(日 時) 令和6年3月12日(火) 13:00~13:50
(場 所) プレゼンテーションルーム
(参加者) 県)知事、服部副知事、総務部長、総務部副部長(行政運営担当)、
総務部副部長(財政運営担当)、総務課長、行財政改革推進課長、
人事課長、福利厚生課長、管財課長
組合)中央執行委員長、副中央執行委員長、書記長 他
(司会進行)コンプライアンス・労使協働推進監
(議 題)・令和5年度ライフ・ワーク・マネジメントの進捗状況について
・令和6年度のライフ・ワーク・マネジメントの推進について
知事及び委員長のあいさつ
(知事)
今回の第3回中央労使協働委員会では、まだ年度途中ではあるが令和5年度の状況を振り返っていきたい。
本日お話ししたいことは2つ。1つ目は、「県より始めよ」ということである。
最近はジェンダーギャップの解消や少子化対策など、国もようやく本腰を入れてきたように思えるが、社会をリードしていくのはやはり県ではないかと思う。報道を見ても分かるとおり、例えば県職員の女性の割合や労働時間削減など、県の本気度が試されているため、一層、みなさんの意見を聞きながら議論を進めていきたい。
2つ目は、「光と影」である。海上保安庁で総務担当をしていたとき、女性職員から産前産後休暇や育児休業をきちんと取れるようにしてほしいという意見が出る一方、他の職員からはそのフォロー体制をどうするのかといった声も聞いた。これからは女性だけではなく男性も育児休業を取ることになるが、そうすると今まで以上にそれぞれの組織に負担がかかってくる。気持ちの部分も含めてどう負担を取り除いていくのか、人事当局の大事な業務だと思っている。ともすると、光に目が向きがちではあるが、影の部分に光を当てることも重要であると考える。
(委員長)
本日の中央労使協働委員会では、令和5年度の進捗状況について議論したい。
令和6年度末までに500時間越えの超長時間勤務者をなくしていきたいということで取り組んできたが、状況は芳しくない。元日に発生した能登半島の地震への対応も含め、公務におけるニーズ、県民・国民が行政に求めるものは年々、量・質とも大きくなってきている。県民の生命・財産を守る地方公務員として、どれだけ応えられるかということが職員に大きくのしかかってくると感じている。
しかしながら、育児休業をはじめとする社会状況が昔と比べて変わってきており、それらを両立しようとするにはやはり組織が変わらなければならない。職員定数の枠の中でどう業務の取捨選択をしていくのか、あるいは量・質ともに増大する業務に対してどのように知恵を出し合って対応していくのかを検討する必要がある。
本日は、お互いに知恵を出し合いながら、改善につながればと考えており、ぜひ、そういった議論になるよう、よろしくお願いしたい、
(以下、発言は○が労側、●が使側である。)
・令和5年度ライフ・ワーク・マネジメントの進捗状況について
・令和6年度のライフ・ワーク・マネジメントの推進について
※行財政改革推進課長から資料説明
〇令和6年度はライフ・ワーク・マネジメントの取組の最終年度である。
公務には他律的業務や特例業務がつきものではあるが、定数の考え方は業務量を積み上げて議論するものではないため、部局や地域によってアンバランスさが出ており、注視しないといけない。そういった意味では、超長時間勤務者数や時間外勤務時間数は減少しているものの、県が行うべき業務かどうかなどの仕分けを行うなど、より業務改善を進める必要があると思う。私たちは業務量と定数のバランスが取れていないと思っており、業務主体で職員をどう配置していくかなど、これまでと違う考え方が求められていると思っている。少子高齢化が進む中で、職員数は5年先、10年先も増えるわけではないので、業務をどうしていくかに着目する必要があると考える。
また、時間外勤務時間数についての今回のデータは12月末時点であるため能登半島地震への対応などが含まれていない。例年、見込みと実績は乖離する傾向にあるが、今年度はそれが顕著に出ると思う。業務量に対して人員が少ないと考えているので、どう改善していくかをいろいろな形で議論し、働きやすい職場づくりにつなげていきたい。
●能登半島地震に係る災害派遣について、多くの職員に現地に行っていただき感謝している。
部局長のリーダーシップの発揮という言葉は、決して精神論だけではいけないと思っている。声かけをするだけではなく、具体的な改善が必要である。
時間外勤務増の要因は、地域機関では業務量、本庁では業務の質の問題、と本質的に異なると考えている。担当が代わると時間外勤務時間数が半減したり倍増したりということがあり、これは課長が代わる場合も同じである。職員から議会の手持ち資料として分厚いチューブファイルの資料を渡されたことがあるが、部長がそこまで細かい部分まで見ることはないため、そういう準備は止めさせた。
また、私が班長だった時代に、上司への説明資料はA4用紙片面1枚を基本に作成するよう担当者に指示していた。冗長な資料は作成者も説明される側も時間がかかり、ポイントが分からなくなるので、指示したやり方も効果的だと思う。
昔は議会答弁の準備のために泊まることなどもあったが、私が部長をしていた3年間、議会答弁のレクを時間外に受けたことはなかった。発言通告の期限が3日前になったことも大きいが、少なくとも時間外には答弁のレクを受けないことにし、担当もそれまでに資料を作ってくれる。ただ、それで時間外勤務時間数が減るかと思ったが前の部では減らなかったので、何かを減らせば何かが増える傾向があるのではないかと感じた。
業務量の削減も必要ではあるが、県の評価制度は職員育成支援のための評価制度と職員の能力向上のための評価制度として実施しており、職員の事務処理能力を向上するための支援をさらに進めないといけない。今の部で常々言っているのは、去年1時間かかった業務は、今年は1時間未満でこなしてほしいということ。例えば、今はデジタル技術を活用して議事録をある程度自動で作成するなど、業務量を減らす方法はいろいろあると思う。
職員定数について、時限定数がついている所属の場合、時限定数の議論に終始し、時限定数以外の議論が十分できないことが多い。定数配置の方法を抜本的に変えていかないといけないということかもしれない。
〇現実に、人員に余裕がない中新規の事業が始まれば、業務量が従前より増えている状況であるので、育児休業の取得が進めば知事の言う影の部分の負担が大きくなる。
このような中、従前からのやり方では太刀打ちできず、私たちは知恵を出さないといけない。県が率先して取り組むことで社会が変わっていくということもあるため、県でできることは進めてほしい。リーダーシップを発揮した業務削減、定数をどう見直していくかが課題であるため、引き続き議論をしたい。
〇仕事にはメリハリが大事である。昨年度は、コロナ対応で2、3か月休みが取れない、週に1日は休ませてほしいという職員の声もあった。突発事項が起きたときにはそのような状態となるので、できるだけ日頃から勤務間にインターバルを取ることが望ましい。遅くまで残って翌日に疲れを残すより、明日できることは明日やるという考え方も必要。
仕事の終わりから翌日の仕事の始まりまでに10~11時間のインターバルが取れれば職員の疲労感の軽減につながり、仕事にもメリハリが付く。ぜひ来年度のライフ・ワーク・マネジメントの取組の中で試行できればと考えている。
なお、インターバルは必ず取るよう制度でガチガチに縛るのではなく、柔軟な形で実施していきたい。特定の職場ではインターバルが取れないというのであれば制度として導入はできないので、すべての職員が恩恵を被るような取組ができればと考えており、提案をさせていただきたい。
●国では令和6年4月1日から導入し、導入済の県もあるが、運用方法も考えていかないといけない。例えば「インターバルを確保するため11時に出勤したが21時に帰る」では長時間労働は改善されないので、本当の意味で休息が取れる制度にしないといけないし、場合によっては遅出ではなく休暇取得でもよい。制度の趣旨が間違った形で広まらないように、労使でしっかり協議していきたい。
●超長時間労働はなくさないといけない。先日の記者会見でも時間外勤務時間数が1,000時間を超えた県職員が2名いることをお伝えした。部局長のリーダーシップ発揮だけでなく、県庁全体で取り組む必要がある。児童相談所の職員を増やすなど、ある程度は対応できたと思う。
業務改善についてのポイントは大きく2つあると考えている。1つ目は、無駄な業務の点検は、定期的・恒常的に行わないといけないということである。
着目すべきは、業務はだんだん積もっていくものであること。また、部長や副部長が業務を削減することに積極的であっても、担当が「この資料はあったほうがよいのでは」と言うこともあり、その時は部局長がリーダーシップを発揮して、「作らなくてよい」と言わないといけない場面があるということである。
2つ目は、業務の見直しを、無駄を省くことにつなげるということである。議会答弁の改善については、課長や局長のときに経験した方法で無駄を省いた。なお、このことについては、県議会議員の皆さんが、発言通告の期限について、3日前という期限を守っていただいていることが大きい。
さらに、庁議において休暇の予定と時間外時間数を共有している。一見、形だけのようではあるが、形でも見えるようにすると改善しないといけないといった気持ちが出てくる。また、時間外勤務時間数が多い、また年休の取得が少ない部局に対して総務部から状況を聴き取り、庁議で情報を共有するなど、より実効性を持たせていくことも考えている。また、定数削減は非常に難しい。今後さらに厳しい状況となった時にどう対応するか、皆さんと協議して対応していきたい。
〇行政ニーズが増えてきている。なかなか職員を増やせないのも理解できるが、県民の皆さんに「できません」と言えないのも現実。職員数が増やせなくても業務量を減らせば定数が同じでも余裕が生まれ、自分の部局の業務改善にもつながると思う。
前向きに業務に取り組めるような職場風土づくりができたらと考えており、そのためにも「見える化」の取組は業務改善につながっていくので、ぜひ続けてほしい。
〇年次有給休暇の年間見込みは15.8日である。能登半島地震の影響が考慮されてはいないが、時間休の取得含め、各部局・各職場できちんと休暇を取得していく風土は定着したと考えている。今年度も残り少しではあるが、引き続き、年次有給休暇の取得ができるよう声かけなどしていただければと思っている。
●例えば災害派遣から戻ってきた職員からは、振替の取得や自業務の滞留により、年次有給休暇が取りづらいという声も聞くが、心身の疲労も残っていると思われるので、振替休暇に加えて年次有給休暇も取ってもらわないといけない。そういう意味で、周りの職員も大変ではあるが声かけをしていく必要がある。
○今年度、労使で始めた「見える化」の取組提案は、2月末時点で合計1,531件行われ、一定の成果を感じている。常に見直しを行う意識を持つ必要があり、「見える化」を進めるなかで業務見直しの風土が定着すればと思う。
一方、「見える化」の取組で業務改善につながらない提案や、趣旨が分からないものも若干あったと聞いている。職場で十分な議論が行われないまま部の労使協働委員会に上がってきているのではないか。そういった提案は、部の労使協働委員会で業務改善につながるかどうかを確認のうえ、各職場に戻して改めて職場で検討いただきたいと考えている。
●「見える化」の取組について私が感じるのは、自分の所属の改善提案はしづらいのではないかということである。例えば農林水産部の技師の方などは地域機関の中で同じような業務内容に異動することもあり、前の職場の改善提案を職能協議会に提出してもらい、そこから部全体へと提案してもらうことも考えたことがある。自分が前に所属した職場の改善提案も含めればより実効的な提案も出てくると思う。
〇「見える化」の取組で少しでも改善が進むことを期待している。ただ、業務改善が進み、時間外勤務時間数を減らした職場において余裕ができたから人員を削減するといったようなことはしないでほしいし、業務改善を行った職場が評価されるような文化を作らないといけないと考える。
●職員力アワードで業務改善部門があるので、光を当てていく。また、業務改善によって削減された分を定数削減につなげないこととしている。
〇男性職員の育児休業未取得者に意見を聞いたところ、収入の減少に対する不安は収入シミュレーションシートで解決できるが、周りの職員の業務量増加を考慮すると取れないといった声もあったため、声かけに加え、人の手立てが必要と考える。
●以前は、育児休業の取得により昇任や異動に影響に対する心配の声があった。
現在、総務部で人材マネジメント戦略を作成中であるが、その中でロールモデルとして今の管理職の昇進について例示し、そのような心配を払拭するようにしたい。
また、周りの職員の負担に関し、1年間、休業取得時は必ず正規職員を配置しているが、短期間の取得時のサポートが手薄になっている。新たに任期付きの育休代替職員(正規職員)の採用も検討しており、そういった取組も含めて環境整備を進めたい。
〇現状、育児休業を1か月取得した場合、代替職等は配置されないため、残った職員へのフォローが課題であると考えている。令和6年度のライフ・ワーク・マネジメントでは、この部分への手立てができるよう、継続して議論していきたい。