はじめに
国会等移転審議会(以下「審議会」という。)は、「国会等の移転に関する法律」(以下「移転法」という。)に基づいて設置され、平成8年12月19日、内閣総理大臣から、「国会等の移転先の候補地の選定及びこれに関連する事項について、移転法第13条第1項の規定に基づき、審議会の意見を求める。」旨の諮問(以下「諮問」という。)を受けた。
諮問は、国会、内閣・中央省庁及び最高裁判所からなる三権の中枢機能、すなわち移転法第1条にいう「国会等」の移転先の候補地(以下「移転先候補地」という。)について審議会の答申を求めるもので、「国会等の移転」又は「首都機能移転」とは、これらの機能の移転を指している。
国会は、平成2年11月、開設百年を迎え、衆参両院は、これを機に、「国会等の移転に関する決議」を行った。平成4年12月には、移転法が制定され、政府に、国会等移転調査会(以下「調査会」という。)が設置された。調査会は、平成7年12月にその報告(以下「調査会報告」という。)を提出し、首都機能移転の意義、移転先候補地の選定基準等の基本的事項を明らかにした。移転法は、平成8年6月、審議会設置のため一部改正され、これにより、首都機能移転は、新たな段階へと歩みを進めることになった。
移転先の決定は、審議会の答申を踏まえ、最終的には、国会が別に法律を定めることにより行うものとされている(移転法第23条)。したがって、審議会の役割は、移転法に従い、専門的、中立的な立場から調査審議を行い、国会における移転先の決定のため、移転先候補地の選定及びこれに関連する事項について答申することにある(移転法第13条及び第14条)。
審議会は、発足以来、約3年間にわたり、調査会報告で示された移転先候補地の選定基準等に従って、まず詳細な調査を行うべき対象地域を特定し、続いてこれに対する様々な観点からの調査審議を重ね、その審議回数は31回に及んだ。本答申は、その審議結果に基づくものである。