三重県個人情報保護審査会 答申第1号
平成14年9月17日
三重県人事委員会 様
三重県個人情報保護審査会 会長 曽和俊文
個人情報の取扱いに関する制限の適用を除外する事項について(答申)
平成14年7月19日付人委第80号で諮問のありましたこのことにつきまして、その理由や必要性等を審査しました結果、当審査会の意見を下記のとおり答申します。
なお、今回諮問のありました事項のうち、類型諮問事項につきましては、今後、類型に該当する新たな事務が生じた場合につきましても当審査会への諮問は要しませんが、類型への該当性の判断は実施機関において厳格に行うこととし、該当性を判断しがたい事務や、該当するとしても特に慎重な取扱いを要すると考えられる事務につきましては、改めて当審査会の意見を聴いてください。
また、今回適当と認めた諮問事項につきましても、今後の個人情報の保護に対する社会の意識の変化等を踏まえ、適宜必要な見直しを行いながら適正な運用に努められるよう要請します。
記
1 個人情報取扱事務登録簿の作成を除外する事務(条例第6条第4項)
【類型諮問事項】
諮問された4類型につきましては、いずれも個人情報取扱事務登録簿の作成を除外することが適当であると認めます。
番号 | 登録の対象から除く事務 | 登録の対象から除く理由 |
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1 | 県、国又は他の地方公共団体の職員又は職員であった者に係る個人情報のうち、会議の構成員又は出席者名簿、職務に係る研修名簿、施設・資料等の貸出・利用者名簿、立入検査証の発行等の職務の遂行に関するものを取り扱う事務 | 行政機関の職員等の職務遂行に係る個人情報を取り扱う事務については、それぞれの機関において本人が当該事務の内容を知り得ることから、登録して一般の閲覧に供する意義に乏しいと考えられるため。 |
2 | 国又は他の地方公共団体の職員又は職員であった者の人事、給与、福利厚生等に関する事務 | 行政機関の職員等の人事、給与、福利厚生等に関する個人情報を取り扱う事務については、それぞれの機関において本人が当該事務の内容を知り得ることから、登録簿を作成して一般の閲覧に供する意義に乏しいと考えられるため。 |
3 | 物品若しくは金銭の送付又は業務上必要な連絡のために、相手方の氏名、住所その他の送付又は連絡に必要な事項のみ取り扱う事務 | これらの事務は、資料等の送付や連絡の目的で利用され、送付や連絡に必要な事項のみを取り扱うものであり、個人の権利利益の侵害のおそれが少なく、登録して一般の閲覧に供する意義に乏しいと考えられるため。 |
4 | 一般に入手することができる刊行物等に掲載された個人情報を取り扱う事務 | 刊行物等に掲載され、一般に知り得る状態にある個人情報を取り扱う事務については、当該個人情報が既に公になっていることから、登録して一般の閲覧に供する意義に乏しいと考えられるため。 |
2 本人からの収集の原則の適用を除外する事項(条例第7条第2項第6号)
【類型諮問事項】
諮問された6類型につきましては、いずれも本人からの収集の原則の適用を除外することが適当であると認めます。
ただし、個人情報の本人からの収集を原則とする条例の趣旨を踏まえ、本人以外から収集する個人情報の範囲やその必要性を十分に検討し、事務に必要な範囲で最小限 の収集とすることが望まれます。
番号 | 類型 | 本人以外から収集する理由 |
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1 | 栄典、表彰等の選考を行うため、候補者に関する個人情報を本人以外のものから収集する場合 |
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2 | 各種の委員、講師、指導者、助言者等の選任に当たって、人選に必要な範囲内で候補者に関する個人情報を本人以外のものから収集する場合 |
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3 | 県民等からの相談、苦情、要望、陳情等により提供される個人情報の中に、提供者以外の者に関する個人情報が含まれている場合 |
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4 | 実施機関以外のものから送付された資料に個人情報が含まれている場合 |
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5 | 指導、評価、争訟、交渉等の事務で、本人から収集したのではその目的を達成することができない場合 |
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7 | 本人の所在不明、心身喪失等の理由により、本人から収集することが困難な場合 |
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【個別諮問事項】
人事統計調査
本人からの収集の原則の適用を除外することが適当であると認めます。
事項 | 個人情報の類型及び内容 | 収集先 | 本人以外から収集する理由又は必要性 |
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人事統計調査 (人事委員会事務局) | 警察本部職員の氏名、通勤の状況、住居の状況、年次休暇の使用数 | 県警察本部長 | 地方公務員法第8条の規定に基づき、職員の給与等の実態を把握し、人事行政の能率的運営に資するために必要な基礎資料を得ることを目的として実施する。 毎年、4月1日に在職する本県職員を対象とした全数調査となるため、事務の効率化を図るとともに情報の客観性を確保するうえにおいて、各任命権者に依頼のうえ個人情報を収集する必要がある。 |
3 思想・信条等に関する個人情報の収集制限の適用を除外する事項(条例第7条第3項ただし書)
【類型諮問事項】
思想・信条等に関する個人情報は、本来、行政が主体的に収集すべきものではないと考えますが、このような個人情報が「県民等からの自由な意思で提供される場合」 には、実施機関には収集についての選択の余地はないことから、当審査会では、このような場合を類型に加えることなどにより、当初、実施機関から諮問され6類型を整理した3類型について適用を除外することが適当であると認めます。
ただし、適用を除外する事項に該当する場合であっても、思想・信条等に関する個人情報は、個人の人格に深く関わるものであり、その取扱いによっては個人の権利利益を侵害する危険性が高いものであることから、収集を原則として禁止する条例の趣旨を踏まえ、収集する必要性を十分に検討し、事務に必要な範囲で最小限の収集とするとともに、収集後もその取扱いには特段の配慮が望まれます。
番号 | 類型 | 収集する理由 |
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1 | 県民等からの自由な意思により、思想、信条、信教に関する個人情報又は社会的差別の原因となるおそれのある個人情報が提供され、実施機関として当該個人情報を収集する場合 |
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2 | 出版、報道等により公にされた思想、信条、信教に関する個人情報又は社会的差別の原因となるおそれのある個人情報を事務の目的を達成するために必要な範囲内で収集する場合 |
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3 | 栄典、表彰等の選考を行うため、候補者の思想、信条、信教に関する個人情報、又は社会的差別の原因となるおそれのある個人情報を収集する場合 |
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4 目的外利用及び提供の制限の原則の適用を除外する事項(条例第8条第1項第6号)
【類型諮問事項】
諮問された4類型につきましては、いずれも目的外利用及び提供の制限の原則の適用を除外することが適当であると認めます。
ただし、目的外利用及び提供を原則として禁止する条例の趣旨を踏まえ、目的外利用及び提供をする必要性やその範囲を十分に検討し、必要以上の個人情報が内部で利 用されたり外部に提供されることのないよう慎重に対応するとともに、提供に当たっては、相手方に対し使用目的や使用方法等の制限を課すなど、個人の権利利益を侵害することのないよう特段の配慮が望まれます。
番号 | 類型 | 目的外利用・提供する理由 |
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1 | 栄典、表彰等の選考に必要な範囲内で、候補者に関する個人情報を当該事務の目的以外の目的に利用又は提供する場合。 ただし、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められる場合に限る。 |
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2 | 委員、講師、指導者、助言者等の選任を行うため、人選に必要な範囲内で、候補者に関する個人情報を当該事務の目的以外の目的に利用又は提供する場合。 ただし、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められる場合に限る。 |
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3 | 報道機関への発表や報道機関からの取材、要請に応じるため、個人情報を当該事務の目的以外の目的に提供する場合。 ただし、県民等に知らせる公益上の必要性があり、かつ、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められる場合に限る。 |
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4 | 訴訟当事者である県が訴訟資料として個人情報を当該事務の目的以外の目的で裁判所に提供するとき。 ただし、実施機関から提供を受けなければ当該目的を達成することが困難なときであり、提供する個人情報の内容、当該目的その他の事情からみて、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないときに限る。 |
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5 オンライン結合による提供の制限の原則の適用を除外する事項(条例第9条第2項)
【類型諮問事項】
諮問された類型につきましては、オンライン結合による提供の制限の原則の適用を除外することが適当であると認めます。
番号 | 類型 | オンライン結合による提供の必要性 |
1 | インターネットを活用した個人情報の提供であって右に掲げる要件を満たす場合 | インターネットの活用により、県においてもホームページを活用して県民等に行政情報等を提供している。インターネットは、情報の即時性、最新性、経費の低廉性等の利点から、行政情報を提供する重要な手段となっている。 このような状況を踏まえ、実施機関がインターネットを活用して個人情報を提供する場合は、次に掲げる要件を充たすものとする。
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