統合失調症
1 統合失調症Q&A
Q 病気の原因は? |
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A 原因はいまだ研究の途上ですが、脳内の神経伝達物質の受け渡しの異常と考えらています。しかし、発病や経過には心理的なストレスなどが大きな影響を及ぽすと考えられています。決して、親の育て方や本人の心構えの問題で起こる病気ではありません。 |
Q どんな症状があるの? |
A 統合失調症には、大きく2つの症状があります。 1つ目は「陽性症状」と呼ばれ、幻覚や妄想など現実にはないものを感じたり信じたりする症状です。 もう1つは「陰性症状」といわれ、感情が乏しくなったり意欲がなくなったり集中力不足で疲れやすくなったりします。「陽性症状」と平行して現れることもあります。このような陰性症状は「怠け者」とみられるなど、誤解を受けることがあります。 |
Q 治る病気ですか? |
A はい。不治の病ではありません。いろいろな治療法を組み合わせて行いますが、「完全に自立ができる人」「地域の援助を受けながら自立できる人」を合わせると7~8割だといわれています。 |
Q 治療方法は? |
A 治療は、薬物療法を中心に行われます。また、精神療法やデイケア・福祉サービス事業所など、日常生活やストレスに対してのリハビリテーションも行います。 |
Q 病気の経過は? |
A 個人差は大きいですが、概ねゆっくりと回復してゆきます。 |
2 統合失調症の経過の概要
3 統合失調症の特徴
◆ 生活習慣が乱れます
◆ 一度にたくさんのことができなくなります
◆ 対人関係が苦手です
◆ 集中力や持続力が低下します
◆ ストレスに弱いです など、他にも多くの特徴があります。
4 周囲の人ができること
周囲の人ができるサポートは、病気に対して正しい理解をし、それぞれの
当事者のペースに合わせた働きかけ、力づけをしていくことです。無理な励ま
しや、不適切な援助をすることは、過剰なストレスがたまったり、病気回復の
チャンスが減ったりします。症状が続くことや再燃することもあるので、規則
的な受診や服薬を勧めることも大切なことです。小さな再発のサインに早く気
づくことは再発予防につながります。
5 揺らいだこころの状態のモデル
統合失調症をはじめ、不安定な状態のこころを示すモデルです。
健康な状態の心は、実線の楕円で示されています。自分と自分の外が実線で
隔てられています。しかし、何らかの状況で、揺らいだ心の状態に陥ると、心の
境界が点線で示されるようになります。自分と自分の外が不明確になり、人の
考えが自分に伝わるような感じや、自分の考えが人に知られるような感じとし
て自覚されるようになります。このような状態の心には、周囲が優しく受容的・
支持的な姿勢で臨むことが対応の基本になります。そして、その優しい対応
は、周囲の環境の様々なレベルで行われる必要があります。
6 薬物療法のおおよその仕組み
統合失調症は、神経伝達機構の問題に基づくものと考えられています。神経
繊維の繋ぎ目での化学物質の作用程度の異常で、神経の興奮が増大して、
症状が出現すると考えられています。薬物療法は、この神経の興奮を適切な
程度にコントロールします。
7 病気の経過は周囲の環境に左右される
統合失調症のほか、うつ病でも神経系の不調が病気の根底にあると考えら
れていますが、病気の経過は下図のように周囲の環境に左右されます。
当事者の問題と周囲の問題が、いつも関連しあっています。図の赤丸、一つ
の問題ができるときには様々な要素が関係しあっています。
こころの病を癒していくためには、当事者のリハビリテーションに加え、周囲
の環境を整えていくが大変重要なことです。家庭、学校、職場、地域、等のさま
ざまなレベルで環境の整備が大事になってきます。
まず、こころの病に対する正しい知識を持つことが、環境を整えていくことの第一歩だと考えています。