三重県における難病対策
難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び療養生活の質の維持向上を図るため、難病について、早期に正しい診断ができ、診断後は身近な医療機関で適切な治療を継続できるよう、地域の医療機関の連携による医療提供体制の構築をめざします。 難病診療連携拠点病院として三重大学医学部附属病院、難病診療分野別拠点病院として独立行政法人国立病院機構三重病院および独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院、難病医療協力病院として県内22病院が各々指定を受け、三重県難病医療連絡協議会を構成しています。 平成31年4月、国の難病特別対策推進事業実施要綱の改正を受け、難病医療連絡協議会は県の会議機関として新たに発足し、従来の難病在宅ケア支援ネットワーク整備事業は難病診療連携拠点病院である三重大学医学部附属病院に委託、実施することとなりました。 (1)難病医療連絡協議会 難病の医療提供体制の検討・協議を行い、必要に応じて見直しを行います。 (2)難病診療連携拠点病院の役割 ・難病全般について早期診断・専門治療を行います。 ・難病診療連携コーディネーター及び難病診療カウンセラーを配置します。 ・県内難病診療ネットワークを構築し、国の難病医療支援ネットワークへ参加します。 ・難病医療提供状況に関する情報収集・情報提供を行います。 ・難病の診療に関する相談に応じるとともに、必要に応じて保健所及び難病相談支援センターへの 紹介や支援要請を行います。 ・難病患者の支援に携わる関係者の人材育成のための研修会等を実施します。 ・遺伝カウンセリングの実施体制を整備します。 (3)難病診療分野別拠点病院の役割 ・専門分野について早期診断・専門治療を行い、県内診療ネットワークにより、難病患者の受け入 れや紹介を行います。 ・難病診療連携拠点病院が行う難病研修会開催等への協力を行います。 ・協力病院等の地域の医療機関、難病患者を受け入れている福祉施設等からの要請に応じて、医学 的な指導・助言を行います。 (4)難病医療協力病院の役割 ・主要な難病についての診断、治療を提供し、県内診療ネットワークにより、難病患者の受け入れ や紹介を行います。 ・地域において、難病患者を受け入れている福祉施設等からの要請に応じて、医学的な指導・助言 を行うとともに、患者の受け入れを行います。 2.人工呼吸器等装着難病患者一時入院事業 在宅療養の人工呼吸器等装着難病患者が、一時的に在宅での介護を受けることが困難になった場合、一時入院を受け入れた難病医療拠点病院・協力病院に対して、1日19,000円を交付します。 患者1人につき1回14日以内、同一年度14日を限度とします。 3.意思伝達装置使用サポート事業 各制度で給付される意思伝達装置が有効に活用できるよう、事前に意思伝達装置を貸与し、操作方法の指導を行い、在宅療養生活の質の向上を図ります。 4.難病在宅ケア事業 患者の療養上の不安の解消を図り、きめ細かな支援が必要な要支援難病患者に対して、保健所が中心となり、関係機関と連携のもと適切な在宅療養支援を行います。 (1)訪問相談事業:保健師が各家庭を訪問し、ニーズに合わせた生活相談に応じます。 (2)医療相談事業:医療、福祉、保健の各専門分野のスタッフが一同に集まり、難病の早期治療に結び つけるための相談や、セカンドオピニオンの役割を担います。 (3)訪問診療事業:医療、福祉、保健の各専門分野のスタッフが、難病患者のニーズにあわせてチーム を組み、患者宅へ訪問し家庭の事情に応じた相談に対応します。 (4)在宅療養支援計画・評価事業:各関係機関との連携のための会議や事例検討会を行い、地域や個別 の支援計画の策定や評価を行います。また、訪問看護師やホームヘルパー等の地域支援者の人材育成 を行います。 5.難病相談・支援センター事業(平成17年度開始・NPO法人三重難病連に委託) 地域で生活する難病患者等の日常生活における相談・支援、地域交流活動の促進および就労支援などを行う拠点施設として設置しています。 実施場所:三重県難病相談支援センター(三重県津庁舎) (1)各種相談支援:電話、面談等により、療養、日常生活、各種公的手続き等に対する相談・支援 および生活情報の提供を行います。 (2)地域交流会等の活動支援:患者等の自主的な活動、地域住民と患者団体との交流等の活動支援や ボランティアの育成を行います。 (3)就労支援:公共職業安定所等関係機関と連携を図り、難病患者の就労に関する必要な相談、援助、 情報提供を行います。 (4)講演・研修会の開催:患者や保健、医療、福祉サービス提供職員に対する講演会、研修会を開催 します。 6.三重県プリオン病等確定診断(剖検)事業 プリオン病等神経難病は診断や対応に苦慮することが多く、確定診断(剖検)は、感染予防が必須 で、費用の面から実施に至らないことが多いことから、適切な医療機関において実施される確定診断 のために必要な剖検にかかる経費を補助し、病態解明に寄与します。 7.難病の患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」という。)に基づく特定医療費の支給 指定難病にかかっていると認められる者であって、次のいずれかに該当する者の医療費の助成を行います。 ・その病状の程度が厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて定める程度(個々の指定難病の特性 に応じ、日常生活又は社会生活に支障があると医学的に判断される程度)である者 ・ 当該支給認定の申請のあった月以前の12月以内に医療費が33,330円を超える月数が既に3 月以上ある者 8.特定疾患治療研究事業 難病法の施行前に特定疾患治療研究事業で対象とされてきた特定疾患のうち、難病法に基づく特定医療費の支給対象となる指定難病以外の疾患については、治療がきわめて困難であり、かつ、その医療費も高額であるため、特定疾患治療研究事業を推進することにより引き続き当該患者の医療費の負担軽減を図ります。 9.先天性血液凝固因子障害等治療研究事業 20才以上の先天性血液凝固因子欠乏症及び血液凝固因子製剤に起因するHIV感染症患者の医療費の自己負担分を治療研究事業として公費負担します。 受給者の申請に基づき審査し、毎年4月1日に医療受給者証を更新します。 10.スモンに対するはり、きゅう及びマッサージ治療研究事業 スモンに罹患している者のはり、きゅうおよびマッサージ施術費を月7回を上限に公費負担する制度。 受給者の申請に基づき毎年4月1日に医療受給者証を更新します。 11.在宅人工呼吸器使用患者支援事業 在宅で人工呼吸器を使用している難病患者に対して、診療報酬で定められた回数を越える訪問看護を実施することにより、適切な医療の確保を図ります。 12.「障害者総合支援法」「児童福祉法」による障害福祉サービス等 「障害者総合支援法」では、難病の対象疾病に対して、「障害支援区分」に応じたサービスが利用できるとされています。 (1)障害福祉サービス ・介護給付:居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括 支援、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、施設入所支援 ・訓練等給付:自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム) ・障害児通所支援(児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援) ・障害児入所支援(福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設) (2)相談支援 ・計画相談支援(サービス利用支援、継続サービス利用支援) ・地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援) ・障害児相談支援(障害児支援利用援助、継続障害児支援利用援助) (3)地域生活支援事業 (対象者、利用料など事業内容の詳細は市町により異なる。) ・理解促進研修・啓発、自発的活動支援、相談支援、成年後見制度利用支援、成年後見制度法人 後見支援、意思疎通支援、日常生活用具給付等、手話奉仕員養成研修、移動支援、地域活動支援 センター、その他 (4)補装具:義肢、装具、車いす、意思伝達装置等 13.小児慢性特定疾病医療支援事業 小児慢性疾病のうち特定疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とする児童の健全育成を図るため、医療費の自己負担分について一部又は全額公費負担する制度。対象は、16疾患群 788疾病。 14.小児慢性特定疾病児日常生活用具給付事業 ※事業実施は市町です。 指定されている日常生活用具について小児慢性特定疾病医療支援事業の対象となっている児童等の日常生活の便宜を図るため、用具購入に要する経費の一部または全部を負担します。 ・用具の種目(18品目) 便器、特殊マット、特殊便器、特殊寝台、歩行支援用具、入浴補助用具、特殊尿器、体位変換器、 車椅子、頭部保護帽、電気式たん吸引器、クールベスト、紫外線カットクリーム、ネブライザー (吸入器)、パルスオキシメーター、ストーマ装具(消化器系)、ストーマ装具(尿路系)、人工鼻 15.小児慢性特定疾病児童等自立支援相談事業 (平成27年4月開始 NPO法人三重難病連に委託) 慢性的な疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とする児童等の健全育成及び自立促進を図ります。 実施場所:三重県難病相談支援センター(三重県津庁舎内) 相談支援:電話、面接、メール、訪問、その他などによる相談支援を実施。 小児慢性特定疾病児童自立支援員:相談支援、自立支援に係る各種支援策の利用計画の作成、フォローアップ、関係機関との連絡調整等を行います。 |
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