三重県情報公開・個人情報保護審査会 答申第9号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は、妥当である。
2 審査請求の趣旨
審査請求の趣旨は、開示請求者が平成29年2月2日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った、「平成20年2月頃よりの三重県警察本部長の名前と在任期間(平成29年2月まで)、平成24年2月頃より現在までの四日市南警察署長の名前と在任期間」についての開示請求に対し、平成29年2月16日付けで三重県警察本部長(以下「実施機関」という。)が行った不存在決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるものである。
3 審査請求の理由
本件については、審査請求人から意見陳述を行うかどうかの意思表示がなされなかったため、審査請求書に記載された審査請求の趣旨に基づいて審議を行った。審査請求書における審査請求人の主張は、次のとおりである。
2008年2月7日鈴鹿市内と2012年2月27日四日市市内で、交通事故の被害にあい、それぞれ発生場所の偽装が判明したため、三重県警察本部長と四日市南警察署長には民法第709条不法行為により負う責任がある。よって非開示には不服がある。
4 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
勤務職員に関する個別の人事記録については、記録化して組織的に管理している実情はあるが、歴代の職員の異動に係る変遷について殊更記録化しておくことは業務上の必要性が低く、時系列に歴代職員の氏名等を羅列するような書面は作成していない。
三重県警察本部長名や四日市南警察署長の氏名や着任日は、報道等により公にされている慣行情報で何人に対しても提供が可能な情報であるため、審査請求人に対し、情報提供が可能である旨を説明したが、審査請求人はあくまで歴代の三重県警察本部長名や四日市南警察署長の氏名及び在任期間が記載された「一覧表のような公文書」の開示を求めたため、不存在決定を行った。
なお、審査請求人は、その後、情報提供での対応に応じたものの、審査請求の取り下げには至らなかった。
5 審査会の判断
(1)基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2)本決定の妥当性について
実施機関は、歴代の職員の変遷について殊更記録化しておくことは業務上の必要性が低く、時系列に歴代職員の氏名等を羅列するような書面は作成していないと主張している。
この実施機関の説明に特段、不自然、不合理な点は見られず、当審査会としては、実施機関が当該文書を作成又は取得をしておらず、当該文書は存在しないものと判断する。
(3)審査請求人のその他主張について
審査請求人は、交通事故発生場所の偽装が判明し、三重県警察本部長等に民法第709条不法行為により負う責任があると主張しているが、当審査会は条例に基づき実施機関の行った処分についての不服申立てに関し審査するものであるため、当審査会の判断を左右するものではない。(4)結論
よって、主文のとおり答申する。6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日 | 処理内容 |
---|---|
29. 8. 1 |
・諮問書及び弁明書の受理 |
29. 8.17 | ・実施機関に対して、意見書の提出依頼 ・審査請求人に対して、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
29.10.25 |
・書面審理 (平成29年度第4回第2部会) |
29.11.22 |
・審議 (平成29年度第5回第2部会) |
三重県情報公開・個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 |
---|---|
会長 (第一部会部会長) |
髙橋 秀治 |
※会長職務代理者 (第二部会部会長) |
岩﨑 恭彦 |
委員 | 内野 広大 |
委員 |
川本 一子 |
委員 | 藤本 真理 |
※委員 | 片山 眞洋 |
※委員 | 木村 ちはる |
※委員 |
村井 美代子 |
なお、本件事案については、※印を付した会長職務代理者及び委員によって構成される部会において調査審議を行った。