みえ国際協力大使 伊藤昭平さんからの活動報告
赴任国:トンガ王国 職種:野菜栽培 2015年7月派遣
親日国の小さな島国「トンガ王国」
こんにちは。2015年7月より青年海外協力隊としてトンガに派遣されている伊藤昭平と申します。職種は野菜栽培です。三重県の皆様にトンガの現状について知ってもらい、実際に私がここで貴重なことを感じているように、少しでも何かを感じて頂ければ嬉しく思います。
「トンガの紹介」
皇太子妃雅子さまが皇太子さまと共に2015年7月、トンガ国王ツポウ6世の戴冠式に御出席のため2年ぶりに海外公式訪問をされたことで少しニュースになりました。トンガは日本の皇室との親交があり、親日国なのです。学校では選択科目ではありますが日本語が履修科目としてあり、そろばんについては年に一度トンガ全体で全国大会があるほど力をいれています。
そんなトンガは南太平洋に位置し、人口は約10万人、面積は720㎢で対馬とほぼ同じというとても小さく、地図上では点にもならないことがしばしばあります。
観光では、世界でも珍しいクジラと一緒に泳げる「ホエールスイミング」が有名です。
日常風景 ババウ島はヨットマンに有名
「活動について」
私は本島から飛行機で北へ1時間ほどのババウ島というところで活動をしています。私はここババウ島が大好きです。人々の性格、暮らし、考え方など、日本とは全く違います。日本のように物が豊かにあるわけではありません。娯楽も少ないです。しかし、とにかくよく笑います。とても幸せそうなのです。そんなババウ島の人々と一緒にいることにより、その「幸せ」が少しではありますが理解できているような気がします。物が豊かではないからでしょうか。ババウ島の人々は自ら色んな物を作れます。壊れても上手に直すことができます。娯楽が少ないからでしょうか。お喋りがすごく好きで、よく爆笑を超えた奇声を発しています。また現地語であるトンガ語は言葉自体が少ないため、表情で伝えることや表情から理解することに長けています(例えば「買う」と「売る」が同じ言葉)。私が上手く説明できなくても「何でわかってくれたの!」ということがよくあります。そんなババウ島で「私ができることは何か」を常に考えながら活動をしています。
トンガは肥満大国です。私の職種は野菜栽培ですが、最終目的はトンガ人が野菜をたくさん食べ、健康になることです。
まずは同僚と一緒に野菜作りをし、教えられることを教えていこうと活動を始めました。しかしこの考えは間違っているとすぐに気付きました。「教える」ではなく「意見を共有し、最適な方法を一緒に考える」という考えに変えました。彼らには彼らのやり方があります。それでずっとやってきています。なので、今はとにかく仕事の話はもちろんですが、何気ない雑談も含めて、お互いに壁なく話すことを大事にしています。それができて初めて「私ができることは何か」がわかってくるのではないかと思っています。
同僚と野菜作りの様子
そんな中で現在力を入れているのが「種採り」です。ここババウ島では種子を販売している店はなく、農家は本島か海外で購入するか、農業省が作っている苗を購入して野菜栽培を行っていますが、いずれも高価です。同僚と話していると、自ら種採りができれば農家の負担も減るとのことでした。そこで現在、ニンジン、レタス、ピーマン、オクラの種採りに向けての作業が進行中です。
ニンジンの花 ニンジン種子収穫後の調整
また職種とは関係ありませんが、トンガと日本の関係を若い世代に話すことも大切にしています。上記の通りトンガは親日国ではありますが、若い世代になるほどトンガと日本の関係について知らない人が多いと感じています。トンガ人に更に親日になってもらうことも大切な活動と感じています。
「最後に」
日本は便利でありサービスもしっかりしており、とても素晴らしい国です。しかし発展途上国も、その気候や国民性に応じた彼らの素晴らしい暮らしがあります。彼らから学ぶことも非常に多いです。サイクロンで私の住まいの窓ガラスが3枚割れ、部屋が水浸しになってしまった時のことです。このことをトンガ人に話すと、返ってくる言葉は皆同じ。「あなたが無事なら何も問題ないよ。」そして普段は日本人より動きがゆっくりなトンガ人が、こういう時は一生懸命とても素早く助けてくれます。
残りの任期も彼らと共に活動していきます。