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平成20年02月04日

みえ国際協力大使 池山 典行さんからの活動報告

赴任国:サモア職種:技術科教師2006年6月派遣

「サモアの紹介」

青年海外協力隊員としてサモアに赴任してから1年がたち、私はさまざまな出会いと経験にあふれた毎日を送っています。私の村では電気・水道が整備されているものの、停電・断水は毎日のようにあり、近くに流れている川で洗濯や水浴びをすることもあります。ジトーっと湿っているので、食べ物がすぐダメになり、服にカビが生えたりします。蚊やムカデ、ゴキブリ、アリなんかの虫にも悩まされています。日本から来たばかりの頃は家もきちんとできていなくて、日本の生活とのあまりの違いに膝を抱えて夜を過ごしていましたが、優しく人懐っこい現地の人たちと打ち解けていくにつれて、不便な任地での生活になじんでいくことができました。

私の赴任国であるサモアは、日本から遠く離れた太平洋に浮かぶ小さな島、日付変更線のすぐ東に位置していて、世界で一番最後に沈む夕日を見ることができます。“青い青い空だよ~♪雲のない空だよ~♪“と歌われる「サモアの歌」の通り、きれいな海と椰子の木に囲まれた常夏のパラダイスが広がっています。

サモアはウポル島とサバイィ島の二つの大きな島と、その周辺に浮かぶ9つの小さな島が寄り集まってできています。全部の島を足しても三重県の半分くらいという小さな国に約18万人の人が住んでいます。たくさんの子どもたちと親戚の大人数で助け合いながら、自給自足で生活している家族がほとんどですが、ニュージーランドやオーストラリアに出稼ぎに出かけている家族からの仕送りや、日本を含めた先進国からの資金提供や技術援助に頼っている姿もあります。

サモアの人たちは、とにかく豪快。よく食べ、よく寝て、よく笑う。人が集まるとすぐ歌が始まり、大きな体で踊りを楽しみます。道行く人と陽気に「マロ!(こんにちは)」と声をかけあったり、声に出さなくても眉毛を動かしてあいさつをしたり。どんなしかめっつらしたおじいさんでも、にっこりと微笑み返してくれる、そんなステキな人たちばかりです。

サモアでは、タロイモやバナナが主食で、自分の家の畑で育て、蒸したり、焼いたり、ココナッツと一緒にゆでたりして食べます。私はパルサミという、タロイモの葉っぱにココナッツの絞り汁を入れて蒸し焼きにしたものが大好きです。毎週日曜日の朝には、ウム料理という伝統的な料理をどの家も朝早くから作ります。最近はサモアの伝統食以外に、海外から輸入した羊肉や鶏肉、缶詰のコンビーフなどカロリーの高い食事が多くなってきて、健康への影響が心配されています。年に一日だけ海で取れるパロロという珊瑚虫は特に貴重なものとされていて、早くからパロロ予想がニュースで流れ、みんなで網を作ってすくいに行ったりします。サザエのワタみたいな磯の味が強烈です。

私が活動するファレアリリ中学校は、首都アピアから1時間ほどバスに揺られた田舎の村にあります。9年生から12年生まで約300人が通う学校で、その全クラスの選択授業で技術科を教えています。数年前から技術の授業が新しく設けられたばかりなので、授業や実習の進め方、工具の管理の仕方などを全国の技術科の先生に提案するワークショップの手伝いもしています。

田舎の学校なので教科に使える予算がないだけでなく、どの授業でも教科書が足りず、1冊の教科書を6~10人で共有して使わなければなりません。日本のように一人一つ使える机もないので、床にゴザを敷いて座っています。10年前に日本からたくさんの工具が援助されたのですが、高温多湿の気候のため、金づちは柄の部分が腐っていて頭が引っこ抜けたり、ノコギリは刃がボロボロで非常に切れ味が悪いものしかありませんでした。またずさんな管理だったので、工具のほとんどは紛失されていました。そんな環境の中でも、「ものづくりの楽しさ」は万国共通と思い、サモアならどこでも手に入るココナッツの殻を利用して、貯金箱、風鈴、写真立てなどを作りました。また日本のよりも肉厚ですが、民家に植えられていた竹をいただき、竹細工にも取り組んでみました。子ども達はとても楽しそうに実習活動をし、自分の作品をよりよいものに仕上げようと目を輝かせて作業していました。時には失敗してヤル気をなくしてしまうこともあるけれど、お互いに刺激しあいながら作業に取り組んでいます。

サモアでの技術科授業の発展のために、先生達と製作体験をしたり、工具の保守保管についてレクチャーをしたり、生徒が理解しやすい授業展開の提案をしたりといったワークショップを開いてきました。技術科の先生達と作品を作ったときも、子ども達と同様、強い意欲を感じることができました。どの学校でも、材料や工具の不足を嘆いていて、それが技術科発展のための大きな課題であると考えています。しかしモノがない中でもできる実習活動を地道に紹介し、知識とちょっとしたアイデアを駆使しておもしろいものができるということを広めていくのが、私に今できることと思っています。

またサモア特産の製品を開発したいと考えています。あまり利用されていないココナッツの幹は大きな可能性を秘めていると思うのですが、乾燥するのに手間がかかり、私の活動期間中には実現は難しそうです。

一方で廃材や端材を利用したリサイクル製作に取り組んだり、ゴミの分別なども指導しています。サモアは今ゴミ問題が深刻化しています。もともと自給自足の完全リサイクル社会で、ポイ捨てしてもすぐ土に戻ってしまうものばかりでした。しかし輸入物に頼るようになってゴミが大量に出始め、小さな島なのでゴミ処理場もまもなく満杯になってしまいます。生活ゴミも昔の感覚で道端にポイ捨てするので、瓶や缶、プラスチックなどが半分土に埋まっていたりします。日本と同じような、いや日本よりも小さな島国であるからこそ、影響がすぐ現れてきます。

地道な活動ですが、ひとりでも多くの子どもにリユース、リヒューズ、リサイクルを意識した製作に関心を持たせること、また輸入した材料に頼らず、サモア国産の材料を使って、サモア独自の作品を作り上げることに誇りを持ってもらいたいと強く願っています。

ところでサモア人が集まるお祭で、三重県を紹介してみました。サモアの特産品は黒真珠だが、三重は白真珠で有名だとか、忍者の郷があるとか、お伊勢さんや熊野古道があるとか。遠く離れた日本に旅行できるサモア人は限られているのでしょうが、日本という未知の国にある様々なものが詰め込まれている一つの地域を人々は興味深く感じてくれたようでした。

鶏や豚が庭を走り回り、小さな家で大家族が助け合いながら自然と共に暮らしている、「サモアには、日本の昔を感じさせる生活がある」と、任地を訪ねてくれた父も言っていました。規則や時間にあくせくすることなく、大らかな現地人との生活を重ねていると、改めて日本のすばらしいところや改善すべき点が見えてきたような気がします。モノがなくて不便かもしれないけれど、人をベースにした生活がここにありました。ちっちゃい頃に絵本で空想していた南の島の風景が、サモアには広がっています。

写真1
ワークショップで技術科の先生に工具の使用法について助言

写真2
ココナッツの殻を土台にサモアの布を使ったフォトフレーム
(生徒作品)

写真4
ココナッツ殻を使った豚貯金箱
(生徒作品)

写真5
緑に囲まれたサモアの伝統的な家(ファレ)

写真6
勇壮なファイヤーダンス

<サモアの主食>

ウル(ブレッドフルーツ)
写真7

ファイ(バナナ)
写真8

タロ(タロイモ)
写真9

本ページに関する問い合わせ先

三重県 政策企画部 国際戦略課 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2844 
ファクス番号:059-224-2069 
メールアドレス:kokusen@pref.mie.lg.jp

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