みえ国際協力大使 永廣 真紀子さんからの活動報告
赴任国:インド 職種:日本語教師 2009年9月派遣
1.はじめに
三重県のみなさん、こんにちは。2009年9月にインド・デリーへ赴任し、早1年が経ちました。国名は知られていても実情はあまり知られていない国、インド。この度私が見て感じたインドや配属先を紹介することで、みなさんに少しでもインドを知っていただけたらと思います。
2.インドについて
みなさんはインドに対してどのようなイメージがありますか?「カレーとナン」「象」「ターバンにひげのおじさん」「カースト制度」「貧しいながらもキラキラした瞳を持った子どもたち」…でしょうか。これらすべてが正解で、逆にそれだけでは1%もインドを形容できません。それだけ多様で、混沌とした国です。
インドは世界第2位の人口を有し、面積は日本の約9倍、ヨーロッパ大陸に匹敵する大きさを誇ります。数多くの民族・宗教が混在し、17種もの言語がお札に印刷されています。したがって「北インド人と南インド人では言葉が通じない」ということがよくあります。またデリーやその他都市部では英語も頻繁に使われています。
典型的なインド人としてイメージされる「ターバンにひげのおじさん」はシク教と呼ばれる宗教の信者であり、インド全体で約2%ほどです。インド人の約80%がヒンドゥー教徒であり、「ガネーシャ」の名で日本でも知られる象の神様をはじめ、多くの神様をアイドルのようにポスターや像などで親しみ、愛しています。
「カースト制度」は差別的な考えというよりも生活の一部として、ごく当たり前のように存在します。進学・就職・結婚などにあらゆる制約があります。インドのお金持ちは日本人のそれとは桁違いな生活をし、逆に路上生活を余儀なくされている人も大勢います。格差が激しく、同じインド人であってもその生活は本当に様々です。
インド門 夕刻の官庁街
カレー定食「ターリー」
3.配属先について
配属先である「Ramjas School」は日本の幼稚園から高校までの機能を有する、生徒約2,000名が通う私立学校です。デリーの裕福な子どもたちが通う私立学校では、ヒンディー語(母語)の授業以外はすべて英語で行われています。大体11歳くらいから英語のみで不自由なくコミュニケーションがとれるようになります。
当校では11歳~13歳の生徒約405名が必修科目として日本語を学んでいます。話好きで記憶力の高い生徒たちの発言には毎回驚かされます。ここでの日本語教育は「異文化理解」としての位置付けであるため、高い日本語力は求められていません。それ以上に日本語や日本に興味を持ち、日本語を通じて海外に目を向けたり、自文化を振り返ったりする機会になってくれれば嬉しいと思っています。
子どもたちにとって日本との一番身近な繋がりは自動車です。「マルチスズキ」というインドと日本の合弁会社が生産する自動車はシェアNO.1であり、多くの優秀なエンジニアが活躍しています。憧れの職業であるエンジニアを夢みて、熱心に学ぶ生徒も少なからずいます。また「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」など日本のアニメも人気があり、授業中にそれらの話題を使うと見違えるほど真剣になります。
日本語は日常生活や進学には全く必要とされていないため、生徒全員が熱心かといえば決してそうではありません。しかし、何より将来インドと日本の架け橋として活躍が期待される子どもたちのお手伝いができる…そのような喜びを胸に、日々活動しています。
配属先の校舎 教室の様子
生徒のノート