外国人の人権に係わる問題を解決するための教育
多様な文化を尊重する社会づくりに向けて、異文化を理解するための視点やコミュニケーション力を養う
研修概要
県立学校17校と私立学校4校と中学校1校から合計35人の参加がありました。
1 題材の説明
p55からの「違いをどうとらえる?」について説明しました。
本題材のねらいは、多様な文化を尊重する社会づくりに向けて異文化を理解するための視点やコミュニケーション力を養うことです。多様性の価値を学び互いを認め合うために違いをどうとらえるかを学ぶことのできる題材です。
2 グループ交流
(1)ワークシート1(p56)の学習展開例
① 海外から日本に来た人たちのエピソードについて、その人たちが「あれっ?」と思った理由を考えていきました。
② 一人ひとりが経験したエピソードを交流しました。
※「学校で実施する場合、海外旅行や外国人と交流をした経験の少ない生徒が多く、エピソードが出にくいことも考えられます。そんな時に提案する材料として、事前に教職員で経験を出し合っておくのもよいのではないでしょうか」
③ 押さえたい3つのポイントを伝えました。
・その人がもっている文化的背景によって、感じ方に違いがある。
・共生していくためには、行動等に疑問を感じた時、その理由を想像することが大切である。
・自分の常識だけで外国につながりのある人と接していないかを振り返ることが大切である。
(2)ワークシート2(p57)の学習展開例
① バルーンバ王国という架空の国を設定し、バルーンバ人役と調査員役の2つの役割に分けて、バルーンバ王国のルールを探るワークをしました。今回の講座では、全員が調査員役を体験することができるように、役を入れ替えて2回のワークを行いました。2回目のワークでは、指導資料に書かれているルールとは別のルールを設定しました。
※「独自のルールを設定するときは、事前の検討を十分に行い、そのルールでうまく進行することができるかを確認する必要があります」
② 押さえたい2つのポイントを伝えました。
・異文化を尊重することの大切さは頭では分かっていても、つい腹を立ててしまうことがある。感情だけで捉えていないか留意することが大切である。
・文化の違いによってトラブルが起こることもあるが、きちんと理解すれば解決のための方策を知ることができる。
参加者の声
・実際にグループワークをしてみて、このワークシートのおもしろさと、学習意義がよくわかりました。
・ハッとすることがありました。自分の常識で考えることが多くあったと気づかされました。どれだけ今まで出会った外国の人たちを傷つけてきたのだろうかと改めて感じました。異文化を知ることはとても大切なことです。いかにコミュニケーションをとっていくかだと思います。
・今後クラスで実施したいと思えるワークでした。生徒たちに伝えたいことを気づかせるために私自身ももっと勉強し知識を増やしたいと思いました。
・修学旅行の引率で韓国へ行きます。事前準備や学習を、これまで生徒と共に行ってきました。今回、講座を受講し、事前に相手国の文化、習慣を知っておくことは、大切だと感じました。
研修を終えて
自分の常識は、あくまでも自分の文化的背景や経験によって作られてきたものであることに気づくことが大切です。自分の文化を大切にし、相手の文化をよく理解したうえで、コミュニケーションを図る力を養っていくことが必要です。