3.清涼な河川の恵みの食文化
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水質が良く、水量豊富な宮川・櫛田川では魚の王様と言われる鮎がたくさん漁れ、各種の鮎料理が食べられます。特に季節のものとして食時期が限定されますので、一層珍重されています。あらい、でんがく、甘露煮、塩焼き、そして最後に鮎雑炊で閉めるとさっぱりとした満足感に包まれることでしょう。
あまごは鮎よりも清流を好むため、鮎の生息域より上流の坂本川(雲出川の支流)では古くからあまごの養殖が行われています。 揖斐川筋では鯉料理があります。鯉はその生命力のたくましさから、妊産婦の滋養強壮に、また鯉こく(鯉の味噌汁)は母乳の出を良くすると言われ、出産後の母親に重宝されてきました。あらい、味噌煮、鯉こく、鯉味噌、皮の酢の物などの料理があります。
熊野川では川幅が広いこともあって、満潮時には海水が河口から遡ってきますが、一緒にすずきやぼらが遡上します。これを”もどり”と呼ばれる堰止め道具で止めると、潮が引くに従って、もどりにすずきが残ります。もともと雨ごい神事ですので、大きなすずきを神社に奉納しました。この行事をすずき追いと言い、村民総出で行いますので、捕れたすずきは全員で分けて、ひととき海の幸に舌づつみを打ちます。