三重県個人情報保護審査会 答申第24号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った開示決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年5月11日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成13年2月27日付けで学校職員一同から三重県教育委員会教職員課長あて提出された要望書に学校職員一同との署名があるにもかかわらず、三重県教育委員会が同文書を職員有志が任意に提出した文書と判断したことにかかるすべての資料」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年5月19日付けで行った開示決定の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の開示理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。要望書は、平成13年2月27日に異議申立人の処遇に関して職員の有志から三重県教育委員会教職員課長に提出されたものであるが、実施機関あるいは校長の職務上の指示を受けて作成されたものではない。そもそも校長以外の職員に同僚の人事上の処遇について実施機関に要望・具申する権限がないことは明らかである。以上の理由から、当該文書は公務員としての職務として作成されたものではなく、職員の有志が任意で提出した私信であると考えられ、そのことを示す資料は、当該文書以外には存在せず、請求に対し、当該文書を開示する決定をした。
4 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
(1) 実施機関は、職員の有志が任意に提出した文書と判断したことに係る資料は今回開示する文書(要望書)以外には存在しないと決定したが、要望書には「学校職員一同」と署名があり、公務員としての外見を備えている。公務員が公務員としての外見を備えたまま「有志が任意に提出した文書」を作成することはありえない。
(2) 当該要望書を出すきっかけとして考えられるのは、校長が異議申立人を処分せよという内容の文書を実施機関に提出したことである。その文書の意向に沿って当該要望書が作成されていることを顧みるに、自発的に職員の任意で作成されたとは到底考えられない。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立ての対象となった個人情報並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
異議申立人は、要望書には「学校職員一同」と署名があり、公務員が公務員としての外見を備えたまま、有志が任意に提出した文書を作成することはありえないと主張する。
当審査会において、本件異議申立の対象となった要望書の内容を確認したところ、当該要望書は、異議申立人が主張するように公務員としての外見を備えている。しかしながら、そもそも学校職員が職務権限外の事項について、実施機関の当該事項の担当部署に任意に意見等を言うことは禁止されているわけではなく、学校職員から任意の要望等が実施機関に提出されることはあり得ることである。また、当該要望書が実施機関あるいは校長の職務上の指示を受けて作成されたことをうかがわせる事実も認められない。
以上のことから、当該要望書は職務として作成されたものではなく、実施機関が当該要望書のみをもって職員の有志が任意で提出したものと判断しても不自然ではないと認められる。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1 審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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平成17年11月16日 | ・ 諮問書の受理 |
平成17年11月21日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成17年 12月7日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成17年 12月8日 | ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び 口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成18年 6月12日 | ・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 ・ 審議 (第35回個人情報保護審査会) |
平成18年 7月10日 | ・ 審議 (第36回個人情報保護審査会) |
平成18年 8月10日 | ・ 審議 ・ 答申 (第37回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部助教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科講師 |
委員 | 安田 千代 | 司法書士、行政書士 |