支援物資:三角スケール30本
活用状況報告
ベトナムのホイアンに建築隊員として派遣されている服部純香です。
三重県から送って頂いた三角スケールの活用状況について報告をさせて頂きます。
支援物資要請の背景
配属先では、CAD(パソコンを使用して建築図面を設計・製図するソフト)で描いた図面を、印刷の際に用紙の中で見易い大きさに自由にサイズ変更した図面で工事が進められています。それでは定規をあてても図面から寸法が読み取れず、現場で細かい寸法確認ができないうえ、職人の作業精度にも支障をきたしています。原因として、①現場で実際に作業する人ではなく上層部に提出する建築許可申請図面として見やすい図面をつくることが一番の作図目的になってしまっていること、②縮尺定規が無いため縮尺の選択肢が少なく、定規を使って図面の寸法を測るという概念が定着していないことの二つが挙げられます。それらの図面作成における問題を解消したく、三角スケールの提供を依頼させて頂きました。
支援物資の活用状況
この度、三重県県土整備部建築開発課様のご協力を得て、三重県建築士協会様と三重県建築士事務所協会様から、15cmの三角スケール16本と30cmの三角スケール14本を提供頂きました。【支援物資進呈時】
【支援物資の三角スケール】
三角スケールの到着後、支援物資の提供を受けた意図と活用方法について、また図面表記の改善点についての報告書を提出しました。配属先からの率直な回答として、図面に関わる多くの人達の見解の相違によりすぐに図面表記を改善することは難しいだろうと言われました。
しかし、私の所属する遺跡修復室の同僚の建築士は、三角スケールを使用することや図面表記の改善の必要性は十分に理解しており、徐々に取り入れ実施されていくべきことだと言っています。そして、今回の三角スケールの到着を非常に喜んでくれています。
【配属先で作成された1/50図面】
三角スケールで測れます!!
また、嬉しいことに3月末から始まった一つの修復現場では、その現場の図面作成を同僚が担当したことにより、定規で測ることのできる図面によって工事が進められることになりました。すごく基本的なことなのにどうして改善できないのだろうと苦慮していたところだったので、その図面を見て、同僚に私の意志は伝わっていると分かり非常に嬉しかったです。
【三角スケール活用風景】
まだまだ図面表記に関して不十分なところがありますが、頂いた三角スケールを十分に活用してもらえるように、残りの任期もその必要性を伝えていきたいと思います。
最後に、この支援物資の提供にご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました。この支援を通じ、故郷である三重県について少しでも配属先に伝えることができ、架け橋になれたことを嬉しく思います。ありがとうございました。