みえ国際協力大使 佐野礼佳さんからの活動報告
赴任国:ブラジル 職種:日系日本語学校教師 2011年7月派遣
地球の反対側に存在するもう一つの「日本」を、みなさんはご存知でしょうか。
ブラジル・サンパウロにある世界最大の日本人街「リベルダージ」では、鳥居や提灯、漢字の看板があちこちに見られ、日本語が飛び交っています。通りには日本の書籍を扱う書店、和菓子屋、日本食のレストランや食品店が並び、日本の商店街を歩いているような錯覚に陥ります。
今から遡ること105年前の、1908年に日本からの最初の移民がブラジルへ到着して以降、合計約25万人の日本人がブラジルへ移住しました。現在ブラジルには彼らの子孫である日系人が約150万人住んでいます。
初期移民はコーヒー農園での苛酷な労働を強いられました。しかし、苦労しながら自分の農地を手に入れ、徐々に成功をおさめ、農業だけでなく商業など様々な分野に進出し、その誠実さからも、日系人はブラジル社会で高い評価を得るようになりました。
そして、現在三重県をはじめ日本にたくさん住んでいる日系ブラジル人は、かつて日本から移住した日系人の子孫です。日本から距離的に遠く離れたブラジルですが、日本と非常に縁が深い国なのです。
サンパウロで『三重県橋』という名前の橋を見つけました。
私が赴任したのはブラジル北部、ロライマ州の州都ボア・ビスタ市です。
ロライマ州はブラジルの最北部に位置し、ベネズエラと旧イギリス領のガイアナと国境を接しています。州都は北緯3度、赤道上が近く一年中蒸し暑いです。人口32万人、とブラジルで一番人口が少ない州ですが、ここにも日系人が約100人住んでいます。
私が活動している日本語学校「ロライマ日本文化学院」では、現在約50名の生徒が日本語を勉強しています。日系人も、日系人でない人も居ます。年代は中高生・大学生といった10代20代が中心です。日本のアニメ、漫画、J-POP、ドラマが好きで勉強を始めた生徒が多いです。日本から、そして日系人が多いブラジル南部からも遠く離れたここロライマ州では日本語を使う機会はほとんどありませんが、生徒たちは「アニメに出てきた言葉だ!」「この漢字はかっこいい!」など、それぞれ面白みを見つけて、非常に熱心に勉強しています。
学校では日本語を教えるだけでなく、日本の文化や習慣も紹介しています。先生たちと協力し、これまで書道教室、将棋教室、茶道教室、おにぎり教室、かるた大会、運動会、スピーチコンテストなど様々な行事を行ってきました。
茶道教室:正座をするのにも一苦労です。
スピーチコンテスト:たくさんの生徒が日本語のスピーチを暗記して挑みました。
また、生徒たちを中心に盆踊りグループを結成し、市や州のイベントで盆踊りを披露しました。
任期は残りわずかになりました。私がここまで無事に活動ができたのは、学校のスタッフや生徒たちをはじめとするたくさんの方々の支えのお陰です。本当に有難く感じています。残りの期間、楽しい授業ができるよう精一杯努めたい、そしてこの感謝の気持ちを日本に帰ってから何らかの形で活かすことができたら、と考えています。