三重県個人情報保護審査会 答申第16号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った「生徒の様子を見に行ったすべての職員の出張伺い、出張命令、復命書等すべての資料」についての非開示決定は妥当である。
また、実施機関が行った「生徒の様子を見に行くに至った過程の会議等の会議録、メモ、資料」についての非開示決定は取り消すべきである。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年1月8日付け及び平成17年1月13日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「生徒の様子を見に行ったすべての職員の出張伺い、出張命令、復命書等すべての資料」及び「生徒の様子を見に行くに至った過程の会議等の会議録、メモ、資料」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年1月24日付けで行った非開示決定の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の非開示理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
(1) 「生徒の様子を見に行ったすべての職員の出張伺い、出張命令、復命書等すべての資料」について
異議申立人は自分以外の職員が作成した旅行命令書及び復命書の開示を求めているが、これらは異議申立人の個人情報には該当しない。
(2) 「生徒の様子を見に行くに至った過程の会議等の会議録、メモ、資料」について
異議申立人は生徒の様子を見に行くことを決定した会議の会議録等の開示を求めているが、これらは異議申立人の個人情報には該当しない。
4 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
異議申立人が「生徒の様子を見に行きましょう」という他の先生からの申し出を拒んだという事実はなく、でっち上げである。非開示となった職員の出張伺い等はでっち上げであることを証明するための重要な資料である。また、非開示とされた資料は異議申立人がそのような行為を行ったか否かを示す、異議申立人にとっての個人情報である。でっち上げによって処分が行われることにつながったことは重大な人権蹂躙である。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立ての対象となった個人情報並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 「生徒の様子を見に行ったすべての職員の出張伺い、出張命令、復命書等すべての資料」について
生徒の様子を見に行ったすべての職員の中に異議申立人は含まれていないことから、本件異議申立ての対象となった出張伺い等は、条例第14条第1項に規定する自己に関する個人情報に該当せず、個人情報開示請求の対象とはならない。
(2) 「生徒の様子を見に行くに至った過程の会議等の会議録、メモ、資料」について
実施機関は、本件異議申立ての対象となった会議録等は異議申立人の個人情報に該当しないとして非開示決定を行っている。
しかしながら、当審査会において、当該会議録等について実施機関が異議申立人の個人情報に該当しないと判断した理由等を確認したところ、生徒の様子を見に行くに至った過程において職員間でどのようなやりとりがあったのかも判然とせず、また、当該会議録等は存在しないということであった。このような場合にあっては、異議申立人の個人情報に該当しないと判断すべきでなく、当該会議録等は存在しないとして不存在決定とすることが相当であったと思われる。
したがって、実施機関の行った非開示決定は妥当でなく、これを取り消すべきである。
(3) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1 審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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平成17年2月22日 | ・ 諮問書の受理 |
平成17年 3月2日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成17年 4月28日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成17年 5月6日 | ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び 口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成17年 8月23日 | ・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 ・ 審議 (第26回個人情報保護審査会) |
平成17年 9月22日 | ・ 審議 (第27回個人情報保護審査会) |
平成17年 10月25日 | ・ 審議 ・ 答申 (第28回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
委員 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部助教授 |
会長職務代理者 | 豊島 明子 | 三重大学人文学部助教授 |
委員 | 松井 真理子 | 四日市大学総合政策学部教授 |