27年1月普及現地情報
野菜栽培を推進するための安価な簡易ハウスを開発
当普及センターでは、JA三重南紀農林畜水産物直売部会が策定した地域活性化プランに基づき、農林畜水産物直売所「ほほえみかん」を核とした野菜栽培振興を支援しています。降水量の多い当地域で野菜の収量・品質を安定させるためには、ハウス栽培が有効です。しかし、部材費と組立て委託費を併せた初期投資が高額となり、農地が小規模で不整形であるためハウス栽培に取り組む農業者はほとんどありません。そこで、部材費を安価に抑え、小規模・不整形な農地でも農業者が自作できる簡易ハウスの開発に取り組みました。
はじめに、11月7、8日に愛媛県農林水産研究所が開発した「愛媛県型簡易ハウス」の普及が進む愛媛県西予市をJA三重南紀職員、農林畜水産物直売部会役員と共に視察しました。現地では、簡易ハウスの課題とそれを改善するための農業者の工夫を学びました。
次に、視察結果を踏まえて農業者と「東紀州型簡易ハウス」について協議し、構造を決定しました。
実際の組み立ては1月14日に行い、農業者、JA職員と協力しながら60m2のハウスが約半日で完成しました。部材費は一般のパイプハウスより2割安く、組立ては農業者が自力で行うことができることが確認できました。
現在、完成したハウス内でホウレンソウ栽培がはじまっています。地域内の農業者の間での関心も高く、多くの農業者が見学に訪れています。当普及センターでは、施行マニュアルを整備するとともに、栽培指導を行うことで東紀州型簡易ハウスの普及性を評価し、農業者の収益向上と農産物直売所の商品充実を図るための技術として提案していきます。
なお、上記の取組みは農林水産部職員力アワードで「農業者と取り組む!工夫と改善で小規模農地向け簡易ハウスの開発」と題して発表しました。
愛媛県への視察の様子 完成した紀州型簡易ハウス 早くも多くの農業者が見学に
攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業研究推進会議を開催
12月15~16日、香川県善通寺市(農研機構近畿中国四国農業研究センター:近中四)で、研究推進会議が開催されました。
本事業は近中四が研究代表となり、愛媛、静岡、香川、山口および三重県とNECソリューションイノベータ(株)、ビジョンテック(株)、中国紙工(株)でコンソーシアムを組み、研究課題「マルドリ方式・ICTなどを活用した省力的な高品質カンキツ安定生産技術体系とその実現のための傾斜地園地整備技術の実証」について、カンキツ産地における省力、軽労化と収益性の向上を目的として、各構成員が持つ技術シーズについて普及支援組織とともに現地実証を行い、その結果を踏まえて、それらの技術を体系化し営農モデルを策定するものです。
推進会議では、構成メンバーから1年目の取り組みについて報告がありました。
三重県においては、普及センターから経営的な効果の検証結果を、紀南果樹研究室からは実証圃の果実品質向上効果について報告を行いました。
また、本年度を代表する研究成果の3課題の1課題に、三重県の「マルドリ方式の実証結果」が選ばれました。
本年度における今後の日程については、1月22日に三重県四日市市(味の素株式会社)にて「マルドリ方式栽培における低価格液肥供給の可能性」、2月27日に愛媛県松山市(果樹研究センター)にて「傾斜地園地整備に向けた園内道設計支援システムおよび太陽光発電を用いた揚水システムの活用」の研究推進分科会が開催されます。