知事から県民の皆さまへ
東日本大震災に伴う県内の被害状況及び被災地域への支援について
3月11日に発生した「東日本大震災」につきましては、近年、類を見ない甚大な被害が報告されています。
あらためて、この地震により尊い命をなくされた多くの皆様に深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
(支援本部について)
本県では、3月14日に「三重県東日本大震災支援本部(4月6日名称変更)」を設置して、18日には第2回本部員会議を開催し、被災地域の支援とともに、県内の被害状況の把握にあたっています。
(被災地域の支援)
被災地域の支援につきましては、緊急消防援助隊や広域緊急援助隊、DMATなどの派遣に引き続き、毛布やおむつ、簡易トイレの提供のほか、保健師の派遣、県営住宅の提供などを行っています。
県民の皆様や企業等からの救援物資につきまして、県では3月18日(13時)から対応窓口を開設し市町等と連携して被災地への提供を始めたところです。
(被災地住民の受け入れ)
また、本日(22日)、被災地住民の皆様の受け入れに対応していくため、「三重県被災地住民受け入れ窓口」を設置いたしました。県・市町の公営住宅での受け入れのみならず、企業等の皆様にご協力いただき、企業等の社宅・寮等を活用した受け入れなど、幅広く募集・登録を行っていきたいと考えています。
今般の災害はあまりにも甚大であり、発生後10日余り経った現在でも、いまだその全容は判明しておらず、長期的な支援が必要になってきますので、県としましても全力で支援していきたいと考えています。
(県内の被害状況と影響)
県内の被害につきましては、特に本県水産業に大きな被害があり、貝類養殖や魚類養殖、海藻類養殖をはじめ、漁船や漁具にも及んでおり、推定被害額は38億円程度と考えています。特にカキやマダイの養殖が大きな被害を受けており、へい死したマダイ等の緊急処理も大きな課題となっています。なお、今後調査を進めるなかで、被害額は変動する見込みです。
今後予想される影響としましては、主産地(宮城県)の甚大な被害によるカキ養殖稚貝の不足、定置網被害が激甚災害の支援対象外であることによる再開費用の確保、などが心配されます。
県としましては、既決予算を活用したへい死したマダイ等の緊急処理への支援や津波被害に対する国への緊急要望を行うとともに、23年度の早急な対応として、養殖や定置網漁場の復旧支援、カキ養殖における養殖種苗の確保支援などの支援策を検討しているところです。
(イベントの自粛)
今般の状況に鑑み、県では、予定していたイベントを一部自粛しており、4月16日開催の平成23年「県民の日」記念事業に関しましても、メッセウイング・みえで行う予定の会場イベントは中止と決定させていただいております。
県民の皆様にはご理解を賜りますようお願い申し上げます。
(今回の大震災からの教訓)
今回の地震に伴う津波に対して、避難勧告・避難指示の対象人数に対して、避難所に避難された県民の方が少ない状況でした。市町からは、安全な地域の親戚や知人宅に避難していた方々もみえたとの報告もあることから、あらためて避難状況について調査を行うこととしています。
また、東海・東南海・南海地震の連動発生時の被害想定の検証も含め、地震対策・津波対策の見直しを早急に検討するよう、担当部局に指示したところです。
今回のような被災地域が広範にわたる大地震への対策にあっては、地方自治体や各県連携の取組には限界があり、国を挙げて対策を進めることが重要です。被災者や被災地への復旧・復興支援のための特別立法の創設や、国の抜本的な体制の見直しなどが必要ではないかと考えます。
(県民へのお願い)
県民の皆様におかれましても、海岸近くで強い揺れを感じたり、津波注意報・警報が出された場合は、とにかく、一刻も早く高い場所に避難していただきたいと思います。
また、震災に便乗した悪質商法や義援金などの詐欺が懸念されますので、十分ご注意いただきますようお願い申し上げます。
このほか、現在、被災地以外の首都圏などにおいて、食料品や防災用品等が品薄状態になっていると聞いておりますが、被災地の皆様の置かれている状況をおくみとりいただき、県民の皆様には冷静な行動をお願い申し上げます。
平成23年3月22日
三重県知事 野呂 昭彦