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平成21年03月10日

三重県人事委員会

平成18年「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要

平成18年10月11日
三重県人事委員会

Ⅰ 本年の給与改定

1 公民給与の較差

企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の県内728の民間事業所のうちから、139事業所を抽出し、職種別民間給与実態調査を実施
4月分の公民較差について、役職・学歴・年齢別に対比して公民較差を算出
    較 差    2,750円(0.71%)
   ※公民給与の比較方法の見直しを行わなかった場合の較差 6,612円(1.70%)

(参考)平成18年人事院勧告    18円( 0.00%)
   ※官民給与の比較方法の見直しを行わなかった場合の較差 4,252円(1.12%)
     平成17年県勧告   △1,220円(△0.31%)

2 公民給与の比較方法の見直し

本年の公民給与比較において、次のとおり比較方法等について見直しを行った上で、本年の給与改定に反映させることとした

  1. 比較対象企業規模を見直し、従来の100人以上から50人以上に改める
  2. 比較対象従業員であるライン職の従業員の要件を改め、スタッフ職の従業員等も比較の対象に加える
  3. 比較における対応関係を見直す

3 地域手当による公民較差の反映

  • 公民較差に見合うよう月例給の引上げ改定を行うことが適当である
  • 本来、公務員の給与水準は給料で措置すべきであるが、給料は各手当の基礎となるなど給与制度の根幹をなすものであるということから本県給料表を国の俸給表に準拠させている現状にあっては、給料表のみをもって精緻に民間給与との均衡を保つべく措置することは困難である
  • よって、給料表で措置できない給与水準の改定については、地域手当を基本として措置するものとする。このことは、公務員の給与水準と地域の民間給与水準との較差を是正するという目的で設けられた地域手当の趣旨にも沿うものであると考える

 本委員会は、これらの状況を総合的に判断した結果、職員の適正な給与水準を確保するため、次の措置を講ずることが適当と認める

4 改定すべき事項

(1) 給料表

  • 基本的な給与である給料は、前述のとおり、各手当の基礎となるなど給与制度の根幹をなすものであることから、従来より人事院勧告に準じて改定を行ってきていることも踏まえ、改定を見送る

(2) 地域手当

  • 公民較差を地域手当で反映させることとし、県内支給率を0.7%引き上げるよう所要の規則改正を行う
    現行県内支給率1.0% → 改定後県内支給率1.7%

(地域手当の段階的導入と公民較差反映との関係)
地域手当の段階的導入と公民較差反映との関係

(3) 期末・勤勉手当

  • 民間の特別給と均衡しているため、改定せず(現行支給月数 4.45月)
     ※公民給与の比較方法の見直しを行わなかった場合の支給月数 +0.05月
       (参考)平成18年人事院勧告 改定せず(現行支給月数 4.45月)
        ※官民給与の比較方法の見直しを行わなかった場合の支給月数 +0.05月

5 実施時期等

  • 平成18年4月1日
  • 経過措置期間中の地域手当の支給率については人事委員会規則で規定されているため、条例改正は行わず、規則改正により改定を行う

6 上記改定による配分額(行政職)

区分 配分額 配分率
給料 0円  0.00%
諸手当 2,653円  0.68%
はね返り分 0円 0.00%
2,653円 0.68%

Ⅱ 給与構造の改革

1 平成19年度の給与構造改革にかかる改定

(1) 地域手当

  • 平成19年度の経過措置として、段階的導入という給与構造改革の当初の方針どおり、県内全域において一律に2%の地域手当を支給する
  • 県外に勤務する職員並びに医師及び歯科医師については、人事院勧告に準じて所要の経過措置を講ずる

(2) 広域異動手当

  • 広域的に転勤のある民間企業(他県に支店を有する企業)の賃金水準を考慮したとする手当の趣旨を踏まえて本県職員の異動実態をみると、国家公務員とは大きく異なり、県外への異動がごく少数であることなどから、導入の必要性は薄いものと判断されるため、導入しないこととする

(3) 管理職手当の定額化

  • 管理職員の職務・職責を端的に反映できるよう、人事院勧告に準じて定率制から職務の級別定額制に移行する
  • あわせて、人事院勧告に準じて、管理職員特別勤務手当について、所要の改正を行う

(4) 勤務実績の給与への反映

  • 勤務成績に基づく新たな昇給制度及び勤勉手当に勤務実績をより反映し得る仕組みについて、引き続き早期の構築・導入を図る

2 実施時期

地域手当の改定及び管理職手当の定額化については、平成19年度から実施

3 経過措置

管理職手当の定額化の実施に当たり、人事院勧告の趣旨に準じ、所要の経過措置を講ずる

Ⅲ 人事システム

本県においては、「文化力」をベースに政策の転換を目指す取組がすすめられているが、発想を転換し、多様な価値に着目し、多面的に政策を立案して、より質の高い行政サービスを提供するためには、職員一人ひとりの資質を向上させることが必要 
 今後は、能力・実績を重視した新しい人事システムの構築など、人事管理のあり方についても、検討していくことが必要

1 人材の確保・育成

  • 職員の採用試験については、人物面を重視した試験方法について、検討を継続していくことが必要
  • 柔軟な人材確保策を整備する必要があり、専門的知識経験等を有する任期付採用制度の活用とともに新たな制度導入を検討することが必要

2 評価制度

  • 職員の能力開発・人材育成の観点を中心に、早期に全職員を対象とした評価制度を構築・導入することが必要
  • 公平性、信頼性、納得性などが十分に確保された評価制度を構築・導入することで、職員が意欲と情熱をもって働くことのできる環境が整備されることが必要
  • 勤務実績の判定の制度や仕組みも評価制度と融合させていくことが本来と考えるが、勤務実績の給与への反映と評価制度とを融合させる際には、職員の意欲と情熱の向上に結びつくことが重要。よって、任命権者や職場の違いなどの事情も考慮した上で、職員側の理解と納得が得られる努力が必要
  • 評価制度を構築・導入するに当たっては、職員からの苦情に対処するためのシステム整備、公正な評価を行うための評価者向け研修の実施、評価項目の公表、評価結果についてのカウンセリングを含めた評価者と被評価者との対話システムの構築などが必要
  • 制度の導入後においても、職員側との対話を行いながら、改善を続けていくことが必要

Ⅳ 公務運営

「新しい時代の公」に基づく地域主権の社会を構築していくには、職員一人ひとりが能力を向上させ、県民の視点に立ち、多様な価値を尊重し、県民とともに職務を遂行することが必要。適正な勤務条件の確保に努め、職員が意欲と情熱をもって働ける環境づくりに取り組むことで職員満足度の向上を図ることが重要

1 勤務形態の弾力化・多様化

  • 画一的な勤務形態を見直し、勤務時間制度の弾力化・多様化について検討を進めることが必要
  • 国の動向や関係法改正の状況に留意しつつ、早出遅出勤務、育児のための短時間勤務制度、部分休業制度の対象範囲拡大など、必要な制度の具体化に向けた検討を進めることが必要

2 勤務時間の適正化

  • 総勤務時間の縮減は、職員の健康対策や公務能率向上の観点から重要な課題
    職場それぞれの事情は認識しつつも、今後も継続して勤務時間の適正化を進めることが必要
  • 現在の休息時間については、本県の民間企業においてこれに相当する制度を有する企業がごく少数であるという実態に鑑み、廃止することが必要
  • 職員の週所定労働時間についても、今後、人事院の検討内容や他の自治体・民間企業の動向を注視していくことが必要

3 男女共同参画社会への取組

  • 女性職員をマネジメント能力が発揮できる職へ配置するなど計画的な女性職員の育成・職域拡大に努めることが必要
  • 新たな職である副室長等に女性職員を登用することにより、より上位の職への登用へとつながる人事も積極的に行っていくことが必要
  • セクシュアル・ハラスメントの防止策については、男女雇用機会均等法に基づき策定されることとなる指針等にも留意し、より一層、事業主としての取組を進めることが必要

4 次世代育成支援への取組

  • 特定事業主行動計画に基づく取組を一層推進することが必要
  • 子育てをしている職員だけでなく、全ての職員がそれぞれの立場で次世代育成に取り組むことの必要性を認識することが重要
  • 職員の意識啓発に取り組み、育児を理解し支援する職場の風土づくりへとつなげていくことが必要
  • とりわけ男性職員の育児参加を推進するためには、周囲への理解を深めるための取組が必要
  • 職員の子供を対象とした職場見学などの実施、子育てに関するパンフレットの作成・配付、「職員の次世代育成支援のためのホームページ」の活用・充実などの取組が有効

5 労働安全衛生・健康対策の推進

  • 今後は予防に向けた取組を積極的に講じることが重要
  • これまで「個人の問題」として位置づけられがちであったメンタルヘルスを「組織の問題」として位置づけることが重要
  • 幹部職員が率先してこれに取り組み、組織としての姿勢を示すことが有効
  • 心が不健康な状態になりつつある職員に気づき、早期に対応するには、日常的に部下に接する管理監督者の役割が極めて大きいため、管理監督者はマネジメントの一環としてメンタルヘルスについての学習を行い、役割の大きさを認識することが必要
  • 昇任時の必須研修を活用し、早期発見に関する知識や健康管理スタッフとの速やかな連携をはかる方法について、予め学習しておくことが必要
  • 取組が効果をあげるためには人事部門、健康管理部門、研修部門の連携が重要
  • 心が不健康な状態になってから対応するのではなく、日頃の対応が大切であることを職員一人ひとりに認識させることが必要
  • 職員自らがストレスに気づく方策や対処方法を学習できる仕組みづくり、健康診断の機会等を利用したストレスチェックの充実、メール等を利用した情報の継続発信などの取組が有効
  • 相談窓口は、本人だけが利用すべきという誤解が生じないよう周知するとともに、管理監督者や家族が積極的に活用できる環境を充実させることが必要

6 公務員倫理

  • 昨今、信頼関係を裏切るような職員による不祥事が生じ、「新しい時代の公」の推進に重大な影響を及ぼすような事態となっている
  • 職員一人ひとりが、自らが全体の奉仕者であることをあらためて自覚し、公務員倫理の確保に努め、県民からの信頼回復を図ることが急務
  • 倫理研修の充実など、職員の倫理意識高揚に、より一層努めることが肝要

職員は、一人ひとりが全体の奉仕者として、より一層の自覚と責任、高い倫理観を持って、職務に精励し、県民が主役の県政を推進していくことを強く要望する

Ⅴ 勧告実施の要請

情勢適応の原則に基づき職員の給与水準を民間の給与水準に合わせるものとして定着している給与勧告制度が果たしている役割に対し深い理解を示され、本年の勧告を実施されるよう要請する


(参考)

職員の年間平均給与

この勧告が実施されると、職員(行政職)の平均で、本年給与勧告前の年間給与642万3千円が、勧告後では646万7千円となり、約4万4千円の増額

主な職種の年間給与

区分 行政職 公安職 高校等
教育職
中小校
教育職
全職員
人員(人) 5,391 2,872 3,916 9,541 22,495
平均年齢(歳) 42.2 40.6 43.8 43.9 43.0
平均経験年数(年) 20.9 20.3 21.2 21.7 21.2
改定前の平均給与額(円) 389,860 381,294 452,666 452,642 427,386
改定後の平均給与額(円) 392,513 383,881 455,765 455,741 430,301
改定前の平均年収(千円) 6,423 6,303 7,504 7,486 7,063
改定後の平均年収(千円) 6,467 6,347 7,556 7,538 7,112
<モデル給与例>

(単位:円)

区分 勧告前 勧告後 年間給与
の増加額
月額 年間給与 月額 年間給与
係員 25歳 独身 207,050 3,406,000 208,485 3,430,000 24,000
30歳 配偶者 257,651 4,238,000 259,436 4,268,000 30,000
主査 40歳 配偶者、子2 402,485 6,789,000 405,274 6,836,000 47,000
主幹 45歳 配偶者、子2 437,431 7,379,000 440,462 7,430,000 51,000
課長級 配偶者、子2 558,134 9,146,000 562,002 9,212,000 66,000
次長級 配偶者 624,220 10,615,000 628,546 10,692,000 77,000
部長級 配偶者 726,695 12,472,000 731,731 12,564,000 92,000

平成18年「職員の給与等に関する報告及び勧告」はこちらから

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