三重県情報公開審査会 答申第437号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は、妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成27年4月27日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った、特定小学校での事故欠席による出席停止の手続きに関する校長の意見書、保護者の意見、その他の文書についての開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。
3 異議申立人の理由
異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
三重県教育委員会は当該事件に関する何らかの報告を市の教育委員会から受け取っているはずである。
4 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定は妥当というものである。
市の教育委員会に特定小学校から届出は提出されておらず、実施機関においても市の教育委員会から報告を受けていないため、公文書は存在しない。
5 審査会の判断
(1)基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2)本決定の妥当性について
実施機関から聴取したところ、当該小学校における事故欠席に関する文書については、市の教育委員会から報告がないため、本件対象公文書は取得していないとのことである。また、実施機関において、当該市の教育委員会も異議申立人が求めている事故欠席に関する文書を保有していないことを確認している。これらの説明に特段、不自然、不合理な点は見られず、本件対象公文書が存在しないとする実施機関の主張は、信用できるものであり、当審査会は実施機関が対象公文書を保有していないと判断せざるを得ない。したがって、本件対象公文書を不存在とした決定は妥当である。
(3)結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日 | 処理内容 |
---|---|
27. 6. 1 |
・諮問書の受理 |
27. 6. 3 | ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
27. 6.22 | ・理由説明書の受理 |
27. 6.29 |
・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
27. 9.15 |
・書面審理 (平成27年度第5回A部会) |
27.10.27 |
・審議 (平成27年度第6回A部会) |
三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
---|---|---|
※会長 |
早川 忠宏 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
※会長職務代理者 | 岩﨑 恭彦 | 三重大学人文学部准教授 |
会長職務代理者 | 川村 隆子 | 名古屋学院大学現代社会学部准教授 |
※委員 |
髙橋 秀治 |
三重大学人文学部教授 |
委員 | 東川 薫 |
四日市看護医療大学准教授 |
委員 | 藤本 真理 |
三重大学人文学部准教授 |
※委員 |
村井 美代子 |
三重短期大学教授 |