令和2年「職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要
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令和2年11月9日
三重県人事委員会
【職員の給与に関する報告及び勧告】
○給与勧告のポイント 【民間給与との較差に基づく改定】 月例給は改定なし(2年連続) ボーナスは期末手当の支給月数を年間0.05月分引下げ (ボーナス年間4.50月→4.45月、引下げは10年ぶり) 【住居手当の改定】 支給対象となる家賃額の下限を引き上げ、その原資を用いて手当額の上限等を 引き上げ |
Ⅰ 本年の給与改定
1 職員の給与と民間給与との比較
職種別民間給与実態調査を実施
・新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を考慮し、特別給等に関する調査と月例給等に関する調査の2回に
分けて実施
・4月分の公民給与について、役職・学歴・年齢別に対比して較差を算出
(1)月例給
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参考(国) |
区分 |
金額等 |
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金額等 |
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民間従業員の給与 |
(A) |
389,369円 |
408,704円 |
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職員(行政職)の給与 |
(B) |
389,338円 |
408,868円 |
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公民較差 |
(A)-(B) |
31円(0.01%) |
△164円(△0.04%) |
※特例条例による減額措置後の公民較差
区分 |
金額等 |
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民間従業員の給与 |
(A) |
389,369円 |
職員(行政職)の給与 |
(B) |
387,725円 |
公民較差 |
(A)-(B) |
1,644円(0.42%) |
(2)ボーナス(特別給)
民間事業所の支給割合は給与月額の4.46月に相当しており、職員の支給月数(4.50月)を0.04月下回っていた。2 民間給与との較差に基づき改定すべき事項
・職員のボーナス(期末・勤勉手当)の支給月数を4.50月→4.45月
・引下げ分は、期末手当に反映
○改定後の支給月数(一般の職員の場合)
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6月期 |
12月期 |
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令和2年度 |
期末手当 |
1.30 月(支給済み) |
1.25 月(現行1.30月) |
勤勉手当 |
0.95 月(支給済み) |
0.95 月(改定なし) |
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令和3年度 以降 |
期末手当 |
1.275月 |
1.275月 |
勤勉手当 |
0.95 月 |
0.95 月 |
3 実施時期
令和2年12月1日
(令和3年度以降の改定は、令和3年4月1日)
Ⅱ 住居手当の改定
県宿舎入居者との均衡、国や他の地方公共団体の状況等を考慮し、手当の支給対象となる家賃額の下限を引上げ(8,000円→15,000円)。また、この改定により生ずる原資を用いて、手当額上限を引上げ(27,000円
→28,000円)等の改定を実施。令和3年4月からの改定とする。
Ⅲ その他の課題
1 世代間の給与配分の適正化について
・本県の現行の給料水準は、国や他の地方公共団体と比較すると若年層はほぼ均衡しているのに対し中高齢層は高くなっている状況が見られる。
・これまでの給料表改定の方針を踏まえ、世代間の給与配分の適正化について検討していく必要がある。
【人事管理に関する報告】
1 人材の確保・育成
(1)人材の確保
・今後十数年で多数の定年退職が見込まれていることから、行政課題に安定して対応するため、受験者の確保が
極めて重要であり、今後の方向性として「受験者確保の視点」を入れることが必要
(2)人材の育成・活用
ア 人材の育成
・効果的な人材育成のためには、引き続き各職員が育成の必要性に対する強い意識を持つことが重要
・若手・中堅職員は、新たな事柄に挑戦し、常に学んでいく姿勢を持つことが重要であるが、そういった環境や
雰囲気を醸成するために、管理職員がリーダーシップを発揮していくことが不可欠
・定年引上げを見据え、高齢層の職員に求める能力・期待する役割を明確にして、仕事に対する意欲の維持・向
上に資する仕組みづくりを行うことが必要
イ 女性活躍の推進
・育児等の事情を有する期間にあっても、職員のキャリア形成を見据えた人材育成を進めることが重要
・性別や時間制限のあるなしに関わらず、全ての職員が能力を最大限発揮するためには、長時間労働を是とする
意識の変革や、長時間労働を前提とした働き方を見直すことが必要
【年齢・職級別職員構成】
(令和2年4月1日現在)
(注)「令和2年人事統計調査」から、知事部局、各種委員会事務局、警察、県立学校、市町立学校の行政職給料表、
研究職給料表、医療職給料表(二)、医療職給料表(三)適用職員の構成を示しています。
(3)不祥事及び不適切事務の防止に向けた取組の徹底
・たった一人の行動が、築き上げてきた県全体、職員全体に対する県民の信頼を大きく損なうこととなることか
ら、引き続き不祥事及び不適切事務の防止に向けた取組の徹底が必要
・AI・RPA等の先端技術を活用し、業務プロセス・システムの効率化・標準化を進めることにより、職員の業務
負担の軽減や時間短縮を図りつつ、正確で効率的な業務遂行につなげていくことが必要
2 能力・実績に基づく人事管理の推進と組織力の向上
・人事評価制度に寄せられた評価の公平性・客観性についての指摘や意見を踏まえ行われた、評価基準の明確化
や評価要素の一部改正が正しく運用され、加えて所属長と職員とが制度趣旨を理解・共有し、公正な人事評価
を行うことが必要
・人事評価制度を効果的に運用するためには、目標の設定等を職員の成長につなげることが大切であり、人事評
価が公平かつ客観的に行われることにより、職員の評価制度への信頼を向上させることが効果的な運用には必
要
3 勤務環境の整備
(1)知事部局等における取組の推進
・事業の見直し、業務の削減・効率化に取り組むとともに、時間外勤務にかかる適切な検証を行い、他律的所属の指定を必要最小限とすることが必要
・コロナ禍においては、部局長がリーダーシップを発揮し所属長をはじめとする管理職員が、職員の健康を守る
という強い意思のもと日々の声かけや、業務の削減、平準化を積極的に図るなどきめ細やかな配慮をするとと
もに、心身の大きな負担が懸念されることから、ストレスケアや過重労働対策など適切な健康対策を行うこと
が重要
(2)学校現場における労務管理の推進
・4月からの「在校等時間の上限等」に関する指針の趣旨や働き方改革の考え方を共有し、労務管理を行う管理
職だけでなく教員一人ひとりにおいても、毎日の時間管理の必要性の意識を高めていくことが重要
・校長及び教育委員会は、教員の健康確保の観点から強いリーダーシップを持って業務量の適切な管理を行い、
在校等時間の縮減に向けた取組を進めることが必要
(3)警察における労務管理の推進
・時間外勤務命令の適切な制度運用を図るとともに、現場の一人ひとりが、健康確保等の観点から長時間労働を
是正するという趣旨を正しく理解することが必要
・どの所属においても真に風通しの良い職場となるよう引き続き取り組むことが重要
(4)多様な働き方
・「アフターコロナの新常態(ニュー・ノーマル)」を見据えつつ、在宅勤務(テレワーク)、時差出勤やオン
ライン会議等の効果や課題を検証し、平常時における在宅勤務の活用や在宅勤務時の労務管理等についても検
討が必要
・SDG s(持続可能な開発目標)やSociety5.0の視点からも多様な働き方や業務削減に向けた見直し、職員の意
識と行動の変革を進めていくことが必要
(5)ハラスメントのない職場環境づくり
・ハラスメント防止に向けては、ハラスメントを当事者間の個人的な問題として片付けず、職場全体の問題と捉
え、対応することが必要
・これまでの報告で繰り返し言及してきたが、依然としてハラスメントに関する職員相談が寄せられ、ハラスメ
ントに関する理解が深まっていないことから、より一層のハラスメントに関する正しい理解の促進等の防止対
策が必要
4 臨時・非常勤職員に係る人事管理
・一般職非常勤職員の「会計年度任用職員」制度の創設や、学校現場で臨時的に任用される講師の号給の決定に
あたって上位制限の廃止等により、職責に応じた処遇の改善がなされているが、引き続き働きやすい勤務環境
整備が必要
5 高齢期の雇用問題
・定年の引上げを行うに際しては、法律案で示された役職定年制(管理監督職勤務上限年齢制)や定年前再任用
短時間勤務制等が円滑に導入できるよう検討することが必要