告が主張する症状や・緕tの発言については、診断書やカルテ等の客観的証拠と著しく乖離している」との記述、及び同準備書面2ページ7行目~20行目「(1)○○病院における診断 本件トラブルが起こった平成△年△月△日の18時頃、原告を診察した○○病院○○医師の作成した診断書には、「教師に殴られたと当院を受診されました。」と記載されているように、当初、原告が、殴られたと○○医師に述べたことは間違いない。病名も右前腕、頭部打撲となっている。甲第6号証で原告は○○医師から「神経が損傷していると思う」と言われた述べるが、診断書の内容とは大きく乖離している。肩、首、電気がとおるような痛み、右手のひらの反り返り、指のこわばりなどに関する記述が診断書には一切ない。さらに、診断書には「上記の疾患で全治3日間と診断します。」と記載されており、○○医師が原告の症状を極めて軽傷であると判断したことは間違いないのである。また、同診断書の内容はカルテとも一致している。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 ○○病院のカルテには△年△月△日18時10分「右手をひっぱられ、」との記述がある。これは異議申立人甲の6号証で主張する受傷時の様子「○○病院では私は△△に腕を締めつけられて振り回され(と説明した。)」に合致している。したがって、「原告が主張する症状や医師の発言については、診断書やカルテ等の客観的証拠と著しく乖離している。」との記述は事実でない。

 準備書面2ページ7行目から20行目「原告が、殴られたと○○医師に述べたことは間違いない。」との記述は事実でない。

 ○○病院のカルテには△年△月△日18時10分「右前腕あつく痛い、顔も痛い。」との記述がある。これは異議申立人が甲の6号証で主張する受傷直後の症状「顔の右半分が焼けるように熱く地面にこすりつけられた後のように熱く腫れあがったこと。右耳はさらに熱くちぎれるように感じること。首は右半分が燃えるように熱く一面に擦過傷を受けたときのような痛みを感じること。右肩は間接が外れたようにしびれて痛むこと。腕は燃える様に熱く棒のように腫れあがったこと。手の甲は骨が削られたように痛むこと。指の先端はしびれて電気が通るように痛むこと。そうして顔が無意識のうちの左に傾いていくこと。右腕は後ろにむかって引きつっていくこと。右手のひらは反り繰り返り、指もこわばっていくこと。を述べました。」と一致している。したがって、「原告が主張する症状や医師の発言については、診断書やカルテ等の客観的証拠と著しく乖離している」との記述は事実でない。

 被告三重県らは準備書面2ページ7行目から20行目「肩、首、電気がとおるような痛み、右手のひらの反り返り、指のこわばりなどに関する記述が診断書には一切ない。」と主張するが、カルテの記述は異議申立人が甲の6号証で主張する受傷直後の症状を○○医師がまとめたもので、被告三重県らはカルテの記述を一部のみ引き出し、事実を歪めている。したがって、「肩、首、電気がとおるような痛み、右手のひらの反り返り、指のこわばりなどに関する記述が診断書には一切ない。」の記述は事実ではない。

以上により、(1)の記述は訂正されなければならない。

ス 平成17年11月27日付け訂正請求(請求13)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面1ページ14行目~16行目の「原告は校長、教頭、同僚の教職員の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていた(甲第55号証の2乃至甲第55号証の5)」との記述、及び同準備書面19行目~21行目「このようなことも含め、原告は人格面でも情緒不安定で感情の起伏が激しく、協調性に著しく欠け、同僚の教職員から孤立し、生徒からも不評であり、勤務成績も不良であった。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 異議申立人が甲第55号証の2、3、4及び5(三重県教育委員会教職員課長及び三重県立○○学校校長あて内容証明郵便の写し)で実施機関に訴えたのは『教頭』の職務怠慢による異議申立人がこうむった不利益の除去である。したがって、被告三重県らが主張する「原告は校長、教頭、同僚の教職員の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていた(甲第55号証の2乃至甲第55号証の5)」との記述のうち「原告は『校長』、『同僚の教職員』の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていた。(甲第55号証の2乃至甲第55号証の5)」という記述は事実でない。

 異議申立人は「教頭の職務怠慢による異議申立人がこうむった不利益の除去」を実施機関に訴えたのであって、それもたびたびの届出にもかかわらず、教頭が一切これを処理しなかったためのやむをえない救済の訴えであった。したがって、被告三重県らが主張する「原告は校長、教頭、同僚の教職員の非を一方的に摘示する内容証明郵便を三重県教育委員会事務局教職員課長に度々送りつけていた(甲第55号証の2乃至甲第55号証の5)」との記述は事実でない。

 実施機関作成の「教育職員に関する検定基準(内規)」によれば、「所属長作成の人物に関する証明書の証明項目のうち一項目でも不適切の記述があれば、教員免許検定は不合格とし免許は交付しない。」とある。異議申立人は教育職員免許検定により、中学数学2種免許、中学社会2種免許を取得している。したがって、異議申立人の「所属長作成の人物に関する証明書」の証明項目には一項目も「不適切」の記述がない。異議申立人は条件付採用期間に「勤務不良が報告されていない。」。したがって、「原告は人格面でも情緒不安定で感情の起伏が激しく、協調性に著しく欠け、同僚の教職員から孤立し、生徒からも不評であり、勤務成績も不良であった」との記述は事実でない。

以上により、(1)の記述は直ちに訂正されなければならない。

セ 平成17年11月29日付け訂正請求(請求14)

(1) 訂正を求める箇所

 被告三重県らが平成○年○月○日付けで裁判所に提出した準備書面8ページ10行目の「(7)○○病院での受診状況 本件訴訟の当初、原告は、○○病院で受診した事実について一切言及しなかった。ところが、△△病院のカルテから受診の事実が浮上してくるに至って、突然、○○病院○○助教授の診断について激しい非難を始めた(△年△月△日付け原告準備書面)。しかし、○○助教授は調査嘱託に対する回答で原告の非難を明確に否定しているし、カルテからも丁寧に原告を診察したことが推定される。ここでも、自己の主張に不利な診断の存在を否定しようと躍起になっている原告の姿が鮮明に浮かび上がってくる。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 被告三重県らは「本件訴訟の当初、原告は、○○病院で受診した事実について一切言及しなかった。ところが、△△病院のカルテから受診の事実が浮上してくるに至って、突然、○○病院○○助教授の診断について激しい非難をはじめた。」と述べるが、○○医師(助教授)は異議申立人を診察していない。異議申立人は診察を受けていない以上それに言及することはない。また、○○医師(助教授)は異議申立人の損傷部位の左右とり違えと言う医療過誤を犯しているのであるから、自らの医療過誤を隠すために躍起となり虚偽の回答を行い、異議申立人の非難を否定するのも当然である。したがって、「ここでも、自己の主張に不利な診断の存在を否定しようと躍起になっている原告の姿が鮮明に浮かび上がってくる。」との記述は事実でない。

 被告三重県らは「カルテからも丁寧に原告を診察したことが推定される。」と述べるが、カルテからは○○医師が丁寧に診察したどころか、医療過誤を犯していることが明らかになっているのである。したがって、「カルテからも丁寧に原告を診察したことが推定される。」との記述は事実でない。

 以上により、(1)の記述は直ちに訂正されなければならない。

ソ 平成17年11月29日付け訂正請求(請求15)

(1) 訂正を求める箇所

 (○)第○号損害賠償事件ほか、異議申立人が三重県を相手方としておこした裁判、人事委員会への申し立てに被告三重県らが提出した準備書面等において、平成○年○月○日の特定の県立学校の強盗事件の際、異議申立人が腕神経叢損傷を負って翌日から入院しているが実施機関は異議申立人の入院を「以前からあった病気によるもの」と主張しているがこの記述、及び平成○年○月○日の特定の県立学校の強盗事件の際、異議申立人が腕神経叢損傷を負ったが、実施機関は、異議申立人が「平成○年○月には腕神経叢損傷を負っていなかった。」と主張しているが、この主張の記述。

(2) 訂正請求の内容

 被告三重県らは「平成○年○月○日の特定の県立学校の強盗事件の際、異議申立人が腕神経叢損傷を負って翌日から入院したのは異議申立人の「以前からあった病気によるもの」と主張しており、また「異議申立人が「平成○年○月には腕神経叢損傷を負っていなかった。」」と主張している。これらの主張は矛盾するものであり、相反するものであって、訂正されなければならない。

タ 平成17年12月4日付け訂正請求(請求16)

(1) 訂正を求める箇所

 平成○年○月○日付けで被告三重県らが裁判所に提出した準備書面4ページ9~12行目の「原告が問題にしているのは、右肩の神経叢の引き抜き損傷であり、肩の部分においては、甲94号証の2,3枚目から明らかなように腕神経叢は、まさに非常に太い神経であり、原告の主張が正しいとしても、○○医師の判断に何ら誤りはない。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 被告三重県らは「肩の部分においては甲94号証の2,3枚目から明らかなように腕神経叢は非常に太い神経であり」と主張するが、「甲第94号証の2,3枚目」によれば、腕神経叢は「内側神経束」「後神経束」「外側神経束」からなる。被告三重県らは「甲第94号証の2,3枚目」に「内側神経束」「後神経束」「外側神経束」が描かれていることをもって「腕神経叢は非常に太い神経」と述べているのであるが、「内側神経束」「後神経束」「外側神経束」とも「神経」の「束」であり、多くの神経が集まったものである。「甲第94号証の2,3枚目」のとおり「内側神経束」「後神経束」「外側神経束」は内側上腕皮神経、腋窩神経などの神経に別れ、それらはさらに無数の神経に別れ、複雑に伸びているのである。したがって、「甲第94号証の2,3枚目」からは「腕神経叢は非常に多くの複雑な神経から成り立っている。」ことがわかるのである。したがって、被告三重県らの主張する「肩の部分においては甲94号証の2,3枚目から明らかなように腕神経叢は非常に太い神経であり」との主張は「甲第94号証の2,3枚目」を自己に都合がよいようにこじつけ、事実を歪曲したものである。したがって、「肩の部分においては甲94号証の2,3枚目から明らかなように腕神経叢は非常に太い神経であり」との主張は事実でない。

 したがって、(1)の記述は直ちに訂正されなければならない。

チ 平成17年12月6日付け訂正請求(請求18)

(1) 訂正を求める箇所

 平成○年○月○日付けで被告三重県らが裁判所に提出した準備書面9ページ1~4行目の「原告が病院に通院したことの証明として原告の上司である三重県立○○学校校長に郵送した薬袋について、薬袋に記載された日付のスタンプが極めて不自然なものである旨を事実認定している。裁判所も原告のデッチ上げ・捏造体質に強い疑念を抱いていることがわかる。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 日付スタンプが不鮮明なのは異議申立人が薬の調剤を受けている薬局では薬袋とは別に薬の詳細な説明書を薬とともに渡しているし、「お薬手帳」と称する処方の記録を異議申立人に調剤のつど渡しているため、薬袋の日付表示を重要視していないためであろうと思われる。また、異議申立人は薬袋をそのままコピーして、病院に通院した証明として原告の上司である三重県立○○学校校長に郵送したものである。日付スタンプが不鮮明であっても異議申立人にはデッチ上げや捏造の目的や意思はまったくないのである。したがって、「原告のデッチ上げ・捏造体質」はないのであって、(1)の記述は事実でなく、直ちに訂正されなければならない。

ツ 平成17年12月7日付け訂正請求(請求19)

(1) 訂正を求める箇所

 平成○年○月○日付けで被告三重県らが裁判所に提出した準備書面3ページ25から26行目の「○○医師は、痛みそのものを客観的に計測する機械はなく、本人の訴えによるものであることを証言している」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 平成△年△月△日の○○医師の証人調書5ページ5行目から17行目、及び同8ページ7行目から9行目によれば、○○医師は「臨床的な判断」「客観的な観察」により異議申立人が「神経に障害があり、痛がっている。」と証言している。したがって、「○○医師は、痛みそのものを客観的に計測する機械はなく、本人の訴えによるものであることを証言している」との記述は事実でない。したがって、直ちに訂正が行われなければならない。

テ 平成17年12月8日付け訂正請求(請求20)

(1) 訂正を求める箇所

 平成○年○月○日付けで被告三重県らが裁判所に提出した準備書面4ページ20~22行目の「原告の右腕神経叢引き抜き損傷が、仮に存在するとしても、本件トラブルがその原因であることを立証する証拠は、原告本人による被害の訴え以外に無いといえる。」との記述。

(2) 訂正請求の内容

 ○○病院○○医師による平成△年△月△日付診断書、その1、7行目から15行目によれば、「①右鎖骨上窩にTinel sign(同部は腕神経叢の走行部であり、圧迫により末梢へ響く痛みあり、神経損傷に伴う特有な所見)②右上肢をだらんと垂らすと痛み増強し、膝に乗せると軽減するという、腕神経叢牽引に伴う痛みの所見③頚髄MRI、脳MRIにて右上肢痛の原因となるような明らかな異常を認めず。④右上肢の痛みの症状が激痛でかつallodynia(異痛症)という神経因性疼痛に特有な症状を示していた。⑤頚部硬膜外ブロックで一過性に除痛できた。以上を認め、⑥患者の申告した受傷状況(平成◇年◇月◇日右腕を胸に引き付けた姿勢で振り回された)を聞き取った。」とある。また、同診断書、その2、5行目から9行目には「その1記載の①から⑤の所見から脊髄から神経が分枝した後に神経が何らかの障害を受けて神経因性疼痛を呈する状態になったと推察された。さらに外見上頸部、肩、右上肢に特に局所的な外傷等による病的損傷部位見られず、⑥受傷状況から、腕の牽引により右腕神経叢が過度に牽引を受け完全に引き抜けた訳ではないが部分的に損傷を受け、痛みの原因となったと推察された。ちなみに神経損傷は部分的損傷の場合のほうが痛みが強いことは臨床的によく認めることである。以上より右腕神経叢引抜損傷と診断した。」とある。このように異議申立人の申告は医師の診断と一体となったものである。その申告は医師の諸検査とも矛盾のないものである。したがって、「原告の右腕神経叢引き抜き損傷が、仮に存在するとしても、本件トラブルがその原因であることを立証する証拠は、原告本人による被害の訴え以外に無いといえる。」は事実でない。

 したがって、(1)の記述は直ちに訂正されなければならない。

別紙2

審査会の処理経過

年月日 処理内容
平成18年 7月 5日 ・ 諮問書の受理 
平成18年 8月7日 ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼
平成18年 8月17日 ・ 理由説明書の受理
平成18年 8月28日 ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
平成18年 9月1日 ・ 意見書の受理
平成18年 9月6日 ・ 実施機関に対して意見書(写)の送付
平成19年7月23日 ・ 書面審理・ 実施機関の補足説明・ 審議(第48回個人情報保護審査会)
平成19年 8月20日 ・ 審議(第49回個人情報保護審査会)
平成19年 9月20日 ・ 審議(第50回個人情報保護審査会)
平成19年10月22日 ・ 審議(第51回個人情報保護審査会)
平成19年11月26日 ・ 審議(第52回個人情報保護審査会)
平成19年12月17日 ・ 審議(第53回個人情報保護審査会)
平成20年1月28日 ・ 審議(第54回個人情報保護審査会)
平成20年2月18日 ・ 審議(第55回個人情報保護審査会)
平成20年3月17日 ・ 審議(第56回個人情報保護審査会)
平成20年4月25日 ・ 審議(第57回個人情報保護審査会)
平成20年5月26日 ・ 審議(第58回個人情報保護審査会)
平成20年6月30日 ・ 審議・ 答申(第59回個人情報保護審査会)

三重県個人情報保護審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 浅尾 光弘 弁護士
会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 寺川 史朗 三重大学人文学部准教授
委員 藤野 奈津子 三重短期大学法経科准教授
委員 安田 千代 司法書士、行政書士

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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