女性の人権に係わる問題を解決するための教育
クラスに必ず一人はいる!?性的マイノリティの子どもたち
~子どもたち一人ひとりが多様な性のありかたを肯定し、お互いを尊重できる取組のために~
研修概要
県立学校18校、私立学校3校、小学校11校、中学校8校から合計54人の参加がありました。この連続講座は高等学校及び特別支援学校高等部の教職員を対象としたものですが、本講座につきましては、小中学校の教職員にも有益な内容であるため、市町教育委員会等を通じ小中学校にも参加を呼びかけました。
1 指導資料の説明
p37からの「性のありかた いろいろ」の各ワークシートの内容とねらいについて説明しました。
2 文部科学省「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」結果概要紹介
文部科学省が平成26年6月13日に公表した資料を紹介しました。
※ 文部科学省:「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」
3 講演
「クラスに必ず一人はいる!?性的マイノリティの子どもたち」と題して、性的マイノリティの当事者である杉山文野さんにご講演いただきました。
※ 詳しい講演内容は後日、ホームページに掲載する予定です。
4 グループ討議Ⅰ
各校での取組の状況や本講座に参加しようと思ったきっかけなどを、講演の感想も交えながら交流しました。また、杉山さんに質問したい内容についても話し合ってもらいました。
5 杉山さんとの質疑応答
参加者の質問に対して、ご自身の体験をふまえながら答えていただきました。そのうちのいくつかを紹介します。
Q:いつごろから自分の身体と心の性の違和感に気づいていくのか。
A:トランスジェンダーに関しては、わりと早い時期から気づくことが多い。同性愛に関してはなかなか気づかない。世の中の風潮に従って異性とおつきあいするがうまくいかず、30才、40才を越えて同性とおつきあいして、実は同性愛者だったことに気づくこともある。気づく時期には個人差があるので、決めつけない方がよいと思う。
Q:もし、児童・生徒からカミングアウトされたらどうしたらいいのか。
A:まずは話を聴くこと。相談を受けるということは、そこに信頼関係があるということなので大事にしてほしい。とにかく訴えることに耳を傾けて、どういうことができるかを一緒に考えること。また、いろいろなモデルケースを知ることが大切なので、「こんな本があるよ。こんなウェブサイトがあるよ」と紹介できるコンテンツを持っておくことも必要である。
6 グループ討議Ⅱ
自校でできる取組を付箋紙に書き、模造紙に貼りながら交流しました。
参加者の声
・「 学校としての適切な対応」を考えることは、生徒一人ひとりを尊重することによってできるのだろうと思います。具体的な行動には、やはり知識が必要だと感じました。杉山さんが言われたように「知らなかったでは済まされない」ほど性的マイノリティについての情報はあるので、しっかりと勉強したいと思いました。アンテナを高く張っていきたいです。
・ 決めつけていたり、偏見を持っていたりすることが、いかに多いかということに気づきました。生徒が相談にきた時に適切な対応ができるように、これからもいろいろな問題について考えたり、話を聞いたりしたいと思います。
・ 小学校など早い段階から、性の多様性、生き方の多様性を認めることができるように、授業で知らせたり考えさせたりする機会を作っていかなければと強く感じました。
研修を終えて
性的マイノリティの子どもたちが、安心して楽しい学校生活を送ることができるためには、私たち教職員が理解を深め、支援体制を整えることが大切です。「もしかしたら自分のクラスにも悩んでいる子どもがいるかもしれない」という姿勢で研修を深め、子どもたちが相談しやすい雰囲気や体制をつくり、相談があった時には学校として適切な対応ができるようにしておく必要があります。教職員と児童・生徒がともに学習し、一人ひとりが認められる学校をつくっていかなければなりません。そのためにも、性のありかたが一人ひとり違うということを認識することは、すべての子どもたちにとって過ごしやすい学校づくりにつながると考えます。