26年10月普及現地情報
飼料用稲の地域内流通の取り組みが始まっています
紀州地域では、地域内の畜産農家と連携した水田を利活用し飼料用稲栽培の取組が進んでいます。紀州地域の年間降水量は伊勢平野部の約2倍に達します。そのため、水田利活用の主要モデルである稲-麦-大豆の2年3作の田畑輪換による水田利活用が困難となっています。そこで数年前より水田を湛水状態で活用でき、また設備投資が比較的すくない飼料用稲による水田利活用が紀北町、熊野市、紀宝町で取り組まれてきました。
本年から御浜町の畜産農家と連携して飼料用米栽培の取組がスタートしました。初めての取組ということもあり、「みえのゆめ」40aからスタートしました。2度の台風襲来や登熟期の低日照という悪条件にもかかわらず、玄米換算で約600kg/10aの籾が収穫されました。耕種農家、畜産農家も結果に満足し、次年度からの面積の拡大が検討されています。
上記の取組や三重ブランド「熊野地鶏」生産と連携した飼料用米の取組、地域の肉牛農家と連携した稲発酵粗飼料(WCS)の取組に加え、新たに地元の養豚農家での飼料用米の活用が検討されています。普及センターは、栽培・経営改善に関する支援に加え、関係機関と連携し、耕種農家・畜産農家の関係がより密接になるようコーディネートにも力を入れて支援をおこなっていきます。
収穫直前の飼料用米「みえのゆめ」
恒例!小学3年生がみかんの勉強をしました
御浜町内4校(阿田和小、御浜小、神志山小、尾呂志学園)の小学3年生全児童72名を対象に、かんきつ現地学習会が10月29日に開催されました。みかんがとれる季節に合わせて20年以上続けている「地域の産業を知ろう」という社会科学習です。
児童たちは、紀南果樹研究室ではみかんの種類や栽培方法について勉強して、農協ではみかんの選果場を見学しました。普及センターからは紙芝居を使って、「御浜町のみかんづくり」について解説しました。みんなそれぞれの見学場所で熱心に説明を聞き、たくさんの素直な質問をしてくれました。見学のしめくくりには班ごとに分かれて、「これこそは!」と選んで採ってきたみかんの甘さを糖度計で測定して、味を目で見る体験をしてもらいました。
当産地の将来を色々な形で担ってくれるであろう子ども達に、みかん作りという地域の産業に興味を持って成長してもらえるように、今後も関係機関との連携を継続していきます。
紙芝居を熱心?に見る児童たち
紀州地域で農福連携 製菓用にサツマイモを栽培
糸川屋製菓株式会社と就労継続支援B型事業所‘グリーンプラザ’及び特定非営利活動法人南紀会‘南紀さんさんワーク’とで農福連携・障がい者雇用促進事業に取り組んでいます。糸川屋製菓の地元産原料を使った製品を開発したいという希望と、両福祉施設の障がい者の仕事づくりとをマッチングした取り組みです。5月から両福祉施設が製菓用にサツマイモ“ベニアズマ”と安納芋の2種類の栽培を行い、10月から収穫を始めました。両福祉施設ともサツマイモ栽培の経験はなく、普及センターが定期的に巡回して指導しました。糸川屋製菓もサツマイモ利用の製菓経験はありません。そのため、今年度はサツマイモ栽培から製菓にいたる問題点や収穫量を確認することを目的とした試験圃場を設置しました。
南紀さんさんワークの圃場ではサル・イノシシによる獣害が心配されたため、電気柵による対策をしました。植付け後に一度、サルに苗を食害されたものの、無事収穫することができました。作業者は掘り取った大きなイモを自慢したりと楽しんで作業していました。
両福祉施設からは「サツマイモ栽培の作業は障がい者ができる簡易さだった」と継続した取り組みに意欲を見せていました。収穫したイモは収穫作業や輸送により皮が一部剥けてしまいましたが、製菓加工には問題ありませんでした。
この結果を踏まえて、今後、来年度の収量目標や集荷基準について、県庁担い手育成課と普及センターとで協議して、事業者の方々を継続して支援していきます。
収穫したサツマイモと作業者
(グリーンプラザと糸川屋製菓)
*就労継続支援B型事業所…通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行う障害福祉サービス事業所。