【Hello!とうけい】Vol.257 うなぎは今も「津のソウルフード」?
津市の皆さんにとって「うなぎのかば焼き」は、昔から馴染みのあるものです。
近年うなぎの国内漁獲量及び輸入量が激減し、価格の高騰により、なかなか食べる事ができなくなってきました。津市では、戦前よりうなぎの養殖(養鰻業)が盛んで各地に養鰻池があり、その頃に津市民の日常食として身近なものになりました。養鰻業は、戦後、九州などの他産地との競争が激化し、1959(昭和34)年の伊勢湾台風の影響で衰退しました。しかしながら、現在でも市内に20店を超えるうなぎ専門店が味を競い合っています。このような歴史を持つ土地柄かうなぎの消費量が多く、2005(平成17)年家計調査結果では、「うなぎのかば焼き」について、津市は、1世帯あたりの年間支出額が 5,534円で全国1位となりました。
さて、うなぎは「津のソウルフード」と呼ばれる事もありますが、今でもそうなのでしょうか?
最近の家計調査結果から考察してみたいと思います。
それでは、総務省統計局が毎年刊行している家計調査年報(家計収支編)を利用して、「うなぎのかば焼き」の1世帯あたりの年間支出額の都道府県庁所在地及び政令指定都市ランキング(2009~2018年平均)を作成してみると(表1・図1)、浜松市が 5,886円と最も多く、次いで京都市 4,352円、大津市 3,753円となっており、年間支出額の上位には、近畿・東海地方の都市が多くなっていて、津市は、2,953円で全国52都市中15位となっています。
大養殖地「浜名湖」を持つ浜松市が、過去10年中9年全国1位を獲得し、うなぎの名産地の面目躍如といったところです。【 2011(平成23)年のみ京都市が全国1位です。 】
(注1) 津市は、2006(平成18)年1月1日に周辺9市町村と合併し現在の「津市」となりました。
2005(平成17)年の「津市」の「1位」の結果については、合併前の「旧津市」での結果です。
(注2) 家計調査結果「うなぎのかば焼き」には、外食、冷凍、缶詰のうなぎ関連の支出は含めません。
また視点を変えて、「うなぎのかば焼き」の1人あたりの年間支出額の都道府県庁所在地及び政令指定都市ランキングを作成してみると、2018(平成30)年の結果は、表2のとおりで、津市は、984円で全国52都市中12位となっています。
最後に、1世帯あたりの年間支出額の過去10年間をグラフにしてみると、2009(平成21)年以外は全国の年間支出額を常に上回っており、2010(平成22)年の 4,972円(浜松市、京都市に次ぐ全国3位)、2011(平成23)年の 3,622円が多いほかは、2,000円台で推移しています。(図2)
これまで見てきたように、津市のうなぎの年間支出額については、2005(平成17)年、2010(平成22年)と時々ベスト3に入る事はあるが、長期的に見てみると10位~20位代となっています。
この結果だけでみると、うなぎは今も「津のソウルフード」と呼ばれる事に疑問符を付けたくなりますが、津市民は、子供の頃から通っているなじみのうなぎ屋があるとか、宴会をうなぎ屋でする風習があるなど、深く根付いている食文化です。
家計調査は、毎月、津市、松阪市において、無作為に抽出した143世帯で実施されています。国民生活における家計収支の実態を毎月明らかにして、国や三重県がさまざまな取組を行うための基礎資料となる大切な統計調査(総務省実施)です。
詳しい内容は、「家計調査」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/index.html
から、ご覧になれます。
三重県の統計情報は「みえDataBox」 http://www.pref.mie.lg.jp/DATABOX/でご覧いただけます。
次回のHello!とうけい♪vol.258は、令和2年5月27日(水曜日)掲載予定です。お楽しみに!