平成28年4,5,6月普及現地情報
平成28年4月普及現地情報
NPO法人有馬の村での新商品開発
熊野市有馬町にあるNPO法人有馬の村は、平成24年4月に「花の窟」前にオープンした「お綱茶屋」を運営し、地域資源を活用した特産品づくりや「花の窟」を中心とした来訪者へのもてなしに関する事業を通じて地域活性化に取り組んでいます。
平成24年度に地域活性化プランを策定し、地域特産品づくりとして、黒米や赤米といった古代米の生産、加工に取り組み、古代米入りのうどん、おにぎり、みたらし団子、お餅を商品化してきました。
平成27年度は、さらなる商品開発に取り組み、お土産としてポン菓子やあられの商品化にむけ、委託加工先と試作やパッケージの検討を重ねました。
平成28年4月23日にはお綱茶屋4周年祭が開催され、新商品として完成したポン菓子、あられのお披露目がなされました。古代米を「いざなみ米」とネーミングし、従来からの商品である米、お餅、乾麺うどんともパッケージを統一しました。有馬の村が運営する「お綱茶屋」の店内には「いざなみ米」のブースが作られ、「お綱茶屋」オリジナルのお土産としてPRしています。新商品のポン菓子、あられともお客様から「おいしい!」と評判はよく、売れ行きは順調です。
今後も「いざなみ米」が地域特産品として定着するよう、古代米の生産安定、新商品の開発や販路開拓を支援していきます。
いざなみ米商品のブース | いざなみ米のあられ | いざなみ米のポン菓子 |
紀州の農村青少年が福岡県で苗木の本場に学び、生産者との交流を行いました。
紀州地区農村青少年アクティブファーマーズは、平成28年4月25日に苗木生産技術及び接ぎ木技術の習得のために福岡県久留米市田主丸町の苗木生産者と福岡県農林業総合試験場資源活用研究センター苗木・花き部を、26日に他産地生産者との情報交換を目的に八女市のカンキツ産地を視察しました。この視察研修は青少年メンバーからの提案と計画によるものです。苗木生産者からは、専門家ならではの技術を教わり、古くからの産地であるが故の課題や産地の今後に対する考えを聞くことができ、大変刺激になったようです。
苗木・花き部では、全国の果樹苗木の8~9割を生産する田主丸地区の産地概要と研究成果について説明を受けました。苗木のウイルスやウイロイドに関する問題について詳しい話を聞くのは初めてだったようで、特に関心を持ったようでした。
八女市ではかんきつマルドリ栽培に根域制限を組み合わせた実証園地を視察し、生産者と意見交換を行いました。この園地は来年度の全国カンキツ生産者大会福岡県大会の視察会場になっていることから、一年後の園地の様子を確認したいなどの感想が出ていました。
紀州地域農業改良普及センターでは、引き続き農村青少年の自主的な活動提案が行える場づくりと、提案実現に向けた支援を行うことで、これからの産地を担う若手の育成を行っていきます。
苗木生産現場の視察 | 苗木・花き部にて
苗木産地の説明を受ける
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八女市現地ほ場で
生産者と情報交換
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平成28年産温州みかんの生育について
本年産の温州みかんの生育は、4月の気温が平年に比べ高めに推移したため概ね順調で、満開期は5月2日と、平年より2日程度早くなりました。着花量は極早生ではやや多く、早生では園地によるバラツキは大きいですが、昨年よりやや多い傾向となっています。中晩柑類の着花量もやや多い傾向です。病害虫の発生は比較的少ない傾向です。本年産は極早生、早生ともに着果量が平年より多くなると考えられるので、作業の省力化と隔年結果の是正対策として、摘果剤の散布を推進していきます。
JAでは5月11日に摘果剤散布講習会を7ヶ所で開催しました。多数の生産者が参加されており、摘果作業省力化への関心の高さがうかがえました。
本年産みかんの高品質化に向けて、生産者と関係機関が連携し、産地全体での取り組みとしていきます。
摘果剤講習会の様子 | 摘果剤講習会における実演散布 |
平成28年5月普及現地情報
紀州管内2地区で企業によるふるさと応援事業が行われました。
今年度の三重のふるさと応援カンパニー推進事業の取り組みとして管内2地区で田植えが行われました。4月22日紀宝町浅里地区にて、農事組合法人飛雪の滝百姓塾と岡谷鋼機株式会社(愛知県)が協働して、田植えと竹藪刈りを行いました。引率社員4名と新規採用社員28名が参加し、紀宝町役場職員、普及センターから各2名ずつ参加し支援を行いました。社員の中には、田んぼに入るのが初めてという方も多く始めは戸惑っていましたが、すぐに慣れて楽しそうに田植えをしていました。
当地区では管理されていない竹藪がたくさんあり、シカやイノシシなどの獣害に頭を抱えています。そこで、この度の活動の中では竹藪刈りも行いました。たくさんの若い力が集まったことで、わずかな時間だったにも関わらず、みるみるうちに竹藪が減っていきました。「竹藪の伐採は重労働で、なかなか取りかかれずに放置していたけれど、少しでもやってくれればやる気が出て、後は自分たちで頑張れる」と、地元の方が若い力に感謝していました。
5月15日には御浜町尾呂志地区にて、尾呂志夢アグリと熊野精工株式会社の協働による田植えが行われました(尾呂志酒米プロジェクト)。今年の田植えには約20人の社員が参加しました。中には家族で参加された方もおり、虫取り網を持ってきていた子供たちも見受けられ、一生懸命田植えをしていました。尾呂志地区では三重県が育種した酒米‘神の穂’を使用した酒造りに2年前から着手しています。一昨年、純米大吟醸酒「颪(おろし)」が完成し、好評で販売は順調です。また、「颪」の酒粕を使ったパウンドケーキの開発など、勢力的に活動しています。
紀州地域農業改良普及センターでは、引き続き地域と企業のつながりを支援していきます。
新規採用社員に田植えを指導 (浅里地区) |
竹藪刈りと運びだし (浅里地区) |
集まった熊野精工社員とご家族 (尾呂志地区) |
紀州地区青年農業士連絡会総会の開催
紀州地区には青年農業士が9名認定されています。5月10日に紀州地区青年農業士連絡会(以下青年農業士会)の総会が開催されました。
昨年度は輸出をテーマにした活動などを計画していましたが、総会と役員会の実施のみという状況でした。根本的な見直しが必要と考え、事前に全会員から活動についての想いを聞き取りました。会員の意向は様々でしたが、それぞれが今後の地域のために何かをしたいと考えていることがわかりました。次期会長候補もその1人でした。この想いを本年度の活動に取り入れるため、役員会で次年度の事業内容について話し合いました。その結果、昨年に比べ大幅な増となる事業計画案ができました。
総会ではこの事業計画案が示され、承認されました。新会長からは「2ヶ月に1回程度の定例会を開いて、積極的に活動していきたい。」との所信表明がありました。
今後も普及センターは、青年農業士会の活発な事業実施を支援していきます。
平成28年6月普及現地情報
みかんづくり始めました。
三重南紀元気なみかんの里創生プロジェクト協議会(構成:熊野市、御浜町、紀宝町、JA三重南紀、熊野農林事務所)では、新規就農による柑橘の担い手確保対策を行っています。今年に入り、就農サポートリーダーのもとで1年間の長期研修を終了した3名が新規に.就農しました。園地の確保には農地中間管理事業等を活用しました。個人差はありますが50~90aでみかんづくりをスタートしています。
また、6月より1名が就農サポートリーダーのもとで長期研修をスタートさせています。
今後も新・農業人フェアへの参加、研修生ブログ、先輩就農者のお宅訪問等を実施して、新規就農者およびUターン就農者の確保育成に取り組んでいきます。
新規就農者については重点指導対象として、個別巡回、簿記研修会の開催等、指導を強化しながら、所得目標の達成を目指し、1日も早く自立できるよう支援を行っていきます。
先輩新規就農者の話に耳を傾ける研修生 | 雨の中の摘果作業(研修生) |
紀州地区青少年クラブが「農薬散布用ノズル講習会」を主催しました!
6月23日(木)紀州地区農村青少年アクティブファーマーズ(会員7名、以下紀青C)主催による農薬散布ノズル講習会が行われました。紀青Cは月1回柑橘に関する勉強会をしており、「防除に使っている農薬散布用ノズルについて」という話題を取り上げようと考えました。ノズルの基本情報から実地までの勉強となると、ノズルメーカーの技術者に講演してもらったらどうかということになりました。また、ノズルについて勉強したい農家はたくさんいるだろうという会長の思いがあり、広く地域の農家とも勉強しようということになりました。
紀青Cメンバーはイベントの主催は初めてだったので、開催1か月前から週1のペースで全員が集まり、周知方法、各関係機関への協力依頼、当日の進行など、綿密な打合せを行いました。
開催当日まで、天候や参加人数など不安はありましたが、用意した会場のイスがほぼ埋まる76名の参加がありました。講演では普段使用しているノズルの基本構造、農薬の噴霧状態、適切な使用方法などを改めて教えていただきました。講演後には参加者が日頃から思っている疑問に対して活発な意見交換がなされました。
実演会では、参加者がノズルを手に取ったり、散布したりして、あまり比較する機会のないノズルの違いを実感していました。参加者から「ためになった」という感想がたくさん聞かれ、紀青Cメンバーは大きな達成感を得ることができたようでした。
講義風景 | 紹介された様々なノズル | 実演講習風景 |