三重県個人情報保護審査会 答申第39号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った開示決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年10月4日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成○年○月○日処分事由説明書のその4、下から3行目「このこと」に該当する文書」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成18年10月12日付けで行った開示決定の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の開示理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
「このこと」について、記載した文書として、詳細に記載してある処分事由説明書の別紙(その1)から別紙(その3)及び別紙(その4)の下から3行を除いた部分として、処分事由説明書の保有個人情報開示決定を行った。異議申立人は、開示文書が請求した文書に該当しないと主張しているが、これ以外の「このこと」に該当する文書は存在しない。
異議申立人の意図していた文書と違っていたようであるが、開示請求の趣旨を知ったのは異議申立ての後であって、開示請求を受けてから開示決定までの間は異議申立人とのやりとりもなく、開示請求の趣旨を知らなかった。本件開示請求書に書かれた請求内容であるなら本決定しかしえない。
4 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書、意見書及び口頭意見陳述において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
開示決定された文書は、請求した文書に該当しない。開示を求めたのは、「このこと」に該当する事実を示す個別文書である。
「このこと」とは、文章としては処分事由説明書の記載の一部分になるが、文書の開示請求をしているのであるから、すでに開示した文書を開示してもらっても意味がない。それ以外のものを特定しなければならない。
開示請求の段階で実施機関に請求の意図は伝えてある。実施機関は、この請求書の文章からすると、この決定しかできないと言った。また、別の文章にしてほしいと言われたが、請求の趣旨は伝わっているのだからこの請求書で決定してほしいと伝えた。請求書の書き方は悪かったが、実施機関は意図を汲んだ決定ができたはずである。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立ての対象となった個人情報並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
本件開示請求の請求内容は「平成○年○月○日処分事由説明書のその4、下から3行目「このこと」に該当する文書」というものであり、この開示請求に対し、実施機関は対象となる保有個人情報を「平成○年○月○日付け処分事由説明書の別紙(その1)から別紙(その3)及び別紙(その4)の下3行を除いた部分」とし開示決定を行ったが、異議申立人は開示決定された文書が請求した文書に該当しないとして異議申立てを行った。
開示決定された文書が請求した文書に該当しないということについて、異議申立人は、開示を求めたのは「このこと」に該当する事実を示す個別文書であり、開示請求の段階で実施機関に請求の意図は伝えてある。実施機関は意図を汲んだ決定ができたはずであると主張する。一方、実施機関は開示請求の趣旨を知ったのは異議申立ての後であって、開示請求を受けてから開示決定までの間は異議申立人とのやりとりもなく、開示請求の趣旨を知らなかった。本件開示請求書に書かれた請求内容であるなら本決定しかしえないと主張し、開示決定までに開示請求の趣旨が実施機関に伝わっていたかどうか等に関し双方の主張が食い違っている。
また、本件開示請求書を受け付けた段階において、生活部情報公開室を通じて開示請求の趣旨に関するいかなるやりとりが行われたかについては、生活部情報公開室担当者から事情を聴いたものの、その事実関係が明確でない。
これらのことから、当審査会としては異議申立人と実施機関との開示請求の対象となる保有個人情報の特定に係るやりとりに関して事実認定はできないため、本件開示請求書に書かれた請求内容から本決定の妥当性を判断せざるをえない。
実施機関は、本件開示請求に対し、「処分事由説明書の別紙(その1)から別紙(その3)及び別紙(その4)の下から3行を除いた部分」として対象となる保有個人情報の特定を行ったが、処分事由説明書の「このこと」に該当する文書との開示請求に対し、対象となる保有個人情報を当該処分事由説明書の「このこと」の前の部分であるとした実施機関の特定に不自然な点は認められない。
したがって、実施機関の行った開示決定は妥当であると認められる。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成18年12月22日 | ・ 諮問書の受理 |
平成18年12月25日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成19年 1月12日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成19年 1月17日 | ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、 意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成19年 6月18日 | ・ 書面審理・ 実施機関の補足説明・ 異議申立人の口頭意見陳述 ・ 審議(第47回個人情報保護審査会) |
平成19年 7月23日 | ・ 実施機関の補足説明・ 審議(第48回個人情報保護審査会) |
平成19年 8月20日 | ・ 審議・ 答申(第49回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
---|---|---|
会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部准教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科准教授 |
委員 | 安田 千代 | 司法書士、行政書士 |