2 行政改革のポイント
論点
1) 法人化及び民営化
- 従来よりN.Z.の中央政府は、
a.行政省庁(財務省等)
b.政府所有企業(N.Z.製鉄等)
c.公共法人(N.Z.交響楽団等)
の3種類の形態に大別されていた。 - 今回の改革においては、上記a.行政省庁について、これを収益事業部門(費用回収が可能)と非収益事業部門(費用回収が不可能)とに分け、収益事業部門は法人化して取り敢えず全株式を政府が保有する政府所有企業(上記b.の形態)にした。(注1)
- その後、政府所有企業は、
1)長期的にみて、売却利益が保有コストを上回る
2)売却が政策目的に合致する
場合には民営化(株式の売却)を実行した。(注2、3) - 以上のような、事業部門の法人化、民営化により前記1のa.の行政省庁の職員数は88,000人(1984年)から35,000人未満(95年)に減少した。
参考
(注)- 政府所有企業は納税の義務を負い、また政府に配当を支払わなければならない。
- N.Z.政府は1987年以降、27分野における事業及び資産(N.Z.製鉄、テレコム等)を売却し、約 130億ドル(約1兆円)の収益を得た。参考までにN.Z.政府の総歳出規模は 296億ドル(93会計年度)。
- なお、政府所有企業を民営化するにあたり、独占企業の出現を防止するため、その分野において規制緩和を進め、外国企業の参入を積極的に認めるなど、市場の整備に配慮している。
論点
2) 契約ベースによる行政運営
- 行政省庁の非収益事業部門を中核行政サービスと位置づけ、このサービスの供給にあたっては各々の担当大臣(20名)が行政省庁(39省庁)の次官(Chief Executive)と公共サービスの種類別に購入契約を締結し、政府の政策を実施していくことになる。
- 大臣と次官との間には、雇用・任命関係はなく、特定サービスの購入契約関係があるのみであり、行政省庁の次官は、首相が任命する政府サービス委員会委員長に雇用されている。
- 大臣と次官との間の購入契約の内容は次のとおり。
- 契約期間
- 省庁が大臣に提供するサービス(outputs) の概要
- サービスを提供する費用
- サービス提供の実行方法等
- 実行評価の手続き
- 報告事務
- その他
3) 企画立案部門への特化
中核行政サービスを
(1) 企画立案部門
(2) サービス提供部門
に区別し、行政省庁は上記 (1)企画立案部門を担当する部局として特化させる。(注)
参考
※ 各省庁の職員は、次官から一般の事務員まで全て公募される。
(注)例えば運輸省の場合、次のような組織の再編が行われた。