1 概要
地方公営企業が過去の高金利時代に国や公営企業金融公庫等の公的機関から借り入れた高金利企業債の金利負担を軽減するため、国において平成19年度から21年度まで臨時的に、公的資金を補償金なしで繰上償還することを受け入れる制度が実施されます。当該制度の活用にあたっては、公的資金繰上償還に係る経営健全化計画を策定し、国と協議した上で、これを議会に報告し、県民の皆様に公表する必要があります。
病院事業庁では、平成16年度にスタートした中期経営計画に替わる、新たな経営計画を作成する必要があります。しかし現在、県議会において県立病院等調査特別委員会が、執行部において病院事業在り方検討委員会が設置され、県立病院の在り方等について議論されていることから、20年度については「当面の運営方針」の位置づけの下で運営し、以降の経営計画については在り方の答申等を踏まえて20年度中に作成することとしています。
そこで、現在の経営状況をベースに平成19年10月に作成した改善計画を国に提示したところ、国との協議が整いましたので、その概要を県民の皆様に公表し、繰上償還を行ってまいりたいと考えています。
なお、繰上償還にあたっては、その償還財源として借換債(高い金利から低い金利に借り換える)を発行することとしていますが、これにより将来の金利負担の軽減が期待されます。
2 制度の対象となる資金と償還年度
平成4年5月(公営企業金融公庫資金は平成5年8月)までに借り入れた資金で、金利5%以上の資金が制度の対象となっており、病院事業庁では下記の通り、総額で約25億5,000万円余りが該当します。これらを規定された年度において繰上償還していく予定です。
【対象となる資金】 繰上償還年度 金額(千円) 対象債の金利区分
19年度 70,233 年利7%以上
20年度 702,814 年利6%以上7%未満
21年度 1,780,959 年利5%以上6%未満
(※)上記は現在残高ではなく、繰上償還する予定の時点における残高です。
3 公的資金繰上償還に係る病院事業経営健全化計画
(1)基本方針等
公的資金繰上償還に係る病院事業経営健全化計画(平成19年度から23年度)について、特に経常収支が赤字等の場合には、5年間の計画期間中に少しでも赤字額を解消すること等が要請されています。病院事業庁においては、現状の経営状況をベースに平成19年10月時点で作成しましたが、病院事業の経営を取り巻く環境は厳しさを増す中で、昨今の赤字収支を少しでも改善するよう取り組みを進めてまいります。主な運営課題は以下のとおりです。
(2)主な運営課題に対する取り組み
○不足する医師の確保
地域偏在、診療科別偏在の影響を受けて休診している診療科の再開等が急務となっています。これまでの病院事業独自の地域手当の増額や研修環境の改善に取り組んでいるところですが、研修機能や労働環境の改善等を通じて、医師にとって魅力ある病院づくりに取り組んでまいります。
○不足する看護師の確保
全県的に看護師が不足する中、新しい7対1看護基準の新設等により看護師確保は一層厳しい環境にあり、稼働病床数を制限せざるを得ない状況が続いています。引き続き、病院事業庁独自の看護師修学資金の活用や離職防止への取り組みを通じて、看護師の確保定着に努めてまいります。
○医業収益の増加
抑制傾向にある診療報酬体系や医師及び看護師不足の状況下においては、医業収益を大幅に増加させることは困難ですが、従来から取り組んできた病院機能の強化による平均在院日数の短縮化や平成20年度以降に予定しているDPC(※注)の導入等により、1日1人あたりの診療報酬単価の増額等を図ってまいります。
※DPC: 検査等の診療行為に応じて支払われる従来の出来高方式と異なり、主要な疾病区分等により、入院期間1日について一定の診療報酬額が包括的に支払われる方式のこと。
○材料費の縮減
これまでも診療材料の棚卸しの強化や物品管理システムの導入等により削減を図ってきた材料費について、例えば画像モニターの活用によるレントゲンフィルムの使用量削減等により、一層の費用削減を目指します。
(3)収支計画及び長期債務残高
経営健全化計画におけるH19~H23年度の収支計画及び長期債務残高の見込みは別紙のとおりです。限られた医療資源を有効に活用して医業収益の増加に努めるとともに、材料費や支払利息等費用の縮減により、赤字幅の縮小を図ることとしています。
関連資料
経営健全化計画における収支計画及び長期債務残高の見通し (PDF形式 : 5KB)