ベンチマーキングの歴史
競合他社の製品を分解して技術面での特性を分析するのがリバース・エンジニアリングである。競合製品・サービスの市場的な特徴を比較する競合製品分析なども行なわれており、現在では多くの企業がこの手法を活用している。
第2期 競合ベンチマーキング
1967~86年頃、ゼロックスは競合他社が効率よく製品を市場に提供するプロセスの分析を行なった。こうしたことから、競合他社の製品・サービスや財務指数に加え、プロセスをベンチマーキングする手法が開発され発展した。
第3期 プロセス・ベンチマーキング
業種が異なってもそのプロセスには類似点が多く、それを応用することが十分可能である。また、競合他社に対するベンチマーキングでは収集可能な情報には限界がある。しかし、異業種の場合には競合関係にないためより広範囲で深い情報収集が可能になる。こうしたことから、1982~88年の期間において、プロセスそのものに着目し業 種を越えたプロセス・ベンチマーキングが発達した。
業界外に対するプロセス・ベンチマーキングは、業界内では実施していない異業種のベスト・プラクティスを自社に応用することにより、その業界水準をはるかに上回る業務効率を実現することができるというメリットを持つ。その代表的な事例が、有名なゼ ロックスによるL.L.ビーンの注文処理プロセスに対するベンチマーキングであり、このことでプロセス・ベンチマーキングの有効性を多くの企業が認めるに至りベンチマーキングが普及・発展を遂げたと言える。
第4期 戦略的ベンチマーキング
戦略的な提携関係を結び、戦略を含めたより広範な領域でベンチマーキングを行なうのが戦略的ベンチマーキングである。すなわち、ビジネスを戦略的な観点で根本的に革新することを目的にしている。戦略的ベンチマーキングは情報を共有しようとする企業間の関係の広さ深さの面でプロセス・ベンチマーキングとは異なる。
第5期 グローバル・ベンチマーキング
世界的な規模で戦略的にベンチマーキングを行なうのが、グローバル・ベンチマーキングである。そこでは、各企業間の国際取引方法や企業文化、そしてビジネスプロセスに関する各社の優れたところが相互に学ばれそれらのビシネス・プロセス改善に役立つ点が相互に理解される。
参考文献:ロバート・C・キャンプ(小林陽太郎・監訳)(1995)「戦略ベンチマーキング」