令和4年「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要
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令和4年10月12日
三重県人事委員会
【職員の給与に関する報告及び勧告】
○給与勧告のポイント 1 本年の民間給与との較差に基づく給与改定【令和4年度実施】 (1)月例給を4年ぶりに引上げ ・県内に勤務する職員の地域手当を0.1%引上げ(4.6%→4.7%) (2)ボーナスを3年ぶりに引上げ ・期末・勤勉手当の支給月数を0.1月分引上げ(年間4.30月→4.40月) 2 世代間の給与配分を適正化するための給料表見直し【令和5年度実施】 |
Ⅰ 本年の民間給与との較差に基づく給与改定【令和4年度実施】
1 職員の給与と民間給与との比較
種別民間給与実態調査を実施
(1)月例給
参考(国)区分 | 金額等 | 金額等 | ||
民間従業員の給与 | (A) | 384,036円 | 405,970円 | |
職員(行政職)の給与 | (B) | 383,627円 | 405,049円 | |
公民較差 | (A)-(B) | 409円(0.11%) | 921円(0.23%) |
(2)ボーナス
民間事業所の支給割合は給与月額の4.41月に相当しており、職員の支給月数(4.30月)が0.11月下回っていた。2 本年の民間給与との較差に基づき改定すべき事項
(1)月例給
・公民較差を解消するため、県内に勤務する職員に対する地域手当について、4.6%としている支給割合を4.7%に引上げ
○改定内容(行政職)
区分 | 配分額 | 配分率 |
給料 | ― | ― |
地域手当 | 359円 | 0.09% |
はね返り分 | △1円 | 0.00% |
計 | 358円 | 0.09% |
(2)ボーナス
・職員の期末・勤勉手当の支給月数(4.30月)が民間の特別給の支給割合(4.41月)を下回っていること
から、支給月数を4.40月に引上げ
※支給月数は従来から0.05月単位で改定
・引上げ分は、勤勉手当に配分
○改定後の支給月数(一般の職員の場合)
|
6月期 |
12月期 |
|
令和4年度 |
期末手当 |
1.2月(支給済) |
1.2月(改定なし) |
勤勉手当 |
0.95月(支給済) |
1.05月(現行0.95月) |
|
令和5年度 以降 |
期末手当 |
1.2月 |
1.2月 |
勤勉手当 |
1.0月(前年0.95月) |
1.0月(前年1.05月) |
3 実施時期
(1)令和4年4月1日
(2)条例の公布日(令和5年度以降の改定は、令和5年4月1日)
Ⅱ 世代間の給与配分を適正化するための給料表見直し【令和5年度実施】
1 見直しの必要性及び措置すべき事項
・現行の給料表は国の俸給表と比較して若年層より中高齢層に給料が厚く配分されており、世代間の給与配分を速やかに見直す必要
・国や近隣の地方公共団体と比較すると若年層の給料水準が低く、県内民間事業所との初任給差も大きい
このような状況等を総合的に勘案し、世代間の給与配分の適正化として、現行の給料表について、令和4年人事院勧告後の俸給表構造を基本として一定の水準調整を行った給料表に改定(若年層を引上げ、中高齢層を引下げ)
2 実施時期等
令和5年4月1日(給料表の改定に伴い、新たに受ける給料月額が令和5年3月31日に受けていた給料月額に達しない職員に対しては、経過措置として令和6年3月31日までの間、その差額を給料として支給。)Ⅱ その他の課題
1 定年の引上げによる給与に関する措置
・国は定年の段階的引き上げが完成する令和13年3月までに、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう所要の措置を順次講ずることとしており、その動向を注視していくことが必要
2 在宅勤務に関する給与面での対応
・国は国家公務員がテレワーク(在宅勤務)を行う場合に支給する新たな手当について、具体的な枠組みの検討を進め、通勤手当の取扱いを含め、措置内容をまとめていくとしており、国の検討状況等を注視し、県におい
て必要な枠組みを検討
3 人事管理の課題に対応するための給与制度上の取組
・国は公務員人事管理に関する様々な取組を進める中での給与面の課題に対応するため、給与制度のアップデートに向けた取組を進めていくこととし、令和5年夏に骨格案を示すよう検討を進め、令和6年には成案を示す
としており、その動向を注視していくことが必要
【人事管理に関する報告】
1 人材の確保・育成
(1)人材の確保
・多様な有為の人材を確保し行政課題に安定して対応するために、採用数は長期的視点に立ち、職員の年齢構成
等を考慮しながら適切な規模で推移することが妥当。その上で今後の採用試験の実施方法等を検討することが
必要
・人材の採用・定着のために、三重県職員の魅力を、説得力を持って伝えることが必要。職員が自らの県政にお
ける役割を理解し、やりがいをもっていきいきと職務遂行できる勤務環境を整備することが急務
・採用活動については、公務員志望者だけでなく、公務員を目指していない層に対しても受験意欲につなげる方
策を検討
・業務が多様化し専門的になるに従い、民間人材の知見を取り入れる必要が生じることが想定されるため、採用
方法や採用後のキャリア形成について検討が必要
(2)人材の育成・活用
ア 人材の育成
・若手・中堅職員は、現在よりも早期にマネジメント層に登用される可能性があることを強く認識し、新たな事
柄に挑戦し意欲的に学んでいくことが重要
・管理職員は、十分なコミュニケーションを図り、適切なマネジメントを行うことで、職員の新たな取組への意
欲を尊重し、職員自身がやりがいを感じ成長を実感できるよう、組織として支援することが重要
・高齢層の職員は、知識や技術の継承のみならず、自ら担当職員として様々な分野で活躍できるよう、自身の60
歳以降の働き方を見据えて、ポータブルスキルを高めていかなければならないという意識を持つことが重要
・DXの取組を推進するためには、職員一人ひとりがDXを自身の取り組む課題としてとらえ、意識変革を行う当
事者であると認識することが不可欠
【年齢・職級別職員構成】
(令和4年4月1日現在)
(注)「令和4年人事統計調査」から、知事部局、各種委員会事務局、警察、県立学校、市町立学校の行政職給
料表、研究職給料表、医療職給料表(二)、医療職給料表(三)適用職員の構成を示しています。
イ 能力や適性に基づいた人材の活用
・女性職員の管理職への登用拡大に向けては、性別や家庭の事情等に係る思い込みにとらわれずに人材の配置や
育成を行うことが必要
・男性職員が育児休業を取得し家庭参画することは、自身のマネジメント能力の向上に加え職場の働き方の見直
しにもつながるため、積極的に推進することが必要
・在宅勤務や早出遅出勤務等も活用し、育児等と仕事の両立を可能とする環境のもと、多様な人材の活用に取り
組むことが重要
(3)不祥事及び不適切事務の防止に向けた取組の徹底
・職員の非違行為に対しては、懲戒処分も含め厳正に対処するとともに、職員個人の不断の資質向上と、意欲的
に仕事に取り組むことのできる環境づくりの推進が必要
・適正な業務執行を確保するために導入された内部統制制度について、制度の浸透に努めるとともに、より効率
的な制度運用について検討していくことが必要
2 能力・実績に基づく人事管理の推進と組織力の向上
(1)適切な人事評価に基づく人事管理
・人事評価制度を公正に運用することで、有為な人材の育成・登用を図り、公務能率の最大化へとつなげること
が必要
・職員の育成支援とともに各職級に求められる職責を果たしているかなどを把握し、下位の評語も含め各評語の
水準に応じた適正な評価をすることにより、適切に人事管理を進めることが必要
(2)60歳を超える職員の活用による組織力の向上
・60歳を超える職員には、豊富な知識等を最大限に活用し継承することにより組織力向上につなげる役割を期
待されていることを理解し、業務にあたることが必要
・役職定年制により管理職員から降任した職員、役職定年者以外の60歳を超える職員、再任用職員、60歳未満
の職員がモチベーションを維持し、互いに好影響を与えながら職務を遂行していく職場をめざすことにより、
組織力を向上していくことが必要
(3)DXの推進による組織力の向上
・DXの推進は、様々な行政課題に柔軟に取り組むことができる組織の実現につながるという共通の認識を持ち、
取組を行っていくことが重要
3 勤務環境の整備
(1)知事部局等における労務管理の推進
・新型コロナウイルス感染症への対応にあたって、過重労働による健康被害を防止するための措置の徹底が必要。
より果敢に県庁全体の業務の見直しを行い、柔軟かつ迅速に適切な人員配置を行うことが必要
・メンタルヘルスケアなど適切な健康対策の実施が重要。月80時間を超えて時間外勤務を行う職員について確
実に医師の面談を受けさせ、相談しやすい環境を整備する対策が不可欠
(2)学校現場における労務管理の推進
・学校における働き方改革を進めるため、県及び市町と学校が一体となって総勤務時間の縮減に取り組み、勤務
時間の弾力化やICTを活用した業務の効率化等に引き続き取り組んでいくことが必要
・教育職員の負担を軽減するため、令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行を見据え、関係者が協力・
連携し、推進することが重要
・教職員のメンタルヘルス対策については、より効果的な取組になるよう進めていくことが必要
(3)警察における労務管理の推進
・職員のメンタルヘルスについて、管理職員に引き続きラインケア研修等で意識啓発を行っていくことが必要
・DX推進などによる業務の効率化を図るなど、職員が能力を最大限発揮できるように勤務環境を整備していく
ことが重要
(4)柔軟かつ多様な働き方
・柔軟な働き方として定着しはじめている在宅勤務制度を、引き続き職員が利用しやすい環境に整備していくこ
とが必要
・今後も障がいのある職員が個性や能力を発揮し、いきいきと働くことができる職場環境づくりを進めていくこ
とが必要
・仕事と生活を両立するためには、育児や介護等の様々な事情を抱える職員が働きやすい職場環境づくりに取り
組んでいくことが必要
(5)ハラスメントのない職場環境づくり
・ハラスメント防止は、職員が心身の健康を保持しその能力を十分に発揮できるために重要な課題であり、職場全体で対応するべき問題として捉えることが必要
・社会情勢や認識の変化等で、問題ないと思っていた行為がハラスメントに該当することを職員一人ひとりが理
解し、ハラスメントごとに異なる性質と問題点を的確に捉えて対応することが必要
4 非常勤職員に係る人事管理
・会計年度任用職員制度を適切に運用することが必要
・非常勤職員一人ひとりが、高い意欲を持って能力を十分に発揮して勤務できるよう、引き続き働きやすい勤務
環境整備に取り組んでいくことが必要