27年2月普及現地情報
- 京都大学との共同プロジェクトで園芸品目推進のための改良型竹ハウス推進(第1報)
- 恒例のカンキツ生産者研修会がJA三重南紀で開催
- 「限界集落」を「宴会集落」に!~農村と企業の協働で地域のお酒ができました~
- 県最南端の農事組合法人が誕生~紀宝町浅里地区~
京都大学との共同プロジェクトで園芸品目推進のための改良型竹ハウス推進(第1報)
当普及センターでは、儲かる農業を実現する一手法として、小面積の畑でも低コストで設置できる「竹ハウス」を提案してきました。今年度、竹ハウスの提唱者である京都大学地球環境科学堂・小林准教授との共同事業として、京都大学学際研究着想コンテスト※1に「竹からはじめる営農振興」プロジェクトを提案し、優秀賞並びに事業実証費を獲得しました。そこで、地域活性化プラン策定団体に協力を依頼したところ、NPO法人有馬の村の協力が得られました。
はじめに、小林准教授と従前の竹ハウスより簡易に設置できる構造の開発に取組みました。次に、11月29日に京都大学、協力企業とのワークショップ形式で建設の実演指導を行いました。その後、NPO法人有馬の村で自家施工を行い、2月11日に竹ハウスが完成しました。今回のデザインでは、建設に要したのべ作業時間を161時間/aと従前の約半分に減じることができました。
今後は、完成した竹ハウスで小菊を栽培し、世界遺産・花の窟神社への参拝者向けに販売する予定です。また、プロジェクトで得られた成果を「竹ハウス施工マニュアル」として取りまとめ、技術の普及に努めます。
模型を使った構造検討会 完成した竹ハウス NPO法人有馬の村協力メンバー
(@京都大学)
※1京都大学学際融合教育研究推進センターが主催する学術分野間の壁を越えた研究構想の提案会。「論文」という形式や「学会」という枠にはおさまりきらないこと、研究者として本当におもしろい!本当に知りたい!と思う研究構想について、京都大学総長、副学長、経済界で活躍する卒業生、有名作家、有名雑誌編集長らが審査し、その実践に資金援助するものです。
恒例のカンキツ生産者研修会がJA三重南紀で開催
三重県園芸振興協会主催の平成26年度三重県カンキツ生産者研修会が、2月23日にJA三重南紀農業団地センターで開催されました。本年度のテーマは、マルチ栽培技術及び点滴灌水技術・設備のさらなる普及拡大です。普及センターとしては、研修会演題の提案・組み立て、講師との連絡調整、会場設営について支援してきました。当日は県内各地から生産農家をはじめ関係者らが約110名参加されました。研修会の目玉講演は、イスラエルから始まった灌水技術と設備の歴史、灌水装置の設置技術とそのメンテナンスについてでした。参加者は現場直結の情報に熱心に聞き入っていて、質疑も活発になされました。
平成26年産柑橘からは多くの課題が見えています。これからもその解決にむけて提案と協働を続けます。
熱心に聞き入る農業者
「限界集落」を「宴会集落」に!~農村と企業の協働で地域のお酒ができました~
御浜町尾呂志地区の担い手グループ「尾呂志『夢』アグリ」と地元企業「熊野精工株式会社」(熊野市)は協働で酒米「神の穂」を栽培し、地域の活性化への取り組みを行ってきました。その結果により完成した純米大吟醸酒「颪(おろし)」を2月18日にお披露目しました。
2月28日には尾呂志の郷土料理を囲み、関わった人全員で“宴会”を行いました。「頑張って取り組んだ酒米プロジェクトがこのように地酒という形になってとても嬉しい」、「すばらしいお酒ができた。これを機に尾呂志地区は『限界集落』だが、住民の賑やかな声が絶えない『宴会集落』を目指したい」など皆さん笑顔でした。
完成した地酒は尾呂志のブランド酒として販売し、地域おこしの目玉として活用する予定です。また、来年度は酒米づくりにくわえて、地域の課題となっている獣害対策などの面でも協力し、良きパートナーとして尾呂志地区を盛り上げていく予定です。
普及センターとしては、他地域でも農村と企業の協働による地域活性化が図ることができるよう推進・支援をしてまいります。
お披露目会の様子 新酒 颪 郷土料理を囲み宴会
県最南端の農事組合法人が誕生~紀宝町浅里地区~
紀宝町浅里地区では、任意営農組織「飛雪の滝百姓塾」が平成25年12月に浅里地区の農地を守るための「地域活性化プラン」を策定しました。「地域活性化プラン」により、営農を継続するための組織づくりを行ってきた結果、2月28日の設立総会を経て、「農事組合法人 飛雪の滝百姓塾」を設立しました。
参加戸数は33戸、受益水田面積は12haと小さい法人ではありますが、組合員のふるさとの水田を守る想いは大きいものがあります。今後はブランド化した「飛雪米」の販路拡大や地域資源を活かした加工品の開発による収益の拡大および企業との協働活動を通じての地域活性化に積極的に取り組んでいく予定です。
普及センターは、今後はこの法人化事例を他の地区でも参考にできるよう、獣害対策、水稲・野菜の栽培および高付加価値化の支援や法人の経営支援、企業との協働事業の支援を通じて、地域の活性化が図れるよう支援を行っていきます。
設立総会