三重県教育委員会は、8月2日(木)、平成30年度第2回公立小中学校等校長研修会を開催しました。
本研修会は、県内の公立小中学校において校長のリーダーシップのもと学力の向上と外国語教育の改善の取組が推進されることをねらいとして開催しました。概要は以下のとおりです。
1 日 時 平成30年8月2日(木)13時25分から16時45分まで
2 場 所 三重県総合文化センター 中ホール
3 参加者 県内公立小中学校長、市町及び県教育委員会事務局職員等 計472名
4 内 容
ア 次長挨拶(研修担当次長 山本 嘉)
・7月31日の学調の厳しい結果を大変重く受け止めている。特に、国語では文章を正確に読み取り考えを書
くこと、算数・数学では割合や図形、理科では実験結果を考察することに課題が見られる。
・児童生徒質問紙調査では、子どもたちの自尊感情・自己肯定感、やる気やがんばりは、昨年度に比べ高まっ
ている。
・本日の講演を踏まえ、引き続き、校長のリーダーシップのもと、調査結果を活用して学校の授業改善をすす
めてほしい。
イ 講演Ⅰ
(ア)講師 平安女学院大学 中西 浩一准教授
(イ)演題 「外国語活動・外国語科の完全実施に向けて、小・中学校それぞれでやっておきたいこと」
(ウ)講演まとめ
○外国語活動・外国語科の完全実施に向けてのマネジメントにおいては、年間指導計画の作成、OJTと教員研
修を効果的に組み合わせ教員の育成を図ることが重要。
○中学校としての備えと小・中学校の連携においては、小学校の教育や学習内容、学習方法の理解が大切。
ウ 講演Ⅱ
(ア)講師 お茶の水女子大学 耳塚 寛明教授
(イ)演題 「高い成果を上げている学校に学ぶ―学力の社会学―」
(ウ)講演まとめ
○保護者の関与としては、家庭における読書活動(幼少時の読み聞かせ、新聞を読むことを奨励)が子どもの学力に強い影響力を及ぼす。
○学力と家庭の社会経済的背景(SES)の間には相関関係があるものの、SESが低い子どもが多い学校であっても高い成果をあげている学校があり、平成29年度に実施した調査では、以下のような特徴がある。
(1)家庭学習指導
・家庭学習の手引きを配付し、保護者へ啓発を図る。
・良いノートを紹介し、取り組めない子どもには手厚く指導する。(一人も見逃さない)
(2)管理職のリーダーシップと、教員が相互に授業力を高めていけるような関係である同僚性の構築、実践的な教員研修
・教科を超えた全校的な研修
(3)小中連携
・学習スタイルの統一
(4)言語活動・学習規律の重視
・挙手をして発言するなどの学習規律を守ったうえでの対話的な授業の展開
・課題を明確にする教師の授業力(発問力)
(5)学力調査の活用
・一人ひとりの課題を明確にする
(6)基礎基本の定着重視と少人数指導
・一人も見逃さない手厚い指導
(7)補充学習
・学力や家庭の協力の弱い子どもへ個別の補充学習
〇平成29年度に成果をあげつつある学校の事例研究を行った。校長のリーダーシップによる改革として、まず、次のような取組がおこなわれている。
(1)改革の着手段階
・校長の指針の提示と対話。繰り返し訴える。
・教員が成功体験を味わえるよう、取り組みの成果を数字で示す。
(2)改革の優先順位
・学習指導以前の問題から取り組む(生徒に一人の人格として接する等、叱り方の指針を示す)
・生徒、保護者との信頼関係の回復教員の意識が高まってきたところで、次のような諸改革が行われている。
(1)授業改善
・めあて、振り返りの提示、対話型の授業など県教育委員会が進めようとしていることに取り組む。
(2)研修
・教科の枠を超えた全教職員を巻き込むことのできるテーマによる研修に取り組む。
(3)小中連携
・特別支援教育のユニバーサルデザインの考え方を小中で共有する。