支援物資活用状況報告(マラウイ、水越健介さん、2014年3月報告)
パソコン
パソコン寄贈依頼の背景
日本では今日の企業活動において情報のデジタル化やWebサイトによる情報提供などIT(Information Technology)は必須の要素であると思います。企業にとどまらず、普段の生活でも私達はITの恩恵を享受しています。日本という先進国に住み慣れた私達にとってIT機器は身近なものに感じられます。今、その波は途上国にも押し寄せています。
私は東南アフリカに位置するマラウイ共和国にあるムズズテクニカルカレッジでITを教えています。マラウイ共和国は、いまだに国民の40%が1日1ドル以下で暮らしており、世界最貧国といわれています。そんな国マラウイでも、モバイルが中間層まで浸透し、企業は紙媒体からデータ化が進むなど、否応なくIT化が進んでいるように感じます。しかし、一般市民にとってパソコンはまだ高嶺の花といった位置づけであり、パソコンを使おう、学ぼうとしても、なかなか手が届かない存在です。
私が配属された当初、IT科を有する配属先であるにも関わらず、壊れかけの古びたパソコンが数台ある程度でした。低スペックの数台のパソコンで、数十人の生徒が社会で求められるような実践的な技術を身につけることは難しいとい言わざるを得ません。また学ぼうとしても教科書が無いなど、情報を得ることができません。
そこで以下を目的に三重県庁にパソコンの寄付を依頼しました。
1 効率的な学校運営、講義の実現
2 実践的なIT技術の指導
3 ITを利用した情報収集と発信
寄贈パソコンの活用状況
三重県庁だけでなくNEC様にもご協力いただき、結果18台ものノートパソコンとマウスを寄贈いただきました。18台のうち、3台を教員用に講師室に、残り15台を生徒の学習用に教室に設置しました。
講師室では設置直後からパソコン利用の順番待ちが発生するほど講師たちから需要がありました。講師たちは主に配布物の作成、講義に向けた情報収集に利用しています。ただパソコンの操作に慣れていない講師が多数を占めているため、パソコンの基本操作を教える必要があります。私が帰国するまでは、基本操作の方法だけでなく、パソコンを使用した様々なITの利用法も伝えていこうと考えています。
また、寄贈いただいたパソコンに生徒情報管理システムを新たに構築することを検討しています。今までは生徒の情報、学費の支払状況や成績の管理を紙媒体で行っていたため、紛失やミスが多発し、また情報の参照にも時間を要していました。簡易的ではありますが、VBAを使用した生徒の情報を一括管理できるシステムの構築が完了したので、今後は学長や会計担当者に操作と管理方法を連携していこうと思います。
写真1:資料を作成する同僚
そして、生徒用に導入した15台のパソコンも早速利用されています。
私が所属するIT科では、LAN環境の構築、プログラミングやメンテナンスを教え、秘書科や会計科などIT科以外の学科では、パソコンの基本操作とマイクロソフトオフィス(Word、Excel、PowerPoint)を同僚とともに指導しています。また、各パソコンに電子教科書を導入し、学びたいことを学べる環境作りを進めています。今まではパソコンのスペックと台数の関係で十分な講義を提供できていませんでしたが、今は生徒1人につき1台のパソコンを割り当てて、効率的で実践的な講義が可能になりました。
写真2:LAN構築の授業
さらに、希望者を対象にWebサイト構築を中心とした情報発信の方法を教えています。発信(アウトプット)を前提とすると、興味あることをより深く知るようになり、生徒の知識向上を貢献すると思います。少し大袈裟かもしれませんが、自分の知らないことを調べ、知っている情報を発信するという行為を繰り返すことによって、生徒のみならずマラウイ社会全体の発展にも寄与すると信じています。(特に現地語による情報発信など)
写真3:Webサイト構築の授業
今後の展開
街中で、パソコンを学びたい、ITを学びたいという話を地元住民からよく耳にします。そこで寄贈いただいたパソコンを利用し、基本操作やITの可能性を説明するオープンカレッジを開催したいと考えています。その他にも様々な用途で活用させたいのですが、私は2014年9月に任期を終えて帰国しなくてはなりません。そのため、私が帰国後もパソコンが活用され、メンテナンスされるようマラウイ人の同僚とともに管理方法を検討していきます。
最後に、ムズズテクニカルカレッジを代表してお礼申し上げます。
ご協力頂き誠に有難うございました。
写真4:生徒を指導する水越さん