部落問題を解決するための教育
意識調査や実態調査を通して見えてくる課題から
~教職員自らの部落問題に対する認識を深めるために ~
研修概要
県立学校17校と私立学校4校及び中学校1校から合計30人の参加がありました。
1 テーマ設定についての説明
昨年度に学校で起きた差別事象や、一昨年実施された「人権問題に関する県民意識調査(以下、県民意識調査)」から、部落差別が過去の問題ではなく、私たちの前にいる子どもたちが暮らす社会に今もあるということが見えてきました。また、「人権問題に関する教職員意識調査」からは、県民意識調査に比べると教職員の人権問題に対する認識は高い一方、課題もあることが見えてきました。これらのことをふまえ、本講座のテーマである「教職員自らの部落問題に対する認識を深める」ことの必要性について説明を行いました。
2 グループワーク
6つのグループに分かれ、グループワークを行いました。
(1)グループワークⅠ
自己紹介を兼ねて、「自分自身が、子どもとかかわる上で大切にしていることとその理由」について交流しました。
(2)グループワークⅡ
p22のワークシート3「自分とのつながりに気づく」にある「別の高校に通っているDさんの話」を加工した資料をもとに、下記のような流れでグループワークを行いました。
①「Dさんの話(思い)」に、各自で、自分ならどう返していくか、その理由も合わせて付箋紙に書く。
②各自の考えを班で交流する。
・進行係、記録係、発表係を決める。
・各自が書いた自分の考えを出し合い、その付箋紙をシートに貼っていく。
・記録係は関連する意見をまとめ、シートに見出しをつけていく。
・全員の意見を交流したら、班として「Dさんの話(思い)」にどう返していくかをまとめる。
③各班の考えを全体で交流する。
・各班の発表係が、「Dさんの話(思い)」に班としてどう返していくかを説明する。
3 指導案作成
前半の説明や、グループワークで話し合ったこともふまえながら、部落問題に係るワークシートを活用した1時間分の指導略案を作成し、班でその内容について交流しました。
参加者の声
・ 教師になりまだ4ヶ月しか経っておらず、人権についての知識を増やす機会がなかなか無かったので、本日の講座は今後のためにとても勉強になりました。
・ いろいろな気づきができました。自分の差別意識を再度確認し、これからどうするかですね。いくつになっても自分磨きだと思いました。
・ グループワークの中で、様々な先生方の意見を聞くことができ本当にためになったと感じます。自分自身の知識の少なさも実感したので勉強していきたいと思います。
・ 班の先生方のすばらしい意見を聞くことができ、自己の考え方をさらに向上させることができました。また、最後の自分の立場を友人に言うことができた生徒の話は感動的で、これこそ人権学習の成果だと思いました。
・ 様々な意見を聞くことができてよかった。普段自分の学校で聞けていなかった疑問が、各学校の人権担当の先生方の意見や思い、学習のねらいなどを聞くことによって解決に至りました。
・ グループワークをする中で、他の人の考えや意見、また他のグループの意見を聞くことができ、とても参考になりました。人権LHRだけでなく、職員研修の必要性もよくわかりました。
・ 指導案をもとに他の先生方と交流できたことは大変有意義でした。
・ 学校での人権教育と地域社会での認識のズレ・ギャップについて考えるきっかけとなりました。
研修を終えて
部落問題学習に取り組むうえで、まず教職員間で取り組むことへの不安やためらい、疑問等を話し合う中で、自らの経験を振り返るなど、一人ひとりが自らの部落問題に対する認識を問うことが必要だと考えます。