平成27年「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要
平成27年10月9日
三重県人事委員会
○本年の給与勧告のポイント 『24年ぶりに2年連続で月例給・ボーナスともに引上げ』(平成3年以来) 民間給与との均衡を図るため (1)月例給 : 給料表を引き上げるとともに、地域手当の支給割合を引上げ (引上げ率 1.45%) (2)ボーナス(特別給) : 支給月数を引上げ(+0.1月分) |
Ⅰ本年の民間給与との較差に基づく給与改定
1職員の給与と民間給与との比較
-
企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の県内751の民間事業所から抽出した160事業所を対象に、職種別民間給与実態調査を実施
-
4月分の公民給与について、役職・学歴・年齢別に対比して較差を算出
(1)公民較差(月例給)
|
|
|
参考(国) |
区分 |
金額等 |
|
金額等 |
|
民間従業員の給与 |
(A) |
394,047円 |
410,465円 |
|
職員(行政職)の給与 |
(B) |
388,383円 |
408,996円 |
|
公民較差 |
(A)-(B) |
5,664円(1.46%) |
1,469円(0.36%) |
職員の給与 | 給料月額 |
△9,602円 |
(総合的見直し等による減) |
△4,911円の内訳 | 給料の差額 |
5,502円 |
(総合的見直し等による現給保障) |
住居手当 |
△ 313円 |
(自宅の住居手当の廃止)、扶養手当等 △498円 |
◎「国の官民較差より公民較差が大きいのはなぜか」→〔問1〕
(2)ボーナス(特別給)
|
|
|
参考(国) |
区分 |
月数 |
|
月数 |
|
民間の支給割合 |
(A) |
4.18月 |
4.21月 |
|
職員の支給月数 |
(B) |
4.10月 |
4.10月 |
|
較差 |
(A)-(B) |
0.08月 |
0.11月 |
2改定すべき事項
(1)月例給
【給料表】公民較差を解消するため、引上げ改定
(行政職給料表平均改定率2.1%)
【地域手当】公民較差を解消するため、引上げ改定
(県内に勤務する職員に対する地域手当 4%→4.5%)
【初任給調整手当】人事院勧告に準じ、所要の改定
改定内容(行政職)
区分 |
配分額 (引上げ額) |
配分率 (引上げ率) |
給料 |
3,612円 |
0.93% |
諸手当 |
1,841円 |
0.47% |
はね返り分 |
195円 |
0.05% |
計 |
5,648円 |
1.45% |
(注)「はね返り分」とは、給料等の改定により諸手当の額が増減する分
◎「給料への配分率(0.93%)と給料表改定率(2.1%)のが違うのはなぜか」→〔問2〕
(2) ボーナス(特別給)
・職員の期末・勤勉手当の支給月数(4.10月)が、民間のボーナスの支給割合(4.18月分)を下回っていることから、支給月数を4.20月に引上げ
・引上げ分は、勤勉手当に配分 ※支給割合は従来から0.05月単位により改定
改定後の支給月数(一般の職員の場合)
|
6月期 |
12月期 |
|
平成27年度 |
期末手当 |
1.225月(支給済み) |
1.375月(改定なし) |
勤勉手当 |
0.75月(支給済み) |
0.85月(現行0.75月) |
|
平成28年度 以降 |
期末手当 |
1.225月 |
1.375月 |
勤勉手当 |
0.80月 |
0.80月 |
3実施時期
(1)月例給
平成27年4月1日
(2) ボーナス(特別給)
平成27年12月1日
(平成28年度以降の改定は、平成28年4月1日)
Ⅱ本県における総合的見直し
地方公務員法の均衡の原則等を勘案し、国の総合的見直しを踏まえた給与制度の見直しを実施
1平成28年度に実施する事項
(1)地域手当の支給割合の改定
県外に勤務する職員に対する地域手当及び医師または歯科医師に対する地域手当の支給割合
:条例に定める支給割合
(2)単身赴任手当の支給額の改定
人事院勧告に準じ、基礎額及び加算額の限度について改定
(基礎額 26,000円→30,000円)
Ⅲその他の課題
1獣医師の人材確保策
他の都道府県における獣医師に対する給与上の処遇等について検証し、本県におけるその必要性の有無を検討する必要
2地方公務員法改正への対応
任命権者において、等級別基準職務表を条例に定める必要
3教員の給与
教育委員会において、諸手当等のあり方等を引き続き検討する必要
4配偶者に係る扶養手当
民間における家族手当の見直しの動向及び国における扶養手当の見直しの検討状況等を注視していく必要
5再任用職員の給与
民間における再雇用者の給与の動向及び国の再任用制度の検討状況等を踏まえ、引き続きそのあり方について検討する必要
Ⅳ人事行政に関する報告
1人材の確保・育成
・職員採用試験の受験者拡大に向けた取組が必要
・人事評価制度を的確に運用し、人事評価結果を基礎として能力・実績に基づく人事管理を推進する必要
・「コンプライアンスの日常化」に向けた取組が必要
2ワーク・ライフ・マネジメントの推進
・ワーク・ライフ・マネジメントは効果が見られ、課題に留意し推進する必要
・イクボスの推進等により、職員が仕事と家庭を両立できる勤務環境の整備が必要
・フレックスタイム制など、多様な働き方に関する国の動きに注視が必要
・教員の総勤務時間縮減に向けての取組が必要
3女性の登用の拡大
・女性活躍推進法等を踏まえ、女性登用の拡大を進める必要
・職員採用試験の女性受験者増加に向けた取組とともに、女性職員の職域拡大など能力・意欲の向上を図る取組が必要
4健康対策の推進
・メンタルヘルス対策は予防・早期発見が重要であり、職員の不調に早く気づき対応できるよう研修等が必要
・ストレスチェック制度を的確に運用し、予防・早期発見に効果を期待
5高齢期の雇用問題
・再任用職員は、培った能力、経験を有効に活用できる職場への配置が必要
・雇用と年金の接続に関する国の動向を注視し、高齢期雇用の課題に対応する必要
Ⅴ勧告実施にあたって
・人事委員会の給与勧告制度は、職員が労働基本権を制約されていることの代償措置
・県議会及び知事におかれては、給与勧告制度が果たしている役割に対し深い理解を示され、本年の勧告を実施されるよう要請
〔問1〕国の官民較差より公民較差が大きいのはなぜか
①国より現給保障額が低い ⇒ ②職員の給与が減少
… そのため、公民較差も大きくなる
①国より現給保障額が低い
国より現給保障額が低いのは、国と県で昇給日が異なるため 国 : 1月1日昇給後の額で現給保障 三重県 : 4月1日に実質的な昇給せず |
(注)1 仮定の金額による概念図
2 現給保障とは、給料表の引下げに伴い平成27年3月31日時点の給料月額を保障する経過措置をいう
②職員の給与が減少
国と異なりH26の給与総額に達しないため、職員の給与が減少 国 : 1歳先輩と同じ額 → 給与総額はH26とほぼ同じ 三重県 : 1歳先輩に比べ低い額 → 給与総額はH26より減少 |
〔問2〕給料への配分率(0.93%)と給料表改定率(2.1%)が違うのはなぜか
給料表改定率を0.93%とすると、0.4%程度しか配分できない
⇒ 給料表改定率を2.1%とする必要
勧告前後の職員の給与の変化
勧告前 |
勧告後 |
年間給与 の増加額(千円) |
|||||||
(平均) 年齢 |
世帯の 構成 |
月例給 (円) |
年間給与 (千円) |
月例給 (円) |
年間給与 (千円) |
||||
行政職(4,889人) |
43.6歳 |
388,383 |
6,334 |
394,031 |
6,468 |
134 |
モデル給与例
係員 |
25歳 |
独身 |
216,944 |
3,493 |
226,765 |
3,674 |
181 |
||
30歳 |
配偶者 |
262,704 |
4,219 |
271,804 |
4,392 |
173 |
|||
主査 |
40歳 |
配偶者 子2人 |
394,264 |
6,478 |
402,220 |
6,650 |
172 |
||
主幹 |
45歳 |
配偶者 子2人 |
423,280 |
6,957 |
432,630 |
7,156 |
199 |
||
課長級 |
― |
配偶者 子2人 |
544,128 |
8,664 |
546,744 |
8,755 |
91 |
||
次長級 |
― |
配偶者 |
568,538 |
9,405 |
574,332 |
9,557 |
152 |
||
部長級 |
― |
配偶者 |
679,891 |
11,344 |
689,386 |
11,573 |
229 |
全職員(20,881人) |
42.8歳 |
399,093 |
6,446 |
405,084 |
6,583 |
137 |
(注)年間給与は月例給とボーナス(特別給)の合計