外郭団体改革2001基本方針
1 新たな見直しの背景
外郭団体は、基本的に公的に必要なサービスを、民間の経営手法を活かしながら、効率的にその目的を達成するために設立されている。
そのあり方には不断の見直しが必要であり、三重県では平成10年度から「行政システム改革」の中で、個別の33団体ごとの見直し方針とその実施計画を掲げ、平成12年度までを集中改革期間として、2団体の廃止、8団体の統合のほか、業務内容の見直し等を進めてきた。
その後、外郭団体を取り巻く経済社会環境が変化するとともに、県議会行政改革調査特別委員会、県監査委員、包括外部監査人等により、新たな課題が指摘されており、これまでの取り組みをさらに強化・進展させることが必要となっている。
2 外郭団体改革2001の基本的な方向
今回の改革において、県は外郭団体による良質で効率的な県民サービスの提供を目指すとともに、県民に対する説明責任を果たすため、県が25%以上出資する団体及び25%未満で県が筆頭出資者である団体等の計54団体を中心に、次に掲げる基本的な方向により改革を推進する。
- 団体の使命、役割や事業等を見直し、団体の統廃合や県関与の廃止等を行う。
- 団体の責任ある経営マネジメントを確立する。
3 基本的な方向に向けた方策・手段
(1)団体の使命、役割とその事業の見直し等
県は社会経済情勢等、時代の変化を踏まえ、団体の使命、役割や事業を見直すとともに、より効率的で効果的なサービスの提供を目指し、次の取り組みを行う。
①団体の廃止または事業の整理縮小
下記の視点から検証を行い、団体の存在意義や事業の必要性が薄れたものについては団体の「廃止」または事業の「整理縮小」を指導する。
(ア)団体の使命や役割が社会的に必要であり時代に即したものか
(イ)団体が実施する事業を通じ、その使命や役割を果たしているか
(ウ)団体で事業を実施することが効率的であるか
(エ)民間事業者と競合していないか
(オ)欠損金のない健全な財務状況であるか
(カ)経営評価(※)の総合評価又は視点別の評価で「D」がないか
※「三重県外郭団体自立育成指導事業」による外郭団体の経営評価を指す。
②県関与の廃止
団体設立時の出捐等、これまで県が一定の役割を担い関与してきた公益法人等について、県としての使命や役割を既に果たし、現時点に至って団体の経営に関与する必要がないと判断される場合には、地方自治法等の法律に基づく関与を除き、団体経営に対する各種支援(当該団体への役員就任や運営費補助等)などの「県関与の廃止」を行う。
なお、県が出資する全ての商法法人について、現時点に至って県関与の必要性がないと判断される団体からの出資の引揚げを調整する。
③団体の統合
各団体を下記の視点に基づき検証し、統合によって団体がより効率的な組織規模や形態となり、より良いサービスの提供が可能になると判断される場合には団体の「統合」を指導する。
(ア)設立目的や事業内容について他に類似性がないか
(イ)複合化によってより効果的なサービス提供が可能であるか
(ウ)人員規模(常勤職員数)や事業規模が小さくないか
(エ)欠損金のない健全な財務状況であるか
(オ)経営評価で総合評価又は視点別の評価で「D」がない
④使命、役割の転換
社会経済情勢や県民等のニーズの変化により、団体の果たすべき使命や役割が、変質してきているものについて、抜本的な見直しを行い、時代の変化に応じた「使命、役割の転換」を指導する。
(2)経営マネジメント等に関する見直し
団体の自律的で責任ある経営を確立するため、次の取り組みを行う。
①運営改善の検討及び改革行動計画の策定
これまで明らかとなった各団体個別の運営改善について検討し、改革行動計画を策定する。また、特に下記の視点に該当する団体に対しては、重点的な運営改善を図る。
(ア)県依存度の高い団体
(イ)施設利用率が低迷している団体
(ウ)役務提供実績・販売実績の減少している団体
(エ)欠損金を抱える商法法人等、財務状況が健全でない団体
(オ)経営評価において総合評価又は視点別の評価が「D」となった団体
②経営者の権限強化及び責任の明確化
外郭団体の経営者に委ねる団体経営に関する権限及びその責任と、県が出資者等として関与すべき事項を明確にし、自律的で責任ある経営を担保するとともに、経営に関して専門的な知識を有する民間の人材など、幅広い選択肢の中から適任者を経営者に登用することを推進する。
また、外郭団体職員の勤務条件等については、県準拠に基づいた指導を廃止し、経営者の権限強化及び責任の明確化を図るとともに、公益法人においては、厳正な指導監督を図るため、指導監督の責任体制の確立と立入検査の充実を図る。
③マネジメントサイクルの確立
県は外郭団体に対して期待する達成目標を明らかにし、団体はその目標に応じた事業計画を作成・実施し、その結果に対して県が評価を行う目標管理制度を導入する。
また、団体は自律的な経営を展開するため、定期的な経営改善にかかる自主点検を行うマネジメントシステムを確立し、県は適切な助言等を行う。
④県の団体に対する人的支援の見直し
平成14年4月1日から「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」が施行されることに伴い、法に合致した県職員の外郭団体への派遣基準を策定し、適正化を図る。
また、県職員による外郭団体の役員就任について、経営責任の遂行が担保できるよう同一人物による多数兼任を改める。
⑤外郭団体への委託事業等に関する見直し
外郭団体への事業委託等については、標準算定方式の導入、目的達成手法等における一定の範囲内での団体における自由裁量の容認、利用料金制度の活用、複数年予算の導入、経営分析の導入、競争原理の導入など、委託内容に応じた新たな手法を導入することによって、事業委託等の適正化・効率化を図る。
なお、県が外部委託する業務のうち、民間への委託が困難な行政サービスの一部について、外郭団体への委託の可能性を「外部委託に係るガイドライン」により検証し、可能な事業について委託を行うこととする。
⑥基本財産の効果的な運用
財団法人の運営は、基本財産の運用益を元にして行うことが原則であり、その運用にあたっては、金融環境に配意しながら、安全かつ効率的な運用を行うことが不可欠である。このことから県は、特定団体への資金の集中化によるスケールメリットの創出など、新たな手法による資金管理のあり方について検討する。
⑥情報公開
外郭団体の経営や県関与の透明性を高めるため、平成13年4月1日から施行される「議会の議決すべき事件以外の契約等の透明性を高めるための条例」に的確に対応するとともに、情報公開条例の対象団体の拡大や50%以上県出資法人にかかる議会報告への付属明細書の追加等による情報公開の推進について検討する。
4 実施へのスケジュール
この基本方針に基づき、市町村等関係団体と調整を図りながら、平成15年度までを改革期間とし、集中的かつ抜本的な改革を進めることとする。
なお、各団体個別の主な改革方針は別紙のとおりとし、これらの改革方針に基づき、平成13年6月までに改革行動計画を策定し、県議会行政改革調査特別委員会に報告するものとする。