【Hello!とうけい】vol.205「ビッグデータ時代の統計教育」
皆さんは、学校教育で統計についての学習が多く取り入れられるようになったのをご存知ですか。
新しい学習指導要領が、小学校では平成23年度、中学校では平成24年度から全面的に実施され、高等学校では平成25年度入学生から(数学および理科は平成24年度入学生から)段階的に適用されるようになりました。
例えば、小学校6年生の算数から中学校1年生の数学では、資料(データ)の代表値(平均値、中央値など)や散らばりを調べ、統計的に考察したり表現したりすること、その資料の傾向を読み取ることなどが求められています。
以下の値は、架空のプロサッカーチーム・レギュラー選手11人の個々の年俸です。
①500万円 | ②700万円 | ③400万円 | ④400万円 | ⑤1,200万円 | ⑥900万円 |
⑦400万円 | ⑧550万円 | ⑨2,400万円 | ⑩450万円 | ⑪900万円 |
各選手の年俸を、500万円ごとの階級(グループ)に分け、それぞれの階級ごとの人数をかぞえる表を作ってみます。
500万円以上1,000万円未満の階級が5人と、一番多いことが分かります。このような表を〈度数分布表〉といいます。
ちなみに、11人の平均年俸は800万円です。度数分布表でも一番人数が多い階級に該当します。この度数分布表をグラフで表します。
このようなグラフを〈ヒストグラム〉といいます。(柱状グラフなどともいいます。)
ヒストグラムを使うと、データの分布の様子が視覚的に分かりやすく表現されます。ヒストグラムを応用したものに「人口ピラミッド」がありますが、これも人口の分布の様子が、一目で捉えやすくなっています。
では、年俸の階級を300万円ごとに分けるとどうでしょうか。同じように度数分布表とヒストグラムで表すと以下のようになります。
チームの過半数の6人が300万円以上600万円未満の階級にあるのが分かります。この分け方にすると、平均年俸額(800万円)が該当する階級には1人だけとなってしまいます。
データの特徴を表す代表値に、「平均値」の他に「中央値」がありますが、11人の中で真ん中の値(この場合、低い方から数えても高い方から数えても6番目の年俸額)が中央値となりますので、550万円が中央値となります。
年俸を受け取る選手からすると、平均値の800万円より、中央値の550万円の方がチーム内での自分の位置が分かりやすく、実感しやすい数字かも知れません。
また、階級を300万円ごとにすることで、最も高い年俸(2,400万円)の選手が、平均年俸を押し上げていることも分かりやすくなります。
新しい学習指導要領では上記のように、幅の異なる階級でヒストグラムを作り、その違いを検証して、より的確にデータを読み取ることも盛り込まれています。
また、データの傾向を捉えて説明すること、学んだことを日常生活の中で利用することなど、実践的な学習で理解を深めるようになっています。
学校教育に統計が大きく取り入れられるようになったことは、ビッグデータ時代を象徴しているようですが、世界的には、既に統計教育を学校教育の早い段階から取り入れている国が多くあり、日本ではまだようやく動き始めたばかりです。
ビッグデータ時代を迎え、統計の専門的知識や技量を身に付けるということも大事ですが、”膨大な統計データに振り回されることなく、いかに賢明に活用できるか”ということを足元から固めていく、これからの教育に期待したいものです。
最後に、統計グラフコンクールについてご紹介します。統計グラフコンクールとは、自分で観察したり調査した結果や、既存の統計資料などを分かりやすく工夫したグラフで表し、ポスターに仕上げた作品を募集するものです。
今年度の募集は既に終了しましたが、関心を集めている社会問題を扱った作品や、日常生活から題材を取ったユニークな作品など、力作ぞろいでした。
今年度の優秀作品を以下のホームページからご覧いただけます。
/DATABOX/86074002364.htm
統計グラフコンクールは小学生から一般の方まで参加できます。来年度も多数のご応募をお待ちしています。
三重県の統計情報は「みえDataBox」/DATABOX/index.htmでご覧いただけます。
次回のHello!とうけい♪vol.206は、平成27年1月28日(水曜日)掲載予定です。お楽しみに!