みなさまからいただいた寄附金で友好のカヌーを実用に耐えられる状態へ復活させる「友好のカヌー修繕プロジェクト」の第一歩として、「実際にどうやってカヌーを修繕するか」を検討するための現物確認が、令和3年10月28日、三重県立水産高校で行われました。
カヌーの現状確認
以前から友好のカヌーの修繕やカヌーを活用した航海プロジェクトに携わっていただいたNPO法人日本航海協会から、奥理事長をはじめ3名の方。そして、友好のカヌーと同じように1本の丸太をくり抜いて作るハワイアンカヌーの専門家である、NPO法人日本ハワイアンカヌー協会の中富様にお越しいただき、カヌーの現状を確認するとともに、今後の修繕方針を検討していただきました。(黒い線状に見えているひび割れ部分(補修箇所)を確認する様子)
(過去に応急修繕を行った奥理事長(右から2番目)から、ひび割れの様子を聞きながら現状を確認する中富氏(右端))
(浸水の様子を確認するための進水試験は、風が強かったためマストは立てない状態で約30分、水産高校の生徒も交代で乗って艇庫前の入り江を漕ぎました。)
(クラウドファンディングでは、カヌーの修繕と併せて、専用台車の制作も計画しています。どういった台車にするか、既存の台車を見ながら検討しました。)
素晴らしいカヌー
中富様をはじめとする専門家のみなさんからは、次のような話を聞くことが出来ました。■このカヌーの文化的な価値は非常に高く、国レベルの博物館に展示されるべき物。パラオ共和国の大統領から三重県へ、このカヌーが贈られたことの意味を、県民(国民)へしっかりと伝えていく必要がある。
■ひび割れの補修自体は、技術的にそれほど難しいものではない。一方で、木で出来ている以上、常に経年劣化してひび割れが発生してくる。今回の修繕では、単にカヌーを修繕するだけでなく、修繕の技術を水産高校の生徒や教員に学んでもらいたい。そうすれば、経過とともにひび割れが発生しても自分たちで補修して、このカヌーを将来にわたって使うことが出来る。
■せっかくお金をかけて補修するのであれば、各部を固定しているロープや塗装、装飾の貝細工などの細部まで磨いてはどうか。きっと素晴らしく美しいカヌーになる。
(応急修繕で使用されているロープ。各箇所でバラバラなので、統一するべきというご意見をいただきました。)
■以前の進水試験の様子をパラオの高齢者に見せたところ、「自分たちが出来なくなったことを、どうして日本人が出来るんだ!」と非常に驚いていたと聞く。また、カヌーの細部にちりばめられた、機能性とはあまり関係のない曲線美を見ていると、日本から渡った船大工が制作に携わっていたのかもしれない。このカヌーは、今後もパラオとの交流を深めていくのに、非常に重要な役割を果たしてくれるのではないか。
(船底部の装飾として貝殻の加工したものが貼り付けられています。)
(随所にある曲線や細部の装飾が日本人っぽいのではないか、というご意見でした。)
今後の方針
現状確認を行った結果、友好のカヌー修繕プロジェクトは、次の方針で進めることになりました。■外部団体の助成事業へ申請して追加資金を獲得した上で、修繕及び細部の磨き上げを十分に行うとともに、台車の制作を行う。
■助成事業に採択されなかった場合は、集まった寄附金で可能な修繕と台車制作を行う。
■助成事業の採択結果が3月頃になるため、修繕と台車制作は令和4年4月以降に行う。
専門家の方が、目を輝かせながらカヌーに触りカヌーの価値について語っているのを見て、友好のカヌー修繕プロジェクトを何としても成功させたいと強く感じました。
(文責 三重県国際戦略課)