2019年2月赴任 赴任国:エチオピア共和国 職種:理科教育
報告日:2020年6月29日
■エチオピアについて
エチオピアは、「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ大陸の東側に位置する国です。日本の約3倍の国土に約1億人が住んでおり、80以上の民族で構成されています。言語も複数ありますが、公用語としてアムハラ語が話されます。日本から約1万km離れた遠い地ですが、エチオピア人は、目上の方を大切にしたり、お辞儀の文化があったり、日本の文化と共通する部分も多いです。世界でも非常に貧しい国の一つではありますが、近年の経済成長は著しく、経済的にはアフリカで注目されている国の一つだと思います。■エチオピアでの生活
今回のボランティア活動で初めてアフリカ大陸に降り立ったということもあり、エチオピアの第一印象は、思っていたよりも近代化されているという印象でした。首都では高層ビル、整備された道路、電車、多くの人がスマートフォン・携帯を使用しており、Wi-Fiもどんどん広がっているようでした。赴任前はアフリカ大陸といえば赤土の広い大地を想像していたので、最初は街の様子に驚きましたが、実際に生活をしてみると電気・水道は週に何度も止まったり、現地の人々の生活は貧しく、見た目の近代的な部分と実際の生活でギャップがあり、そのギャップに慣れるまでには少し時間がかかりました。■エチオピアでの活動
私は理科教育隊員として、首都アディスアベバにあるテメンジャヤジ小学校に派遣され、主に実験室を管理するラボラトリーテクニシャン(以下、ラボテク)と先生方への理科実験(7、8年生の物理・化学・生物)のサポートを行ってきました。私が赴任した小学校では、私で4代目のボランティアであったため、以前のボランティアを知っている先生方や生徒達は日本人にも慣れているようで、活動当初から温かく迎えてくれました。・学校の様子(毎朝、中庭に集まってフラッグセレモニーを行います)
エチオピアの理科教育の問題点としては、理論・暗記中心の授業で実際の現象を見て考えるということができていないということでした。そのために必要な実験器具が十分でない、使い方や管理方法を知らない、実験室の設備が十分でないなどの問題がありました。そこで、活動の中では、新しい実験の提案や使い方の指導、実験器具の購入や管理方法の指導を行いました。また実験室の設備については、学校に対して実験室の改装の提案をラボテクと共に行った結果、校長先生の理解を得て、かつ幸運にも予算がおり、実験室を改装することができました。
活動の中で苦労したことはたくさんありますが、その一つは、エチオピアでは物事を進めるのに確約はなく、日本で仕事を進めるよりも何倍も何十倍も時間がかかることです。例えば、前日に実験の約束をしていても当日には忘れられていたり、学校の行事が急遽入って授業がなくなったりということもありました。ただその中でも、先生やラボテクは活動に協力的で、私が日本ではエンジニアの仕事をしていて教員経験がなかったので、逆に教えてもらうことも多く、活動ではお互いアイディアを出しながら進めていきました。赴任して一年が経ち、一番感じた変化は、ラボテク以前よりも積極的に質問をしてくれるようになり、授業が終わった後に実験の内容でうまくいったことや改善点を話し合って、次の実験に反映するというように、自ら進めることができるようになってきたことです。私のボランティア活動が終わった後でも、現地の先生やラボテクが自分たちで継続的に実験ができるようになることを目標にしていたので、少しずつですがこの変化を感じたときは嬉しかったです。
・実験の様子(グループでの実験や生徒が前に出て実験を行うこともあります)
その他の活動として、他のボランティアと協力して教員向けの理科セミナーの開催や生徒向けに昼休みにサイエンスクラブの実施、日本の中学生とビデオ通話での文化交流授業などを行いました。様々なことに取り組むことができたのは、現地の先生方の協力や何よりも生徒達が楽しそうにしている様子が原動力となりました。
・教員向け理科セミナーの様子
・サイエンスクラブ(自分たちのアイディアでものづくりしています)
現在は(2020年6月時点)、新型コロナウィルスの影響で学校は休校となっています。私も帰国することとなり、現地での活動は続けることはできていませんが、日本からでも何かできないかということで他のボランティアと協力して、遠隔教材(実験動画)の作成に取り組んでいます。またいつかエチオピアに戻り先生方や生徒達に再会したいですが、まずは早く新型コロナウィルスが収束してエチオピアの人々が日常生活を取り戻すことを願うばかりです。