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平成23年04月11日

三重県こころの健康センター(精神保健福祉センター)

ひきこもりに関するQ&A 

Q1 どうして「ひきこもり」になったのかわからなくて困っています。
Aさまざまな原因が重なっていることがほとんどです。きっかけがはっきりしている人もいれば、そうでない人もいます。中にはこころの病気や障害が背景にある場合もあります。
こころの病気や障害の場合ならば、それに対する対応や治療を考える必要があります。
一方、原因が見つからなくても、これから先に向けて進み始めることはできます。
Q2 「ひきこもり」とは病気なのでしょうか?

A「ひきこもり」自体は病気の名前ではありません。ストレスとそれに対処しようとするこころの力のバランスが崩れて不健康なこころの状態が長く続いた結果、社会活動の場にとどまることができなくなった状態と言えます。
ただ、大半に何らかのこころの病気や軽い発達の偏りなどが背景にあると考えられています。
「ひきこもり」に関連する精神疾患の主なものは次のとおりです。

「ひきこもり」に関連する精神疾患

 適応障害

いじめなどの出来事がストレスとなり、不安や抑うつ気分が現れ、不登校やひきこもりに至ることがあります。ストレス状況が長引くと、気分障害や不安障害などへと展開し、結果としてひきこもりが長期化することもあります。 

不安障害(社交不安障害、全般的不安障害、パニック障害など)

 社交不安障害

集団の中にいると、自分が嫌われてしまうのではないか、自分から出る臭いが周囲を不愉快にさせるのではないか、などと感じて集団に入ることを避けようとする結果、ひきこもりに向かう可能性があります。

全般性不安障害

様々な場での不安が特徴的で、特に失敗や挫折を恐れるあまりに緊張の強さが目立ち、ときに不登校やひきこもりの原因となります。

パニック障害

突然ひどい動悸や呼吸困難、息苦しさなどをおぼえる「パニック発作」があり、その後「また同じような発作が起きるのではないか」という強い不安(予期不安)を持ってしまいます。そのため、一人で外出できなくなったり、社会生活に支障をきたすようになります。

気分障害

 いわゆるうつ病などが含まれます。意欲が持てなかったり、身体がだるくなったり、眠れやすい、疲れやすいといった症状が現れます。意欲の低下や疲れやすさからひきこもりになることがあります。
ひきこもり状態が続くことで、うつ病の症状が現れることもあります。

強迫性障害

 カギをかけ忘れたのではないか、手が汚れているのではないかといった考え(強迫観念)にさいなまれ、カギを何度も確認したり、何回も手を洗ったりといった行動(脅迫行為)が見られます。外へ出ると、不安が強くなることから、ひきこもってしまうことがあります。

パーソナリティ障害

 考え方や行動のパターン全体に偏りがあります。困難に直面すると、立ち向かうのではなく、避けることで自分を守ろうとする「回避性パーソナリティ障害」や過度に自分を特別視する「自己愛性パーソナリティ障害」などの場合、社会的活動や周りとの関係を回避するようになり、ひきこもりに至ることが多く見られます。

統合失調症

 独り言がはげしかったり、「盗聴器が仕掛けられて監視されている」とか「テレビで自分のことを言っていた」など非現実的な考えにとらわれたり、考えがまとまらなくなったりします。一方で、意欲がわかない、生き生きとした感情が感じられないといった症状があらわれることもあります。周りへの警戒心から家に閉じこもるようになってしまったり、意欲が低下した結果人との交流を求めなくなり、ひきこもりに至る場合もあります。

思春期特有の精神障害(対人恐怖的な妄想性障害や選択性緘黙など)

 自分の容姿が醜いため、あるいは体臭が不快なために周りに不快な思いをさせていると確信的に信じ、そのために周りとの接触を避けていくことから、不登校やひきこもりに至ることがあります。
また、他の状況では話せるにもかかわらず、幼稚園や学校などでは口を閉ざしてしまう選択性緘黙の子どもの中にも、学校に行かなくなったり、家にひきこもったりする場合があります。

広汎性発達障害など

落ち着きがなく、衝動的な行動をとりやすいADHD(注意欠如・多動性障害)や社会性、コミュニケーションなどに苦手さを抱えるPDD(広汎性発達障害)の人の場合、仲間集団にうまくなじめなかったり、からかいやいじめ、時には叱責の対象になることが多く、結果として自信を失い、不登校やひきこもりに至ることがあります。
社会への関心の薄さやネットゲームなどへの没頭の生じやすさもひきこもりになりやすい要因の一つと言えます。

※上記は、病名や症状などを簡単にまとめたものです。診断には専門的な知識と経験が必要です。素人診断をせず、医療機関などにご相談ください。

Q3 「ひきこもり」は本人の甘えやなまけが原因ではないですか?

Aそのように批判されることがよくありますが、本人は社会と関われないことにとても苦しんでいます。叱咤激励や説得だけで解決するとは限りません。

何らかのこころの病気や障害がある場合もあります。こうした病気や障害による困難さは本人の弱さや「努力不足」によるものではありません。

Q4 「ひきこもり」は親の育て方のせいなのでしょうか?
A身近な人が長期にわたりひきこもると、家族は自分たちの子育てや対応のせいなのではと自分を責めたり、自信を失いがちです。しかし、親の育て方や過去の家庭環境に原因を求める考え方は、多くの場合あまり解決には役立ちません。
「原因さがし」「犯人さがし」にエネルギーを費やすよりも「これからどうしたらいいか」について考えていくことの方がむしろ効果的です。
Q5 わが子が不登校です。「ひきこもり」になってしまうのでしょうか?

A不登校と「ひきこもり」の心性(こころの有り様)には共通するところも多く、「ひきこもり」の方に不登校経験者が多いのは確かです。しかし、必ずしも不登校からそのまま「ひきこもり」になるわけではありません。また不登校の人がすべて「ひきこもり」になるとは限りません。
学校や相談機関などに相談し、対応していきましょう。

三重県には、不登校に関わる支援機関のネットワークがあります。詳しいことはこちら(みえ不登校支援ネットワーク)をご参照ください。

Q6 「ひきこもり」は時間がたてば良くなっていくのですか?
A人は誰でも、自然に回復する力を持っています。しかし、「ひきこもり」が長期化してくると回復のチャンスをつかむことが難しくなっていきます。
まずは家族が専門機関に相談することが大切です。
Q7 身近な人がひきこもっている場合、家族はどう対応したらいいのですか?

A身近な人が、「ひきこもり」の状態になると、その原因が自分にあったのではないか、と自分を責める気持ちになったり、あるいはいじめなどがあったのではないか、と思う気持ちが強くなります。こうした気持ちになることは、誰にでもあることですから、そう感じることは悪いことではありません。かといって自分やひきこもっている本人を責めても解決するわけではありません。
まずは、冷静になりましょう。

解決を急がないで

家族としては、すぐにでも外に出て、学校に通ってほしい、働いてほしいと思ってしまうでしょう。ついつい、それを本人に伝えてしまいがちです。
しかし、本人はさまざまな要因の結果、すぐにそうすることができない状況にあります。ただでさえ、「家族に迷惑をかけている」と自分を責めている本人に居心地の悪さを感じさせてしまいます。
一刻も早く解決してほしい思っていらっしゃることとは思いますが、本人のペースに合わせてみることが大事です。これはとても難しいことですが、解決への第一歩となります。

ちょっと話してみませんか?

「ひきこもり」の問題は、家庭で起きる問題のため、何とか家族だけで解決しようとされているかもしれません。誰かに相談するのは恥ずかしいと感じるかもしれません。しかし、誰にも相談しないまま時間だけが経ち、家族自身もまた社会から孤立してしまうことにもなりかねません。

 

ご家族が孤立感や罪悪感、将来に対する不安感などをはき出せることは解決に向けた大きな力となります。まずは第三者に相談してみませんか?

保健所や市町の相談窓口、教育相談や医療機関などさまざまな機関に相談ができます。これらの多くは家族だけの相談にも応じてくれます。

三重県こころの健康センターでも、ひきこもり専門相談(電話・来所)を受け付けています。

 

また、同じような思いや経験を持つ家族の集まりに参加するのもいいでしょう。身近な人の「ひきこもり」の悩みを持つのは自分たちだけではないんだという安心感や多くのヒントが得られることでしょう。

三重県こころの健康センターでは、家族教室を行っています。

家庭の「元気」はまず家族自身から

家庭にひきこもっている人がいると、何となく気兼ねして外出を控えたり、自分の生活を犠牲にしたりしていませんか?
友人と会ったり、買い物をしたり、おいしいものを食べたり、幸せと感じる経験をしていくことはとても大切です。家族が自分の生活を前向きに楽しむ姿は、本人の気持ちの負担を楽にしていきます。

Q8 相談に行ってみようと思うのですが、どんなことを聞かれるのですか?

A本人の普段の様子や会話があるか、どんな内容の話をするかなど家庭での生活の様子をお伝えください。また、「ひきこもり」のキッカケだと思うことやひきこもっている期間などもお話しいただくとよいでしょう。幼いころのことや成長の過程などについてもお話しいただくと、参考になることがあります。

ご本人が相談に行く場合は、家族には言えずにいること、ストレスや自分の考え方についてなどをお話しください。わからないことは答えなくても大丈夫です。

相談員はお話を聞いたり、質問したりして、「ひきこもり」の背景に病気があるかどうか、などについて判断したり、問題点を探って、解決策を一緒に考えていきます。


このページは、
「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」(平成22年5月厚生労働省)

「ひきこもり」に困ったら~回復へのヒントを考えるパンフレット~(監修:伊藤順一郎)
“ひきこもり”でお困りのご家族のために…(東京都発行パンフレット)    などを参考に作成しました。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 こころの健康センター 技術指導課 〒514-8567 
津市桜橋3-446-34(津庁舎保健所棟2階)
電話番号:059-223-5243 
ファクス番号:059-223-5242 
メールアドレス:kokoroc@pref.mie.lg.jp

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