令和6年「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要
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令和6年10月16日
三重県人事委員会
【職員の給与に関する報告及び勧告】
○給与勧告のポイント 『公民較差は約30年ぶりの高い水準』 『3年連続で月例給・ボーナスともに引上げ』 1 月例給:給料表を引上げ ・採用市場での競争力向上のため、初任給を大幅に引上げ ・A試験(大学卒程度)205,300円⇒228,300(11.2%) C試験(高校卒程度)173,800円⇒195,200(12.3%) ・若年層に重点を置きつつ、全ての号給を引上げ改定 2 ボーナス:支給月数を年間0.10月分引上げ ・年間4.50月→4.60月 3 国の給与制度のアップデートをふまえた給与制度の整備 |
Ⅰ 本年の民間給与との比較による給与改定
1 職員の給与と民間給与との比較
種別民間給与実態調査を実施
(1)月例給
参考(国)区分 | 金額等 | 金額等 | ||
民間従業員の給与 | (A) | 389,537円 | 416,561円 | |
職員(行政職)の給与 | (B) | 379,901円 | 405,378円 | |
公民較差 | (A)-(B) | 9,636円(2.54%) | 11,183円(2.76%) |
公民較差の率2.54%は、平成4年の2.84%以来、32年ぶりの水準
(2)ボーナス
民間事業所の支給割合は給与月額の4.58月に相当しており、職員の支給月数(4.50月)が0.08月下回っていた。2 本年の民間給与との比較により改定すべき事項
(1)月例給
・公民較差を解消するため、行政職給料表を引上げ改定初任給を大幅に引上げ
若年層に重点を置きつつ、全ての号給を引上げ
・行政職給料表以外の給料表は、行政職給料表との均衡を基本に引上げ改定
・子に係る扶養手当を引上げ改定(子1人10,000円⇒10,900円)
※後記Ⅱの1(3)の子に係る扶養手当の引上げの一部を先行実施
○改定内容(行政職)
区分 | 配分額 | 配分率 |
給料 | 8,635円 | 2.27% |
扶養手当 | 520円 | 0.14% |
はね返り分 | 442円 | 0.12% |
計 | 9,597円 | 2.53% |
(2)ボーナス
・職員の期末・勤勉手当の支給月数(4.50月)が民間の特別給の支給割合(4.58月)を下回っていること
から、支給月数を4.60月に引上げ
※支給月数は従来から0.05月単位で改定
・引上げ分は、期末手当及び勤勉手当に0.05月分ずつ配分
○改定後の支給月数(一般の職員の場合)
|
6月期 |
12月期 |
|
令和6年度 |
期末手当 |
1.225月(支給済) |
1.275月(現行1.225月) |
勤勉手当 |
1.025月(支給済) |
1.075月(現行1.025月) |
|
令和7年度 以降 |
期末手当 |
1.25月(前年1.225月) |
1.25月(前年1.275月) |
勤勉手当 |
1.05月(前年1.025月) |
1.05月(前年1.075月) |
(3)初任給調整手当
・医師等に対する支給月額の限度を人事院勧告に準じて引上げ3 実施時期
2(1)及び(3):令和6年4月1日
2(2):令和6年12月1日(令和7年度以降の改定は、令和7年4月1日)
Ⅱ 国の給与制度のアップデートをふまえた本県の給与制度の整備
本県における給与制度の整備の必要性や地方公務員法の諸原則、国の給与制度のアップデートの内容等を総 合的に勘案し、給与制度の整備を実施1 措置すべき事項
(1)給料表
・行政職給料表の初任給を大幅に引上げ(前記Ⅰの2(1)の公民較差を解消するための給料表引上げ改定の中で令和6年4月1日から先行実施)
・国の俸給表構造の見直しに準拠した給料表の改定
・行政職給料表8級以上の昇給制度を見直し
・行政職給料表以外の給料表は、行政職給料表との均衡を基本に改定
(2)地域手当
・人事院勧告に準じて、支給地域、級地区分及び支給割合を見直し(ただし、医師または歯科医師を除く県内に勤務する職員に対する支給割合は4.7%)
(3)扶養手当
・次に示すとおり、配偶者に係る扶養手当を段階的に廃止し、これにより生ずる原資を用いて、子に係る扶養手当を段階的に引上げ
・子に係る扶養手当の引上げの一部は、本年の公民較差の配分の中で令和6年4月1日に遡及して先行実施
<各年度における扶養手当の手当額> (単位:円)
年度
扶養親族 |
令和6年度 | 令和7年度 |
令和8年度 |
||
現行 |
前記Ⅰの2(1)
による改定後
|
||||
配偶者 | 行政職給料表7級以下 | 6,500 | 6,500 | 3,000 | (支給しない) |
行政職給料表8級 | 3,500 | 3,500 | (支給しない) | (支給しない) | |
子 | 10,000 | 10,900 | 12,000 | 13,000 |
を含む。
※令和6年度の「子」に係る扶養手当額10,900円は、前記Ⅰの2(1)により令和6年4月1日に遡及して改定
された場合の額である。
(4)管理職員特別勤務手当
・人事院勧告に準じて、平日深夜の支給対象時間帯を午後10時から午前5時までに拡大・危機管理統括監、特定任期付職員等も平日深夜に係る手当の支給対象とし、手当額は既に措置されている
週休日等に係る手当額をふまえて設定
(5)勤勉手当の成績率
・人事院勧告に準じて、成績率の上限を勤勉手当の平均支給月数の3倍に引上げ(6)特定任期付職員のボーナス制度
・人事院勧告に準じて、勤勉手当を支給し、特定任期付職員業績手当を廃止・期末手当及び勤勉手当の支給月数は年間で期末手当1.90月、勤勉手当1.75月とし、6月期と12月期で均
等になるよう規定
(7)定年前再任用短時間勤務職員等の給与
・定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員に対し、住居手当及び特地勤務手当(同手当に準ずる手当を含む。)を支給
2 実施時期等
・令和7年4月1日・ただし、(1)の初任給の引上げ、(3)の子に係る扶養手当の引上げの一部は令和6年4月1日から実施
し、(2)の人事院勧告に準じた支給地域、級地区分及び支給割合の見直し、(3)の配偶者に係る扶養手
当の廃止とその原資を使う子に係る扶養手当の引上げは、令和7年4月1日から段階的に実施
Ⅲ その他の課題
1 人材確保及び離職防止の観点からの給与面での対応
・行政課題に安定して対応していくためには、公務人材を確実に採用し、育成し、適切な人材活用に結び付けていく必要。そのため、人材確保のほか離職防止の観点も含めて、給与面において対応できることがな
いか引き続き検討していく必要
2 教育職員の給与
・令和6年8月の中央教育審議会の「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)」の中で、教職調整額の率の引上げ等の処遇改善について
言及されており、今後、国における法律改正の動向等を注視し、対応を検討していく必要
3 人事行政諮問会議における議論をふまえた人事院の取組
・公務員人事管理のあり方について議論を行うため、人事院が人事行政諮問会議を開催。令和6年5月の中間報告では具体的な対応の方向性の一つとして「職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底」が挙げ
られており、今後、その動向を注視していく必要
【人事管理に関する報告】
1 人材の確保
・行政課題に安定して対応するために、職員の年齢構成や退職者数の変動等を考慮しながら、長期的な視点
で計画的に職員を採用していく必要がある。その上で今後の採用試験の実施時期や実施方法等を検討する
ことが必要
・民間企業等における多様な経験や高度な専門性を有する人材の確保も必要。今後の人材確保に向けて、採
用手法、キャリア形成、給与等のあり方について一体的に検討を進め、転職者を積極的に受け入れる体制
を整えることが必要
・若手職員の離職者数が増加傾向。若手職員の意識をふまえた人材育成や対話を通じたマネジメント、より
よい勤務環境の確保、処遇の改善等多角的に対応することが重要
・教員や警察官についても、勤務環境の整備などを通じて、志望者を増やし、人材の確保につなげることが
必要
2 適切な人材活用等による組織力の向上
(1)組織全体で取り組む人材育成
ア 若手・中堅職員の人材育成
・若手・中堅職員は、自身が早期にマネジメントを行う立場となることを十分に自覚し、今後組織の中
で必要な能力や積むべき経験について、主体的に考え学んでいくことが重要
・教員については、管理職選考試験の受験者を確保することが課題であり、管理職員となる人材を育成
するための取組が必要
【年齢・職級別職員構成】
イ 能力や適性に基づいた人材育成
・性別や家庭の事情等に係る先入観や固定概念にとらわれることなく、全ての職員が幅広い業務経験を積めるよう人事配置を工夫するとともに、前向きに管理職員をめざすことができる環境を作ることが必要
・障がいのある職員が、職場に定着し、活躍することができるよう、各職員の特性等を把握し、途切れの
ない育成支援を行うことが必要
(2)適切な人事評価に基づく人事管理
・実施にあたっては、評価者・被評価者の職員それぞれが、任命権者ごとに定められた制度の趣旨や実施
方法について、十分理解することが必要
・職員の育成支援とともに各職級に求められる職責を果たしているかなどを把握し、下位の評語も含め各
評語の水準に応じた適正な評価がなされるよう、適切に人事管理を進めることが必要
(3)60歳を超えて働く職員の活用
・60歳を超える職員が培ってきた知識と経験を生かせるよう、モチベーションの維持・向上を図るととも
に、適材適所の人事配置を行うことが必要
・60歳を迎える職員は、複雑化・高度化する行政課題に対し的確に対応できるよう、スキルの維持・向上
を図ることが必要
(4)DXの推進による組織力の向上
・年齢や役職にかかわらず、職員一人ひとりがDXの推進について当事者意識を持つことにより、より効果
的に取組を推進し、組織力向上につなげていくことが重要
(5)不祥事及び不適切事務の防止に向けた取組の徹底
・職員の非違⾏為には、厳正に対処するとともに、職員一人ひとりが当事者意識を持ち、日々の業務に取
り組むことが必要
・不適切な事務処理を防ぐために、リスクの見直し・検証を行うとともに、職員一⼈ひとりが⽇常的に意
識し、リスクマネジメントに取り組むことが必要
(6)非常勤職員に係る人事管理
・非常勤職員一人ひとりが、高い意欲を持って能力を十分に発揮して勤務できるよう、働きやすい職場づ
くりに取り組むことが必要
3 勤務環境の整備
(1)知事部局等における労務管理の推進
・長時間労働の是正に向けて、適切なマネジメントのもと、業務の削減や合理化、業務量に応じた定数管
理や柔軟で適切な人員配置等を行うことが必要
・環境の変化や新たな業務への適応に不安があると考えられる若手職員が、メンタルヘルス不調に陥らな
いよう働きかけることが重要
(2)学校における労務管理の推進
・長時間労働の是正に向けて、引き続き、県及び市町の教育委員会と学校が一体となって働き方改革を推
進することが必要
・一人ひとりの教育職員が多様な業務を抱える「個業」から、業務の一部分を他の教育職員等と分担する
「協働」へのシフトチェンジが必要不可欠
・臨床心理士等の専門家からの助言もふまえ、メンタルヘルス対策がより効果的な取組になるよう進めて
いくことが重要
(3)警察における労務管理の推進
・管理職員が職員の心身の不調にいち早く気づくことができるよう、管理職員に対する研修を実施するこ
とが重要
・職員が能力を最大限発揮できるように、勤務環境を整備していくことが重要
(4)柔軟かつ多様な働き方
・育児や介護等のさまざまな事情を抱える職員が働きやすい職場環境の整備が重要
・職員一人ひとりがライフスタイルに応じて働くことができる職場環境となるよう、組織全体で人員体制
や業務量の適正化を図ることが重要
(5)ゼロ・ハラスメントの実現
・ハラスメントは決して許されない行為であり、貴重な人材の損失にもつながることから、組織全体で対
応するべき問題ととらえることが重要
・カスタマーハラスメントが社会問題となっており、行政サービス提供に支障が生じることが無いよう、
職員を守る仕組みづくりが必要