三重県個人情報保護審査会 答申第30号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った部分開示決定を取消し、「平成13年度に三重県立○○学校長に出された三重県立○○学校教諭△△の退校を求める署名」について改めて不存在であることを明示した決定を行うべきである。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年8月6日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成13年度に三重県立○○学校長に出された三重県立○○学校教諭△△の退校を求める署名」及び「平成14年度に三重県立○○学校長に出された三重県立○○学校教諭△△の退校を求める署名」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年8月22日付けで行った部分開示決定の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
異議申立人から開示請求があった個人情報のうち、平成13年度には該当する書類がなく、平成14年度に提出された異議申立人の退校を求める署名について開示し、その内で署名した生徒の学科、学年、名前及びその印影を非開示とする部分開示決定をした。
4 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
異議申立人が開示情報を閲覧したところ、平成13年度に学校長に出された異議申立人の退校を求める署名は存在しなかった。実施機関も平成13年度の退校を求める署名は不存在であることを認めているのであるから、文書不存在との決定がなされるべきであり、部分開示決定は取り消されなければならない。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立ての対象となった個人情報並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
実施機関は、平成13年度及び平成14年度に学校長に出された異議申立人の退校を求める署名の開示請求に対して、平成13年度の署名が存在しないにもかかわらず、決定通知書の「開示請求に係る個人情報の内容」欄に「平成13、14年度に三重県立○○学校長に出された三重県立○○学校教諭△△の退校を求める署名」と記載したことについて、口頭理由説明において、決定通知書の備考欄に平成13年度は不存在である旨を記すか、平成13年度のものについては不存在決定、平成14年度のものについては部分開示決定をするのが正しいやり方であるとして、決定が不適切であったことを認めている。
開示請求者にとって、請求した個人情報が存在するかどうかは重要なことであり、当審査会としても平成13年度の署名が存在しないにもかかわらず、決定通知書の「開示請求に係る個人情報の内容」欄に「平成13、14年度に三重県立○○学校長に出された三重県立○○学校教諭△△の退校を求める署名」と記載して、平成13年度の署名が存在するかのような内容の決定を行ったことは妥当でないと認める。したがって、平成13年度の署名が存在しないのであれば「平成13年度に三重県立○○学校長に出された三重県立○○学校教諭△△の退校を求める署名」は存在しないことを明示した決定をすべきである。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1 審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成18年6月27日 | ・ 諮問書の受理 |
平成18年7月10日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成18年 7月19日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成18年 8月4日 | ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成18年 8月13日 | ・ 意見書の受理 |
平成18年12月12日 | ・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 ・ 審議 (第41回個人情報保護審査会) |
平成19年 1月29日 | ・ 審議 ・ 答申 (第42回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部助教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科助教授 |
委員 | 安田 千代 | 司法書士、行政書士 |