平成16年度一万人アンケート概要
一万人アンケートは、県民の皆さんの県行政の各分野に対する満足意識、重要意識及び認知意識等を把握し、県政運営に活用するため実施しています。このたび、平成16年度の結果をとりまとめましたので報告します。
1 アンケート結果の概要について
2 アンケート結果の分析について
3 アンケートの実施状況
1 アンケート結果の概要について
(1) 三重県の住みやすさについて
(ア) 三重県の住みやすさについての評価【表1】
県全体で、三重県は住みやすいと答えた人の割合は、82.3%となり、平成10年度の調査開始以来、8割前後で推移しています。
調査年度 | 平成10年度 | 平成12年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 |
---|---|---|---|---|---|
「住みやすい」と 答えた方の合計 |
76.4% | 80.7% | 77.7% | 82.2% | 82.3% |
※(「とても住みやすい」と「どちらかといえば住みやすい」の回答を合わせたもの)
地域別にみると、伊賀、尾鷲、熊野地域では住みやすいと答えた人の割合が70%前後と、県全体と比較して低く推移しています。
(イ) 今後の定住意向について【表2】
今後も三重県に住みたいと答えた人の割合は、76.1%となり、昨年度(80.2%)より4.1ポイント減少しています。(当調査項目は昨年度から実施)
調査年度 | 平成15年度 | 平成16年度 |
---|---|---|
「今後も三重県に住みたい」 と答えた方の合計 |
80.2% | 76.1% |
※(「今の場所に住み続けたい」と「三重県内の別の場所に住みたい」の回答を合わせたもの)
地域別にみると、伊賀地域では今後も住みたいと答えた人の割合が64.7%と低くなっています。
(2) 県行政の各分野における取組について
(ア) 今回の調査の変更点について【表3】
本調査は、平成10年度から継続的に行っており、県行政の各分野における取組に関する県民の皆さんの重要意識、満足意識等について、時系列的な分析を行ってきました。前回までのアンケート調査では、設問が抽象的、専門的であり、県民の皆さんにとってわかりにくいなどの問題がありましたので、今回は、回答者にとってわかりやすい調査票をめざし、その分野における県行政の取組をイメージできる表現とする等の改善を図りました。
その結果、平成15年度調査との比較では多くの項目で「どちらともいえない」「わからない」の合計が減少し、重要意識や満足意識が増加しています。
例えば「生涯学習」では次表のとおり重要意識、満足意識ともに10ポイント以上の増減がみられました。
平成15年度 | 平成16年度 | 増減 | ||
---|---|---|---|---|
重要意識 | 「どちらともいえない」「わからない」の合計 | 24.8% | 12.0% | △12.8 |
「重要」「どちらかといえば重要」の合計 | 66.5% | 81.4% | 14.9 | |
満足意識 | 「どちらともいえない」「わからない」の合計 | 61.3% | 40.3% | △21.0 |
「満足」「どちらかといえば満足」の合計 | 15.6% | 34.7% | 19.1 |
前回までの設問…「生涯学習の場と機会の提供」
今回調査の設問…「誰もが興味や必要に応じて、図書館や博物館、講座などで学ぶことができる環境が整っていること」
その他「人権尊重」「市民活動」「子育て環境」「医療体制」「きれいな空気」「農林水産業の振興」等の項目も同様の傾向がみられます。
また、総合計画の政策体系が変更されても継続的な分析ができるように分野の見直しを行い、前年度に比べ4減1増の44項目としました。
前回までの設問 | 今回調査の設問 | |
---|---|---|
自然環境の保全 | 統合 | 自然に触れあうことのできる豊かな自然環境があること |
自然に親しむ場の整備 | ||
国際的な環境保全への協力 | 廃止 | - |
- | 新設 | 温暖化の原因となる二酸化炭素などのガスについて、企業や家庭からの排出がおさえられたり、森林による吸収が高められていること |
以上のことから、前回までの調査結果との比較を行うときには、調査票の表現の変更等の影響があることに留意する必要があります。
(イ) 県行政の各分野における県民意識
県行政の各分野における取組(44項目)について、重要意識、満足意識、不満意識、認知意識を調査しました。
「重要意識」 = 「重要」と「どちらかといえば重要」と答えた人の率の計
「満足意識」 = 「満足」と「どちらかといえば満足」と答えた人の率の計
「不満意識」 = 「不満」と「どちらかといえば不満」と答えた人の率の計
「認知意識」 = 「取組の内容を知っている」と「取り組んでいることは知っている」と答えた人の率の計
○ 重要意識【図1 表4】
すべての項目で重要意識が50%を上回っており、80%を上回った項目数は23項目となっています。
重要意識についてしあわせプランの五つの柱別に見ると「安全なくらしの確保と安心できる生活環境の創造」「持続可能な循環型社会の創造」に関する取組に対する重要意識が高く、「人と地域の絆づくりと魅力あふれるふるさと創造」に関する取組に対する重要意識が低くなっています。
なお、44項目における重要意識の平均は79.3%となっています。
項 目 | 重要意識 |
---|---|
防犯 | 93.8% |
医療体制 | 92.6% |
飲料水の供給 | 92.1% |
川や海の水質 | 91.8% |
交通安全 | 91.7% |
○ 満足意識、不満意識
満足意識と不満意識とを比べると、不満意識の方が満足意識より高い項目が半数以上となっています。
『満足意識』【図2 表5】
満足意識が50%を上回った項目は「飲料水の供給」だけであり、30%を上回った項目数は7項目となっています。
満足意識についてしあわせプランの五つの柱別に見ると「安心を支える雇用・就業環境づくりと元気な産業づくり」「人と地域の絆づくりと魅力あふれるふるさと創造」に関する取組に対する満足意識が低くなっています。
項 目 | 満足意識 |
---|---|
飲料水の供給 | 51.1% |
自然環境との共生 | 40.5% |
医療体制 | 35.1% |
生涯学習 | 34.7% |
きれいな空気 | 34.5% |
『不満意識』【図3 表5】
「雇用」については、不満意識が50%を超えており、「地域商工業」についても不満意識が49.1%と半数近くの方が不満と感じています。また、不満意識が30%を上回った項目数は12項目となっています。
不満意識についてしあわせプランの五つの柱別に見ると「安全なくらしの確保と安心できる生活環境の創造」に関する取組に対する不満意識が高く、「人と地域の絆づくりと魅力あふれるふるさと創造」に関する取組の不満意識が低くなっています。
なお、44項目における満足意識の平均は20.0%、不満意識の平均は25.0%となっています。
項 目 | 不満意識 |
---|---|
雇用 | 53.6% |
地域商工業 | 49.1% |
防犯 | 42.8% |
交通安全 | 42.4% |
公共交通機関 | 41.4% |
○ 認知意識【図4 表6】
認知意識が50%を上回った項目数は10項目となっており、認知意識が30%を下回った項目数は12項目となっています。
認知意識上位5項目 認知意識下位5項目
項 目 | 認知意識 | 項 目 | 認知意識 | |
---|---|---|---|---|
ごみの減量 | 68.2% | 港の整備 | 19.3% | |
生涯学習 | 58.0% | 過疎地域の振興 | 20.3% | |
人権尊重 | 57.5% | 技術開発 | 20.9% | |
福祉サービス | 56.3% | 広域交流・連携 | 21.2% | |
地域での防災の取組 | 55.0% | 農山漁村づくり | 21.9% |
(3) その他
アンケートではこの他に「広聴広報活動に関する質問」と「三重県議会に関する質問」とを実施しています。
2 アンケート結果の分析について
(1) 分析方法について
アンケートでは県行政の各分野における44項目の取組について、それぞれの重要意識、満足意識及び認知意識をきいていますが、各分野の取組の重要意識及び満足意識の回答の選択肢に次表のとおり得点をつけ、平均得点を算出したものを重要度・満足度(不満度)としました。選択肢に重みをつけることで、回答者の重要意識・満足意識(不満意識)の差を反映したより深い分析が可能となります。
重要意識 | 満足意識 | ポイント |
---|---|---|
重要 | 満足 | +2 |
どちらかといえば重要 | どちらかといえば満足 | +1 |
どちらともいえない | どちらともいえない | ±0 |
どちらかといえば重要でない | どちらかといえば不満 | -1 |
重要でない | 不満 | -2 |
わからない、無回答 | ±0 |
「重要」×2+「どちらかといえば重要」+「どちらかといえば重要ではない」×(-1)+「重要ではない」×(-2)
重要度=────────────────────────────────────────────
「わからない」「無回答」を除く有効回答者数
「満足」×2+「どちらかといえば満足」+「どちらかといえば不満」×(-1)+「不満」×(-2)
満足度=─────────────────────────────────────
(不満度) 「わからない」「無回答」を除く有効回答者数
次に、重要度と満足度を座標軸にプロット化することで各項目のニーズの状況を視覚的に示し、さらに9つの生活創造圏ごとにプロット化することにより地域的な特性を把握しました。
また、昨年度から導入した認知意識を活用して、当該分野における県の取組内容を知っているかどうかによる重要度、満足度の相違等について分析しています。
(2) 県全体の重要度、満足度の分析【図5】
満足度を横軸に、重要度を縦軸にとって44項目の回答結果をプロットすると、まず、重要度についてはすべての項目でゼロ以上となっており、県民の皆さんは44項目のいずれについても重要だと感じていることがわかります。
また、44項目の重要度と満足度のそれぞれの平均値(重要度平均値1.38、満足度平均値-0.14)によって分けられた4つのグループについて、以下のとおり考えられます。
A 重要度が平均値より高く、満足度が平均値より低い項目
グラフ左上に位置する項目は、施策の必要性は十分認識されているものの、特に取組の推進や改善に対する県民のニーズ(期待)が高い項目と考えられ、従来の施策の取組方向について、さらに改善を検討する必要があります。 なお、「地域での防災の取組」に対する不満度、また、「防犯」に対する重要度、不満度は近年急激に上昇してきていますが、それ以外の項目は従来から重要度、不満度ともに高い項目となっています。
B 重要度、満足度ともに平均値より高い項目
グラフ右上に位置する項目は、施策の必要性について十分認識され、その取組にも満足されている項目と考えられ、今後も現在の水準を維持するため、着実に取組を推進する必要があります。 なお、「飲料水の供給」は従来から重要度、満足度ともに高い評価を得ています。
C 重要度、満足度ともに平均値より低い項目
グラフ左下に位置する項目は、他の施策と比較してその必要性の認識が低く、取組の推進や改善に対するニーズが高い項目と考えられ、施策の重要性をさらに認知してもらえるような取組とともに、従来の施策の取組方向の改善を検討する必要があります。
D 重要度が平均値より低く、満足度が平均値より高い項目
グラフ右下に位置する項目は、他の施策と比較してその必要性の認識が低いものの、取組には満足されている項目と考えられ、現状どおりの着実な取組の推進とともに、施策の重要性についてさらに認知してもらえる取組を進める必要があります。
(3) 地域別の重要度、満足度の分析
地域別の特色を把握するため、9つの生活創造圏域毎に各項目を重要度と満足度の座標上にプロットすることにより、以下のような特色がみられました。
桑名・員弁地域…県全体の場合と比較して重要度の平均が低くなり、満足度の平均が高くなっています。
県全体と比べて満足度が高い項目 | 「地域商工業」「高速交通網」「道路の整備」「公共交通機関」 |
---|
四日市地域…県全体の場合と比較して満足度の平均がやや高くなっています。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「きれいな空気」「公共交通機関」 |
---|---|
県全体と比べて満足度が高い項目 | 「港の整備」 |
鈴鹿・亀山地域…県全体の場合と比較して満足度の平均がやや高くなっています。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「災害対策」「子育て環境」「公共交通機関」 |
---|---|
県全体と比べて満足度が高い項目 | 「産業振興」 |
伊賀地域…県全体の場合と比較して重要度、満足度の平均ともにやや低くなっています。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「子育て環境」「医療体制」「公共交通機関」 |
---|---|
県全体ではAゾーンに入っているが、 当該地域ではAゾーンに入っていない項目 | 「エネルギー」 |
津・久居地域…県全体の場合と比較して重要度の平均が高くなっています。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「災害対策」 |
---|---|
県全体と比べて満足度が高い項目 | 「生涯学習」 |
松阪・紀勢地域…県全体の場合と比較して重要度の平均が低くなっています。県全体の場合とあまり分布に変化が見られません。
伊勢志摩地域…県全体の場合と比較して重要度の平均がやや高くなり、満足度の平均はやや低くなっています。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「災害対策」「地域商工業」 |
---|---|
県全体ではAゾーンに入っているが、 当該地域ではAゾーンに入っていない項目 | 「ごみの減量」 |
県全体と比べて重要度が高い項目 | 「観光」 |
県全体と比べて満足度が低い項目 | 「観光」「雇用」 |
尾鷲地域…県全体の場合と比較して重要度の平均がやや高くなり、満足度の平均が低く項目によって満足度の差が大きい点がみられます。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「医療体制」「農林水産業の振興」「地域商工業」「道路の整備」 |
---|---|
県全体ではAゾーンに入っているが、 当該地域ではAゾーンに入っていない項目 | 「学校教育」「地域での防災の取組」「交通安全」「防犯」「ごみの減量」「快適なまちづくり」 |
県全体と比べて重要度が高くかつ満足度が低い項目 | 「高速交通網」「農山漁村づくり」「過疎地域の振興」など |
熊野地域…県全体の場合と比較して重要度の平均が高くなり、満足度の平均が低く項目によって満足度の差が大きい点がみられます。
県全体ではAゾーンに入っていないが、 当該地域ではAゾーンに入っている項目 |
「災害対策」「医療体制」「地域商工業」「高速交通網」「道路の整備」「公共交通機関」 |
---|---|
県全体ではAゾーンに入っているが、 当該地域ではAゾーンに入っていない項目 | 「学校教育」「交通安全」「防犯」「ごみの減量」「川や海の水質」「地球温暖化防止」「快適なまちづくり」「エネルギー」 |
県全体と比べて満足度が低い項目 | 「生涯学習」「技術開発」「情報ネットワーク」「農山漁村づくり」「過疎地域等の振興」など |
(4) 認知意識による重要度、満足度の分析
県行政の取組を認知している人のみを対象とした場合の重要度、満足度は回答者全員を対象とした場合より高く、すべての項目において重要度が1.0以上となっています。また、認知していない人のみを対象とした場合の重要度、満足度は回答者全員を対象とした場合より低くなっています。いずれにしても、Aゾーンに入っている項目については、回答者全員を対象とした場合とほとんど変わりません。
認知している人のみを対象とした場合と認知していない人のみを対象とした場合を比較すると、すべての項目で認知している人の重要度、満足度が認知していない人より高くなっており、施策の取組を知っているほど重要性を訴える傾向や、施策の取組を知っているほど満足している傾向がみられます。
しかしながら、「防犯」「医療体制」「地域での防災の取組」等の重要度上位項目については、認知していなくても重要度が高くなっており、認知の如何に関わらず重要と感じている人が多くなっています。
項 目 | 重要度 | |
---|---|---|
認知している人 | 認知していない人 | |
防犯 | 1.85 | 1.84 |
医療体制 | 1.83 | 1.79 |
地域での防災の取組 | 1.76 | 1.71 |
災害対策 | 1.77 | 1.71 |
人権尊重 | 1.65 | 1.58 |
川や海の水質 | 1.81 | 1.74 |
飲料水の供給 | 1.87 | 1.80 |
3 アンケートの実施状況
(1) 調査内容
ア 三重県の住みやすさ及び今後の定住意向
イ 県行政の各分野の取組についての重要意識、満足意識、認知意識
(各44項目(平成15年度は47項目)、5段階調査)
ウ その他広聴広報等に関する質問
(2) 調査の設計
- 調査地域:三重県全域
- 調査対象:県内在住の20歳以上の男女
- 標本数:10 000人
- 抽出方法:無作為抽出法(選挙人名簿を使用)
9生活創造圏ごとに1 111サンプルを配分
(四日市生活創造圏のみ1 112サンプル) - 調査方法:郵送法
- 調査時期:平成16年5月
(3) 回収の結果
標本数 10 000人(100.0%) 実回収総数 3 944人(39.4%)
有効回収数 3 784人(37.8%)
無効数 160人( 1.6%) 回答不備等
(4) 集計における回収数の補正
調査対象の抽出にあたり、各生活創造圏ごとの分析を行う際に必要なデータを得るため、9つの生活創造圏の母集団(選挙人名簿登録者数)の大小に関わらず、1" 111人ずつ(四日市生活創造圏は1 112人)のサンプルを割り当てました。
しかし、県全体の集計分析を回収実数のまま行うと、母集団の小さい圏域の調査結果が全体の結果に反映しすぎることになりますので、補正値を乗じて補正回収数としています。その結果、補正後の全体回収数は17 111となります。
生活創造圏 | 補正値 |
---|---|
桑名・員弁 | 4.57 |
四日市 | 7.67 |
鈴鹿・亀山 | 4.98 |
伊賀 | 3.97 |
津・久居 | 6.59 |
松阪・紀勢 | 4.58 |
伊勢志摩 | 5.80 |
尾鷲 | 1.01 |
熊野 | 1.00 |