三重県個人情報保護審査会 答申第29号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った不存在決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年9月2日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った次の(1)から(3)に係る開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年10月17日付けで行った不存在決定の取消しを求めるというものである。
(1) ホームページを見た市民からの質問状について特定の県立学校の教頭が2003年5月20日「異議申立人が言っているような事実は全く本校にはありません。」と主張する根拠としている書類のすべて
(2) ホームページを見た市民からの質問状について特定の県立学校の教頭が2003年5月19日「異議申立人のHPをよくごらん下さい。捏造されている事柄を事実と感じられるなら、ご随意にしてください。」と事件は捏造であると主張する根拠としている書類のすべて
(3) ホームページを見た市民からの質問状について特定の県立学校の教頭が2003年5月20日「多くの方々のメールに対してHP全体をよく見ていただき、矛盾やおかしな点をわかっていただきました。」と主張するが、矛盾やおかしな点が具体的にどこか指し示す資料
3 実施機関の不存在理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。教頭の主張は、教頭が異議申立人と同時期に同じ特定の県立学校に勤務し、異議申立人の言動等に直接関わってきた当時の体験から総合的に判断したもので、矛盾やおかしな点を具体的に示す資料や主張の具体的な根拠となる書類は存在しない。異議申立人が主張している事件そのものがなかったと認識しており、なかった事実についての書類は存在しない。
4 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
教頭が主張するホームページ上の「矛盾やおかしな点」を指し示す資料がなく、「ホームページ上で示された事実がない。」という根拠の資料がなく、「ホームページ上の記載が捏造」とする根拠の資料がないというのはあまりにも不条理である。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立てに係る資料並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
異議申立人は、教頭がホームページの記載内容について、「事実がない」「捏造である」と主張したことについての根拠となる書類、及び「矛盾やおかしな点」が具体的にどこか指し示す資料がないのは不条理であると主張している。しかしながら、教頭の主張は何らかの書類を根拠としたものではなく、教頭が異議申立人と直接かかわってきた当時の体験から総合的に判断したものとする実施機関の主張に特段の不合理な点は認められない。したがって、教頭の主張の具体的な根拠となる書類及び矛盾やおかしな点を具体的に示す資料は存在しないとする実施機関の決定は妥当であると認めざるを得ない。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1 審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
---|---|
平成18年6月27日 | ・ 諮問書の受理 |
平成18年7月10日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成18年7月19日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成18年8月4日 |
・ 異議申立人に対して 理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成18年8月15日 | ・ 意見書の受理 |
平成18年11月13日 |
・ 書面審理 (第40回個人情報保護審査会) |
平成18年12月12日 |
・ 審議 (第41回個人情報保護審査会) |
平成19年1月29日 |
・ 審議 (第42回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部助教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科助教授 |
委員 | 安田 千代 | 司法書士、行政書士 |