用語の解説
1. 住宅
住宅とは、普通の一戸建の住宅や、アパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたものをいう。
ここで、「完全に区画された」とは、コンクリート壁や板壁などの固定的な仕切りで同じ建物の他の部分と完全に遮断されている状態をいう。
また、「一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる」とは、次の四つの設備要件を満たしていることをいう。
1) 一つ以上の居住室
2) 専用の炊事用流し(台所)
3) 専用の便所
2)、3)共用であっても、他の世帯の居住部分を通らずに、いつでも使用できる状態のものを含む)
4) 専用の出入口(屋外に面している出入口、又は居住者やその世帯がいつでも通れる共用の廊下などに面している出入口)
したがって、上記の要件を満たしていれば、ふだん人が居住していなくても、ここでいう「住宅」となる。
また、ふだん人が居住していない住宅を「居住世帯のない住宅」として、次のとおり区分した。
●居住世帯のない住宅
一時現在者のみの住宅 | ||
空き家 | 二次的住宅 | 別 荘 |
その他 | ||
賃貸又は売却用の住宅 | ||
その他の住宅 | ||
建築中の住宅 |
◎一時現在者のみの住宅
昼間だけ使用しているとか、何人かの人が交代で寝泊まりしているなど、そこにふだん居住している者が一人もいない住宅。
◎空き家
○二次的住宅
別 荘……週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅。
その他……ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅。
○賃貸又は売却用の住宅
新築・中古を問わず、賃貸又は売却のために空き家になっている住宅。
○その他の住宅
上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば、出稼ぎ・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など。
◎建築中の住宅
住宅として建築中のもので、棟上げは終わっているが戸締まりができるまでにはなっていないもの(鉄筋コンクリートの場合は、外壁が出来上がったもの)。
なお、戸締まりができる程度になっている場合は、内装が完了していなくても、「空き家」とした。
また、建築中の住宅でも、ふだん人が居住している場合には、建築中とはせずに人が居住する一般の住宅とした。
2. 住宅以外で人が居住する建物
住宅以外の建物でも、ふだん人が居住していれば、調査の対象とした。この住宅以外の建物には、次のものが含まれる。
1) 会社・官公庁・団体の独身寮などのように、生計を共にしない単身の従業員をまとめて居住させる「会社等の寮・寄宿舎」
2) 学校の寄宿舎などのように、生計を共にしない単身の学生・生徒をまとめて居住させる「学校等の寮・寄宿舎」
3) 生計を共にしない単身者を長期にわたって下宿させる「下宿屋」
4) 旅館や宿泊所・保養所などのように、旅行者などの一時滞在者の宿泊のための「旅館・宿泊所」
5) 病院・工場・作業場・事務所などや、建設従業者宿舎など臨時応急的に建てられた建物で、住宅に改造されていない「その他の建物」
なお、この調査で、「人が居住している」とか、「居住している世帯」という場合の居住しているとは、ふだん住んでいるということで、調査日現在当該住居に既に3か月以上にわたって住んでいるか、あるいは調査日の前後を通じて3か月以上にわたって住むことになっている場合をいう。
3. 住宅の種類
住宅をその用途により、次のとおり区分した。
◎専用住宅
居住の目的だけに建てられた住宅で、店舗・作業場・事務所など業務に使用するために設備された部分がない住宅。
◎併用住宅
○農林漁業併用住宅
農業、林業又は漁業の業務に使用するために設備された部分と居住の用に供される部分とが結合している住宅。
○店舗その他の併用住宅
農林漁業以外の業務に使用するために設備された部分と居住の用に供される部分とが結合している住宅。
例えば、商店、飲食店、理髪店、医院など、業務に使用するために設備された部分のある住宅がこれに当たる。
4. 住宅の建て方
住宅の建て方を次のとおり区分した。
◎一戸建
一つの建物が1住宅であるもの。
◎長屋建
二つ以上の住宅を一棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入口を有しているもの。いわゆる「テラスハウス」と呼ばれる住宅もここに含まれる。
◎共同住宅
一棟の中に二つ以上の住宅があり廊下・階段などを共用しているものや、二つ以上の住宅を重ねて建てたもの。階下が商店で、2階以上に二つ以上の住宅がある、いわゆる「げたばきアパート」も「共同住宅」とした。
なお、同一敷地内に二棟以上の共同住宅が集団的(おおむね50戸以上)、かつ計画的に建てられているものを「団地型」とし、それ以外のものを「その他」と区分した。
◎その他
上記のどれにも当てはまらないもので、例えば、工場や事務所などの一部が住宅となっているような場合をいう。
5. 建物の用途
建物の現在の使用状況によって、建物の用途を次のとおり区分した。
◎居住専用建築物
専ら、居住のために使用される建物で、店舗・作業場・事務所など業務に使用するための部分が付いていない建物。
なお、共同住宅のうちマンションなど居住専用に建てられた建物の一部が事務所など業務用に転用されている場合、その部分の床面積が建物全体の床面積の5分の1未満であるものはここに含めた。
◎店舗等併用建築物
一つの建物の中に、業務のために使用される部分と居住のために使用される部分とがある場合で、業務のために使用される部分の床面積がその建物全体の床面積の5分の4未満である建物。
◎その他
一つの建物の中に、業務のために使用される部分と居住のために使用される部分とがある場合で、業務のために使用される部分の床面積がその建物全体の床面積の5分の4以上である建物。
6. 建物の階数
建物全体の地上部分の階数をいう(したがって、地階は含めない。)。
なお、中2階や屋根裏の部屋は階数に含めない
7. 建物の構造
建物の構造を次のとおり区分した。
なお、二つ以上の構造からなる場合は、床面積の広い方の構造によった。
木 造 | 木造(防火木造を除く) |
---|---|
防火木造 | |
非木造 | ブロック造 |
鉄骨・鉄筋コンクリート造 | |
その他 |
○木造(防火木造を除く)
建物の主な構造部分のうち、柱・はりなどの骨組みが木造のもの。ただし、次の「防火木造」に該当するものは含めない。
○防火木造
柱・はりなどの骨組みが木造で、屋根や外壁など延焼のおそれのある部分がモルタル、トタンなどの防火性能を有する材料でできているもの。
○ブロック造
外壁がコンクリートブロック造で、建物の重さをその外壁全体で支えている造りのもの。
○鉄骨・鉄筋コンクリート造
建物の骨組みが鉄骨コンクリート造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造のもの。
○その他
上記以外のもの。例えば、鉄骨造(柱、はりが鉄骨のもの)、レンガ造などのものが含まれる。
8. 住宅の建築の時期
人が居住する住宅について、その住宅の建築の時期を調べた。住宅の建築後、建て増しや改修をした場合でも初めに建てた時期を建築の時期とした。
ただし、建て増しや改修をした部分の面積が、建て増しや改修後の住宅の延べ面積の半分以上であれば、建て増しや改修をした時期を建築の時期とした。
9. 住宅の所有の関係
人が居住する住宅及び住宅以外で人が居住する建物について、所有の関係を次のとおり区分した。
持ち家 | ||
借 家 | 公営の借家 | |
公団・公社の借家 | ||
民営借家 | 個人所有 | |
法人所有 | ||
給与住宅 | ||
住宅以外で人が居住する建物 | 自己所有 | |
賃貸・貸与 |
◎持ち家
そこに居住している世帯が所有している住宅。
最近建築、購入又は相続した住宅で、登記がまだ済んでいない場合や、ローンなどの支払いが完了していない場合も「持ち家」とした。また、親の名義の住宅に住んでいる場合も「持ち家」とした。
◎公営の借家
都道府県、市区町村が所有又は管理する賃貸住宅で、「給与住宅」でないもの。
普通、「県営住宅」、「市営住宅」などと呼んでいるものがこれに当たる。
◎公団・公社の借家
都市基盤整備公団(住宅・都市整備公団)や都道府県・市区町村の「住宅供給公社」・「住宅協会」・「開発公社」などが所有又は管理する賃貸住宅で、「給与住宅」でないもの。普通、「公団住宅」、「公社住宅」などと呼んでいるものがこれに当たる。
なお、雇用促進事業団の移転就職者用宿舎もここに含めた。
◎民営の借家
国・都道府県・市区町村・公団・公社以外のものが所有又は管理している賃貸住宅で、「給与住宅」でないもの。
○個人所有
個人が所有しているアパートや一戸建の家などを借りている場合。
○法人所有
不動産会社が所有しているマンションを借りている場合など、法人が所有している住宅を借りている場合。
◎給与住宅
社宅、公務員住宅などのように、会社、団体、官公庁などが所有又は管理して、その職員を職務の都合上又は給与の一部として居住させている住宅(会社又は雇主が借りている一般の住宅に、その従業員が住んでいる場合を含む。)。
この場合、家賃の支払いの有無を問わない。
◎住宅以外で人が居住する建物
○自己所有
工場、事務所など住宅以外の建物全体又は一部を、その世帯が所有している場合。
○賃貸・貸与
工場、事務所など住宅以外の建物全体又は一部を、その世帯が借りている場合及び貸している場合。
10. 住宅の設備状況
1 台所及び便所が専用か共用かによって、集計の際に、住宅を次のとおり「設備専用」又は「設備共用」に区分した。
○設備専用
台所及び便所の両方が専用である場合(主世帯と同居世帯が共同で使用している場合を含む。)。
○設備共用
台所及び便所のうち、いずれか一方あるいは両方が共用の場合。
2 便所、浴室及び洗面所について次のとおり区分した。
○便 所
水洗……直接公共下水道に流す方式や自家浄化槽などで処理する方式のものをいう。
水洗でない……上記以外のものをいう。
○浴 室
ある……シャワー室だけの場合も「ある」とした。
ない……浴槽があっても浴室がなければ「ない」とした。
○洗面所
ある……専ら、洗面、手洗いなどのために使用する給水設備をいう。
ない……台所の流しは、専ら、洗面、手洗いなどのために使用していても「ない」とした。
11. 居住室数及び畳数
◎居住室数
居住室とは、居間、茶の間、寝室、書斎、応接間、仏間、食事室など居住用の室をいう。したがって、玄関、台所(炊事場)、便所、浴室、廊下、農家の土間などや、店、事務室、旅館の客室など営業用の室は含めない。
なお、ダイニングキッチン(食事室兼台所)は、流しや調理台などを除いた広さが3畳以上の場合には、居住室の数に含めた。また、同居世帯がある場合には、同居世帯が使用している室数も含めた。
◎畳 数
畳数は、上に述べた各居住室の畳数(広さ)の合計をいう。洋間など畳を敷いていない居住室も、3.3 平方メートルを2畳の割合で畳数に換算した。
12. 住宅の延べ面積
住宅の延べ面積とは、各住宅の床面積の合計をいう。この延べ面積には、居住室の面積のほか、その住宅に含まれる玄関、台所、便所、浴室、廊下、農家の土間、押し入れなどや、店、事務室など営業用に使用している部分の面積も含めた。しかし、別棟の物置・車庫の面積や商品倉庫・作業場など営業用の付属建物の面積は含めない。
アパートやマンションなど共同住宅の場合は、共同で使用している廊下、階段などの面積を除いたそれぞれの住宅の専用部分の床面積とした。
13. 高齢者等のための設備状況
人が居住する住宅について、高齢者等のための設備・構造の有無を次の区分により調査した。
◎手すりがある
高齢者などが住宅内でバランスをくずして転倒したりしないよう安全に生活するために手すりが設置されている場合。
手すりがある場合の設置場所は次の区分とした。
玄関
便所
浴室
廊下
階段
居住室
その他
◎またぎやすい高さの浴槽
浴槽のまたぎ込みの高さ(洗い場から浴槽の縁までの高さ)が高齢者や身体障害者などに配慮されている場合。
なお、高齢者の場合は、約30~50cmをまたぎやすい高さとした。
◎廊下などが車いすで通行可能な幅
廊下や部屋の入口の幅が約80cm以上ある場合。
◎段差のない屋内
高齢者などが屋内で段差につまずいて転倒したりしないよう設計されている場合。
なお、玄関の“上がりかまち”や階段は、ここでいう段差に含めない。
◎道路から玄関まで車いすで通行可能
敷地に接している道路から玄関口までに、高低差や障害物などがなく、車いすで介助を必要とせず安全に通れる場合。
なお、高低差等がある場合でも、ゆるやかな傾斜路(スロープ)などが設置され、車いすで通れる場合はここに含めた。
14. 主世帯、同居世帯
1住宅に1世帯が住んでいる場合はその世帯を「主世帯」とし、1住宅に2世帯以上住んでいる場合には、そのうちの主な世帯(家の持ち主や借り主の世帯など)を「主世帯」とし、他の世帯を「同居世帯」とした。
なお、単身者が友人と共同でアパートの1室を借りて住んでいる場合など、1住宅に二人以上の単身者が住んでいる場合は、便宜、そのうちの一人を「主世帯」とし、他の人は一人一人を「同居世帯」とした。
15. 普通世帯、準世帯
「普通世帯」とは、住居と生計を共にしている家族などの世帯をいう。家族と一緒に間借りや同居している世帯及び一人で一戸を構えて暮らしている世帯も「普通世帯」とした。主世帯は、すべて「普通世帯」である。住宅に住む同居世帯や住宅以外の建物に住む世帯の場合は、家族と一緒に住んでいたり、寮・寄宿舎の管理人の世帯であれば「普通世帯」とした。
「準世帯」とは、単身の下宿人・間借り人、雇主と同居している単身の住み込みの従業員や、寄宿舎・旅館など住宅以外の建物に住んでいる単身者又はそれらの人々の集まりの世帯をいう。
なお、従来住宅に同居する一人の準世帯は住宅ごとに一つの世帯としていたが、今回の調査では、一人一人を1つの世帯とした。
16. 世帯人員
その世帯にふだん住んでいる世帯員の数をいう。
したがって、たまたま旅行などで一時不在の人でも、ふだんそこに住んでいればその世帯人員に含めた。船舶に乗り組んで長期不在の人(自衛隊の艦船乗組員を除く。)は自宅に住んでいるものとした。
なお、「単身の住み込みの家事手伝い」は雇主の世帯に含めたが、「住み込みの従業員」や「下宿人」、「間借り人」は、雇主や家主の世帯とは別の世帯とした。