うつ病
1 うつ病 Q&A
Q 病気の原因は? |
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A 原因はいまだ研究の途上ですが、脳内の神経伝達物質の異常と考えられ、それにいくつかの事柄が重なって関係して起こるといわれています。 また、うつ病になりやすい性格として、真面目、責任感が強い、人間関係を大事にする、などがあげられています。 |
Q どんな症状があるの? |
A 不眠、食欲低下、味がしない、などは多く見られる症状です。ゆううつ感、さみしい、不安、人に会いたくない、意欲がわかない、喜びを感じない、考えがまとまらない、動作が鈍くなる、など様々な症状がみられます。また、だるい、頭が重いなど身体の症状が目立ち、「うつ病」と気づかれにくいこともあります。また、自殺への配慮も重要になります。
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Q 治る病気ですか? |
A はい。きちんとした治療を行えば、治っていく病気です。家族や周囲の協力も大切です。 |
Q 病気の経過は? |
A 通常、うつ病の症状は3~4ケ月、長い場合で半年くらい続きますが、しっかりと治療すれば回復していきます。 |
Q 治療方法は? |
A 主に、抗うつ剤や抗不安剤などの薬物療法を行います。また、これと同時に心理的不安などを取り除くために、精神療法などを組み合わせます。 また、うつ病は、心身両面の休養を取ることが重要になります。 |
2 うつ病のサポートは?
周囲の人たちが、本人の回復を気長に待つ姿勢を持つことは大切です。
不用意に励ましたり、本人の意欲がまだ回復していないときに気晴らしを勧め
たりすることは、逆に本人を苦しめてしまいます。「ガンバレ」という励ましの言
葉は、身も心も疲れた当人を追いつめることにもつながります。
「うつ病」は「こころの風邪」に例えられます。風邪をひいたとき安静にするよう
に、十分に身体の休息をとり、早めに薬を飲むと回復していきます。周囲の人たちが本人の話をよく聞き、早めに受診を勧めるのもサポートの1つです。
3 油断は禁物!
症状が回復してくると、ついつい本人も周囲も安心しがちですが、この時期はつい焦って病気を治そうとして、無理をしてしまいがちです。私たちが注意深く見守り、御本人に、十分な回復まで、無理をしないことを伝えていくことが大事です。 また、うつ病の初期や回復期には自殺の危険があります。「死にたい」ということばが聞かれたら、決して軽く考えず受診をすすめます。また、絶対自殺をしない約束を交わすことも自殺の予防につながります。
4 うつ病の経過パターン
うつ病の経過パターンの概要を図示しました。何回かうつのエピソードを繰り
返すこともありますが、いずれのエピソードも元の健康な状態に戻ります。これ
が「こころの風邪」ともいわれる理由の一つです。繰り返すな・轤ホ、病気を正しく
理解し、上手に付き合っていくことが大切になります。これは、慢性的な身体の
病気との付き合い方と同じです。
例えば、近視の方が眼鏡をかけることに馴染むということ、そうすることで生
活上の不具合が改善されるということと、よく似ています。
5 一回のうつエピソードのパターン
一回のうつエピソードのパターンと、対応する上で大切なことを図示しました。
- 真面目で努力家、健康なときでも頑張りすぎがち、止めることが大事なこともあります。
- 頑張らないと、と本人はいつも思っています。いつものように頑張れないことが辛いのです。
- 元の元気な時が来る病気、という理解が大事です。
- 大事な決断は健康な状態に戻ってから、という促しは重要です。
- うつ状態の底を抜けると、本人の意欲もある程度戻り、周囲の方も安心しま
す。この時期こそ危険な時期です。
6 うつ病(状態)の要因
うつ病にはさまざまなタイプがあると考えられています。ストレスやショックなこ
とと関連しないで、起こるうつ病もあります。タイプ・状況に応じた適切な休養が
必要と考えられます。ここで、「とにかく、気持ちの持ち方一つなんだから」と
いった対応は、本人の苦痛を増大させることが多いものです。
(例えば)
- 優しい周囲の人;「気持ちの持ち方一つなんだから、気分転換に旅行にでも
誘ってあげればいいんじゃないかなあ?」 - 厳しい周囲の人;「所詮は、気持ちの持ち方一つなんだから・・・根性がないんだ・・・」
- 1.2.どちらの考えも「気持ちの持ち方一つ」、がベースにあります。本人は
わかっていても「気持ちの持ち方をかえられない」ことが、うつ病(状態)の
辛さなのです。