知事定例会見録
平成22年5月31日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目等
・「希望の舞台づくり・県民総参加の提案」について(発表)
・平成22年度「みんなで創ろう『みえの舞台』会議」の委員募集について(発表)
・口蹄疫について(報告)
(知事)まず、第三次戦略計画、次期戦略計画の策定における県民参画の仕組みについて申し上げたいと思います。お手元にお配りをしております資料1(「希望の舞台づくり・県民総参加の提案」)をご覧いただきたいと思います。三重県におきましては、県の総合計画「県民しあわせプラン」の目指すべき社会像の実現に向けまして、これを着実に推進していくというために中期の実施計画を立てております。これが戦略計画でございますが、今年度は、ちょうど2次にわたる戦略計画の最終年度でございますので、次期戦略計画の策定作業を進めるということにしております。その策定にあたりましては、様々な広聴のしくみを積極的に活用いたしてまいりたいし、また、「新しい時代の公」の取り組みを通じまして形成をされてまいりましたネットワーク組織であるとか、あるいは幅広い分野で県民が参加する会議等も活用をしながら、計画作りの段階に応じまして、多様な県民参画の仕組みを取り入れまして、多くの県民の皆さんにご参画をいただけるようにしていきたいと考えているところでございます。
そこで、資料1の表の一番下の⑭、「みんなで創ろう『みえの舞台』会議」、これにつきまして、平成22年度の委員をこれから募集したいということでございますので、それにつきまして申し上げたいと思います。これにつきましては次の資料にあるかと思います。この「みんなで創ろう『みえの舞台』会議」でございますけれども、これは、総合計画「県民しあわせプラン」を県民の皆さんと一緒に具体化していくための広聴の仕組みということで、既に平成20年度から取り組んできているものでございます。今年度は、「希望の舞台づくり・県民総参加の提案」の1つとして、平成23年度からの4年間を見据えました県民参加の取り組み等につきまして、県民の皆さんにご提案をいただく場として実施をしてまいりたいと考えております。今年度、この会議で取り上げますテーマについては3つございます。1つ目のテーマは「若者が将来に希望を持ち、チャレンジすることができる環境づくりに向けて」でございます。団塊ジュニア世代を中心といたします20代あるいは30代は今、非常に厳しい環境にございまして、将来に希望を持ちにくくなっている人が増えていると、こう言われております。若者たちが将来に希望を持ってチャレンジできるようにするためどのような取り組みが必要なのか、これらにつきまして、働く環境の整備や就職の支援、人材育成の視点などからご提案をいただきたいと考えております。2つ目のテーマは「くらしの安全・安心を高める県民参加の仕組みづくりに向けて」でございます。県民一人ひとりが地域のくらしの安全・安心につきまして、日頃から関心を持って具体的な行動につなげてまいりますためにどのような取り組みが必要かということにつきまして、地域の防災力向上や災害の未然防止などに向けました県民参加の仕組みづくりの視点からご提案をいただきたいと考えております。3つ目のテーマは「高齢化、過疎化が進む中山間地域におけるコミュニティー維持に向けて」でございます。高齢化、過疎化が進む中山間地域におきましては、多くの集落でコミュニティーの維持が難しくなってきております。こうした地域に暮らしたいという人の誰もが暮らし続けていけるよう、コミュニティーを維持していくため、どのような取り組みが必要かにつきまして、地域活力の向上や生活の利便性向上の視点などからご提案をいただきたいと考えております。委員の募集についてでありますが、募集期間は6月7日(月)から6月30日(水)まででございます。募集人員は、1つのテーマにつきまして15名から20名程度を考えているところでございまして、たくさんの県民の皆さんにご応募いただきたいと考えております。
なお、資料1に掲載をしてございます、「みんなで創ろう『みえの舞台』会議」以外の主な取り組みについてご紹介をさせていただきます。6月号の「県政だよりみえ」におきましては、県が取り組むべき課題は何かなどにつきまして、県民の皆さんから県政一口提案を募集しております。これの募集期限は7月9日(金)でございます。また、「一万人アンケート」につきましては既に実施をさせていただいておりますけれども、この中で広く県民の皆さんから県の取り組み、これは44の分野にわたっておりますが、それの重要度、あるいは満足度についてお聴きをしてきているところでございます。また、三重県が実施をいたしますイベント等の参加者でありますとか、あるいは県内の関係団体から、県の取り組みで重要と思われるものにつきましては、アンケートを実施してまいります。これのアンケートの回答期限につきましては7月16日(金)としているところでございます。今申し上げましたほかにも、県民の皆さんと語り合う「知事と語ろう 本音でトーク」、これはずっと続けておりますが、今年もやってまいりますし、それから「県と市町の地域づくり連携・協議会」、これは地域会議とトップ会議(膝づめミーティング)、こういったところにおきましてもアンケートや、あるいは意見交換、こういったことを実施してまいる予定でございます。
次に口蹄疫関係について申し述べたいと思います。口蹄疫につきましては去る4月20日に宮崎県で発生が確認されまして以来、宮崎県内におきまして甚大な被害が及んでいるところでございます。まずもって発生地域の宮崎の関係の皆様、大変ご苦労をされておりますこと、心からお見舞いも申し上げるところでございます。本県におきましては、宮崎県での発生以来、緊急調査を実施いたしまして、全ての牛・豚などの飼育農場におきまして異常のないことを確認しているところでございます。4月1日以降4月26日まででございますが、この間に宮崎県から導入されました牛、これは235頭ございます、これを肥育している農家におきましても、潜伏期間と言われております2週間を全てが経過した5月の連休明けまでに、異常がないことを確認いたしております。三重県においては口蹄疫は発生しておりませんけれども、万が一の発生に備えまして、市町及び関係機関と連携をいたしまして、全力を挙げて適切な対策を講じていく必要がございます。そういったことから、去る5月21日に庁内連絡会議である「三重県口蹄疫対策会議」の第1回会議を開催したところでございます。それから、市町との情報共有を図るというために、5月24日には「市町情報連絡会議」を開催いたしました。さらに、畜産農家に対しましては宮崎県の情報を逐次提供いたしますとともに、県のホームページでも情報を提供しているところでございます。なお、いろいろな観点の対策が必要でございますが、先週の金曜日に担当部のほうで経営相談窓口を設置いたしまして、畜産農家からの相談にも応じる体制、本格的には今週からということになりますが、対応していきたいと考えております。また、宮崎県への防疫支援でございますけれども、これは5月3日から県の獣医師7名を派遣しております。さらに6月からは、県の獣医師12名、補助業務に従事をする一般職員6名の派遣を計画いたしております。今後も宮崎の現地の状況も見ながら協力をしてまいりたいと考えております。今後の対応についてでございますが、現在、宮崎県では、口蹄疫の封じ込め対策が進められているところでございますけれども、発生が継続しており、また現時点ではその感染経路の解明には至っていないところでございます。また、三重県は、他県から子牛を導入して肥育をしまして、松阪牛や伊賀牛などのブランド牛を有する県でございまして、多くのこの関係の皆さんの不安も募ってきているところでございます。私としては、今後も県内に口蹄疫の侵入を絶対に許さないという強い決意をもってあたってまいりたいと、このように考えております。そこで、このような不安感を払拭し、畜産農家の負担を軽減するために、全ての牛や豚等の畜産農家を対象にしまして、消石灰の無料配布を実施してまいりたいと考えておりまして、この6月会議、県議会のほうに補正予算を提案してまいりたいと考えております。消石灰につきましては、これまで市町とか、あるいは農業共済事務組合でも配布が始まっているところでございますが、それは20kgの袋を10袋程度配布をしておりますけれども、こういった既に市町が配布したものも含めて、まずは全農家へ平均して70袋程度の消石灰の支援を考えておりまして、関係市町にもご理解をいただき、そして交付金のような形でご協力をお願いしてまいろうと考えております。このほか、補正予算におきましては、万が一、本県で口蹄疫が発生した時の初動体制といたしまして、発生農場を含む全農場に対する消毒薬の緊急散布や、家畜の殺処分、それから消毒検問所の設置、こういったことがすぐに対応できるように、その経費につきましてもあわせて計上する予定でございます。このような補正予算のほかにも、殺処分をしました牛・豚等の埋設予定場所でありますとか、防疫資材の供給場所の調査、獣医師の確保などの事前対策を進めてまいりますとともに、子牛の確保策として、全国の種牛、種雄牛(しゅゆうぎゅう)と言いますけれども、この種牛や子牛についての情報収集と提供、それから既に設置をしました経営相談窓口、こういったことの運用を実施してまいりたいと考えております。さらに国に対してでございますけれども、ブランド牛対策として、各県における子牛生産体制確保への支援、それから畜産農家への経営支援、風評被害の防止、シカやイノシシなどの野生獣を介した感染の防止などにつきまして、本日副知事を上京させまして要望を行っているところでございます。こういった対策によりまして、関係者の不安感を払拭するだけでなく、消費者の皆様の安心感にもつなげてまいりたいと考えております。最後に申し上げますが、口蹄疫は人へは感染をいたしません。口蹄疫に感染した肉などが市場に出回るということはありません。万が一摂取をしたとしても人体には影響がございません。県民の皆様には、風評被害が発生しないよう、冷静な対応をよろしくお願いを申し上げます。
2.質疑応答
・発表事項等に関する質疑
・普天間問題について
・政権の枠組みについて
・内閣支持率について
(質)口蹄疫について、知事が一番心配していることと、何を一番最優先にして感染防止に努めていきたいというお考えなのでしょうか。
(答)宮崎では既に非常事態宣言を出して、一生懸命口蹄疫を封じ込めるための対策を国と連動しながらやっているところでございますけれども、未だその発生が止まっていない、拡大が止まっていないという状況でございます。まずは、国の本当に非常事態だという、そういう位置付けで国も挙げてこの口蹄疫、これをまず封じ込めてしまうということを最優先でやるべきだと、こういうふうに考えているところです。先ほど申し上げましたように、このことが及ぼす影響というのは全国に及んでいくわけでありますし、口蹄疫が万が一拡散していくということになりますと、事態によってはもう日本は未来永劫口蹄疫の発生が継続されていく地域だということになりかねません。そうならないためにも、今回、この宮崎県の発生をきちんと封じ込めてしまう、このことが大事でございます。
(質)副知事が上京して要望するということですけれども、子牛の生産体制の確保の支援というのは、これは具体的にはどういう支援をお願いするのですか。
(答)具体的には、農水省でどういうふうに対応するのか具体的な良い方法を考えてもらいたいと、こういうふうに思います。ただ例えばの話で申し上げますと、一つは、子牛生産につきましては母牛に種を付けて、それで子牛生産するわけでございますけれども、農水省では子牛価格の安定のために、この母牛の数を調整しているところでございます。そういうふうにお聞きをしておりますだけに、今回宮崎で発生し、そして九州での市場がほとんど閉められてしまっているという状況から、全国の子牛の不足ということが心配をされているところでございまして、そういう意味では、こういった母牛については今後しばらくの間、全国に子牛がうまく供給されるように、これは農水省自体が取り組んでいただけることではないかなと、こういうふうに思っております。
(質)殺処分したその家畜の埋設場所の調査の状況はどんな感じなのでしょうか。
(答)まだこれは関係の市町としっかり連携してやっていかなければなりません。担当部のほうでそういった対応について取り組んでいるところでございますけれども、例えば松阪とか伊賀とか、特にこれは豚についてももちろん同様でございますけれども、大きな農場、飼育頭数の多い、そういったところで万が一発生したときにどうするかということについて、関係市町とも連携しながら対応していくということでございます。国のほうでも先般、緊急に法律も作られてきておりますので、国とも連携しながらやっていくということにもなるかと思います。
(質)消石灰を無料配布するとありますが、これはいつから配布するのかということを教えていただきたいのと、これまで県は配布する必要はないという立場だったと思うのですけれども、どのタイミングでなぜ配布を決めたのかということと、風評被害を止めようということですけれども、配布することによって、また危機感をあおるということになるかもしれないと思うのですけれども、その辺についてはどうでしょうか。
(答)既に各市町で配布をしてきているところでございまして、これの配布している市町が全てで、16市町で配布をしてきているところでございます。しかし、この配布と言いましてもかなり出費のかさむものでございますし、市町から県と連動して対応できないかということで、いろんな支援策についての要請もあったところでございます。そういうことにつきまして、県のほうもかねて少し検討してきたところでございますが、市町がバラバラに既にその対応に走っているということから、当初、県のほうが直接、農家に配布するということも考えたのでございますけれども、これは既に配布をされていることとの調整をどうしていくのかということがございます。そのことによって市町に対する県の対応がバラバラになって、市町にとっては不公平感があったりとか、そういうことがあってはいけません。それで次に補助金等で対応するかということも考えました。しかし補助金で対応した場合に、もう既に配っている市町のそういったものに対して補助金を充てるということは会計学上もちょっと無理が生じてくるのではないかということで、それで交付金という形で市町にお金をお渡しして、それで過去の分も含めて市町のほうで今後の対応を考えてもらうと、こういうやり方にしたほうがいいのではないかということでございます。大体先ほど申し上げましたように、一農家20kg袋を70袋程度を予定しますと、総額で約6千万円ぐらい(※)、それぐらいになってくるところでございます。これについて今度の6月の県議会の冒頭、これについて県議会のほうにお諮りしたいと思っています。既に配っているところにもこの交付金は活用できますので、非常にそういう意味ではこのほうがいいのではないかということにしているところです。(※この額は、宮崎県での口蹄疫の継続状況をみながら検討する追加配布を含めての総額です。)
(質)70袋という、その配布の数は、何かその数については理由があるのですか。
(答)これは、ただ1回やるというわけではなくて、何次かに分けてやらなければならないということで、とりあえずその何回かができるように、というために70袋ということにしたのです。担当のほうからもう少し根拠的にあれば言ってください。
(答:農水商工部)70袋の根拠ですけれども、一昨年ですけれども高病原性鳥インフルエンザの時も同様に石灰の散布を行っていただきました。その時の数値から平均を割り出しております。それとあと、具体的な方法ですけれども、畜舎の周りに石灰の帯を作っていただくというような散布の仕方をしていただきますので、二重の帯を作っていただくということで平均的な農場さんの大きさでいきます。それで、散布量の基本からいってその数値になります。
(答)何回かに分けてというのは。
(答:農水商工部)何回かに分けてできればということで、それは農場さんによって、サイズによってかなり変わってまいりますけれども、とりあえず今回の1回分の配布量ということでお願いしてございます。
(問)いろいろと調整が難しかったということは分かったのですけれども、それでも県の対応が遅いというふうに見る向きもあると思うのですが、これについて知事はどのようにお考えでしょうか。
(答)私は今回の状況はとにかく宮崎に集中して、徹底して口蹄疫の封じ込めをやるということが何よりも最優先のことでございます。確かに三重県内ではブランド牛をはじめ、大変その影響を懸念したり、まず第一には子牛が九州から入ってこなくなったというようなこととか、万が一起こったらどうだろうかと、そういう不安、動揺が根底にあったと思うのですけれども、私ども行政としてはしっかり冷静に、着実に、いざというときにはどうするのかということも含めて対応していくことが必要だと、こう思っているところでございます。そういう意味では私は、今までの県の対応はこういったものかなというふうには思っております。特に遅れたとか、そういうことではなくて、ただ市町等からも強い要請がございますから、そういったことにも対応しながらやっていくということでございます。県のほうからかえって騒ぎをあおるようなことにしてはいけないと、こういうふうに思っているところであります。
(質)今、そうすると、防疫対策のフェーズは今のところは変わっていないというふうに思っていいですか。対策の段階が上がっているというふうにはなっていないという解釈でよろしいですか。消石灰を撒いてもらうという対策をとるけれども、いわゆる感染の危機が高まっていると、そういう意味ではないというふうにとっていいですか。
(答)そうですね。各農家、各市町においても念のためにというような部分があるのかなと思います。宮崎県で発生しているその地域の周辺とか、あるいは隣の県、鹿児島や熊本、こういったところと、今現在の三重県とはそれはもう全く対応の仕方が違うのではないかなと、こういうふうに思います。したがって、いざ発生してくる危険性が高まったら、これは例えば塩素系の消毒薬の配布とか、そういったことも考えていかなければなりません。先ほど申し上げましたように、今度の補正におきましては、万が一というときにすぐ初動体制がとれるように、いろんな事前に準備できるものについてはその準備をしていくとか、そういうことでございますけれども、これは発生経路・発生原因も特定されておりませんから、したがってリスクとしてはいつでも起こりうると、それから宮崎で起こったやつも、隣の韓国がどうだとか、何とかというようなことを言えば、これは1年365日いつだって、やはりそういうリスクはあるというふうに認識しなければなりません。そういうリスクと、今現時点での三重県のリスクがどうかということについては、これは私のほうからはなかなか判断しにくいところでございます。ただ現実には宮崎の牛が結構全国で移動して、子牛が先ほども言いましたように、三重県では235頭、4月1日から4月の終わりまでに入ってきているわけです。ですから、そういったところのリスクの追跡、これはしっかりしておかなければいけないと思います。今のところ、そういったことでの三重県での発生ということについてはないということを確認してきているところです。
(質)計上する対策費、消石灰が約6千万円ということで、全体でいうとどのぐらいになるのでしょうか。
(答)これはまだ県議会のほうにも申し上げていない、県議会へこれからご相談申し上げていくということですが、1億5千万円ぐらい(※)になるかもしれませんね。(※知事は「1億5千万円ぐらい」と発言していますが、後に「1億2千万円ぐらい」と訂正しました。)
(質)先ほど侵入を許さないということで対策していくというふうにおっしゃったのですけれども、具体策何か、今まで無かったもので、こういうことを新たに加えていこうというものがあればお示しいただけますか。
(答)万が一起こった場合にどうするか。
(質)じゃなくて。侵入を許さないというふうにおっしゃいましたけれども。
(答)その気構えを私もしっかり持ちながら対応していきたいと、こう思いますが、宮崎での発生原因とか、そういうのは分かりませんから、そういう意味ではリスクがないわけではありませんから、それにしっかり対応できるように県の関係部の対応をやっていくということでございます。それがためにも、普段の今できる対応の仕方、消石灰を置くとか、そういったことありますけれども、いざというときに、例えば三重県でなくても隣県で発生をした、発生が広がった、そういうときの対応の仕方というのは、またもう一つ、一段重いものがあるのかなと、こういうふうに思います。大体、口蹄疫発生ということでは段階的に対応を考えなければいけないと思うのですけれども、県内で発生していない、そういう状況の中で、これは平静、定期的に消毒もやっているところでありますけれども、飼育するそういう衛生管理状況等について、いろいろとチェックしていくということだと思います。それから、宮崎県以外に拡大してきたという場合には、今県庁舎に対策会議を設置しておりますけれども、私が本部長になるような対策本部、こういったものを状況を見ながら適宜設置をしながら、いっそうの侵入を防止するための防疫体制の徹底をしていくということがあろうかと思います。それからもう少しきつい段階を考えますと、例えば隣県で発生をしてきた、その移動制限区域が三重県にも20kmとかいうような距離の中でかかってくるとか、あるいは搬出制限区域、これが三重県にも及んでくるということになりましたときには、これは法に基づく強制的な消毒・防疫措置、こういったことも必要になってくると、こういうふうに思います。私どもとしては、今後そういった状況に合わせて、どういう段階でどういうことまでしなければいけないのかということを、今検討をしているところでございますし、今回提出を予定しております補正予算につきましては、いざというときにそういう体制がしっかりとれるように必要な経費については計上しておこうと、こういうことです。
(質)先ほどの1つ前の質問の、県の対応が遅いのじゃないかという、それはそれでいいのですけれど、ただ昨日赤松農水大臣が宮崎県である程度謝罪めいたことをされたと、そういうことから言えば、知事としては当初の農水省の対応というのはやはり謝罪に値するような、遅かったという感じはお持ちですか。
(答)まず伝え聞いているのでは、3月の末にそれらしき症候の牛というものを宮崎県の家畜衛生所が診て、その時の判断まで戻りながら初動体制についてどうだということも言われているところであります。結果として、私はその初動体制の遅れということについては残念でなりません。そして、その宮崎県がとらなければならない初動体制に対する国のやはり支援・指導も、例えば家畜伝染病予防法、これも60年も前にできた法律でありまして、当時それまでは家庭で、農家が1頭、2頭とわずかな量を飼育していた、そういう状況と今日、何百頭、何千頭、あるいは豚においては何万頭というような、そういう大変大きな牧場が経営をされている、そういう状況とは全く違うところでございます。そういう意味では法律に基づけば県の対応のほうがより重大だったのかもしれませんけれども、しかし農水省は、そういうことに対する県への指導なり、支援、これは口蹄疫という重大な緊急性を持つ課題についてはもっともっと機敏に対応すべきだったのではないか、結果としてはそのことも合わせて悔やまれるところでございます。
(質)繰り返しになりますけれども、先週の市町担当者の連絡会議で、総括室長は、宮崎県以外に拡大していない現状においては、県として消石灰を配布するということは考えておりませんと、市町がやっているのはどうぞ自主防疫としてご自由に判断してやっていただければ結構ですというふうに市町の担当者に回答しているのですけれども、それが1週間後の今日になって変化したというところの決め手になったのは何なのでしょうか。
(答)これはリスクに対する受け止め度合い、こういったものもあるのかなと、こういうふうに思います。先ほども言ったように口蹄疫というものについては、1年365日、あるいはもうずっと常時という意味でありますけれども、その発生のリスクがないとは言えないところでございまして、だからこそ宮崎でああいう形で発生をしてきたということでございます。近くと言いますか、国内でそういうのが発生してきているということに対するリスクの受け止めの程度が違うと言えば違う。しかし現実には、じゃあ具体的にどういうふうに侵入してくるのか、それはその侵入経路等やそういうのは分かりませんから、市町が念には念を入れて事前に配布もしてきているところでありまして、先ほど申し上げたように16の市町でやはり自分のところもやらなければいけないのではないかという形で全県的に広がってきているわけでありますから、県としてはそういった市町との連携を考えるならば、県が、特にまた市町が財政的にも非常に厳しい中でそういうのをやっているということですから、連携・共同してやっていくということが大事でございまして、状況に応じて県の判断をしてきているというところでございます。
(質)あと確認なのですけど、5月3日に県の職員の獣医師を7人派遣されて、6月に12人というのは、これは枠として19人と捉えるのですか、それとも12人の枠で6月は行くということですか。
(答:農水商工部)具体的には5月の派遣の7名については延べということになります。それから6月の獣医師の12名につきましては、それぞれ1週間に3名ずつというような格好で4回に分けて、というようなことで派遣を考えております。
(質)ということは、6月中に宮崎県に行っている獣医師というのは12人ということ?6月トータルで。
(答:農水商工部)そうです。
(質)要は7人は戻ってくるわけですね、5月の。
(答:農水商工部)もう戻ってきております。
(質)県庁の獣医師の母数はいくつですか。
(答:農水商工部)家畜保健衛生所の獣医師になります。現在49名、約50名でございます。
(質)農水(農水商工部)にもいるよね。
(答:農水商工部)農水(農水商工部)です。
(質)あと健福(健康福祉部)にもいるわね。
(答:農水商工部)そうです。
(質)これは健福(健康福祉部)と合わせた数ですか。家畜(家畜保健衛生所)だけ。
(答:農水商工部)家畜(家畜保健衛生所)のほうだけです。
(質)経営相談窓口なのですけれども、これは子牛の確保ということと、あと防疫に関することの両方の意味で相談を受け付けますよね。
(答)今後どういう課題が出てくるのかということは分かりません。ただ今後相談項目として及んでくる可能性があるのは、例えば経営そのものの、特に資金とかそういったことも今後は出てくる可能性はあると、こういうふうに思っています。まだ実際、運用を始めたばかりでありますし、今すぐからそんな頻繁に相談がたくさんあるということになるかどうか分かりません。状況を見ながら、そして全庁的な対応が必要なものについては、さらに全庁的に連携を取りながら対応していくということになります。
(質)話が随分変わってしまうのですけれども、先日の全国知事会議で普天間の問題が取り上げられたかと思いますが、こういった議題が知事会議で取り上げれられたことについて、知事としてのお考えをお聞かせください。
(答)先般知事会のほうに鳩山総理も来られまして、それでこの普天間の問題等に絡んで沖縄県の負担軽減での協力依頼ということでお話をされたところでございます。この知事会開催の前に知事会の戦略会議を会長とそれから10名ほどの知事さんで持ちました。私もそれに行っておりましたけれども、なぜこの期に及んで、議題そのものについてはいろんな捉え方、知事会としても捉え方あるだろうし、しかし、またその時期的なものを考えてもなぜというような、そういう中での議論もございましたが、会長のほうは、たっての総理の希望でもあるということであり、そういうことから開催をするということになったところであります。私はこの問題については、各県の知事も大変強く関心を持っている課題でもあると思います。もちろん都道府県でのそれぞれの県政の直接的な課題になるかならないかということについては、いろいろ府県によって差があるのかなと、こういうふうに思います。確か当日18の県は代理であったけれども、あとは知事本人が出席いたしました。私ども戦略会議の時にはどれぐらい知事さん出席いただけるのかなということについても少し心配をしました。しかし、あの急な知事会ということからすれば、この1年でも1番出席が少ない知事会とタイ記録だとかいうようなことが新聞にも載っておりましたけれども、そういう意味では随分たくさんの知事さんが出られたなというのが率直な思いでございます。この課題がこの時期ということでありましたから、その後の動きを見ても分かるとおり、もう国の政権そのものにも関わるそういう重要課題でございました。そんなことで私も鳩山総理が来られてその話をしっかりお聞きをしたところでございます。私はやはりお話そのものについては、総理の非常に温厚なご性格も出ているし、かなり率直にいろいろ言われていたそのことはしっかり受け止めたところでございますけれども、しかし、鳩山総理のこれまでの状況というのが、確かに安全保障に基づく大変難しい課題であったとは言いながら、沖縄県民に過大な期待をさらにあおり、結果として旧来の案に近いところで落ち着くというような、そういった状況というのは、今日政権に対して政治と金との問題だとか政治不信のそういった課題もある中で、さらにいっそうその不信感を強めることに結果としてなってしまったのではないかなと、こう思っているところでございます。私は、ちょうど知事会の当日、仲井眞沖縄県知事が資料を持って来られまして、その中で沖縄の中での米軍基地は県土の10.2%とは言いながら、沖縄本島におきましては18.4%もあるんだということで、これ大変なことですが、それ以上に驚きましたのは、過去5年間で米軍関係者による事件とか事故、犯罪、交通事故、こういったものの件数、これが1,549件起こっておりまして、これは年平均では310件、月平均でも26件に及んでいるというようなことをお聞きいたしました。そういう意味では県民の皆さんが日常的に騒音とか振動とかいうことはもちろんですが、今申し上げましたような事件、事故、こういったものも多く起こっている、そういう不安を持ちながら生活をしているわけでございますから、そういう意味での沖縄県民の皆さんの痛み、これを改めて私も強く受け止めたところでございます。ただ安全保障・防衛につきましては国の専管事項でもありますから、在日米軍あるいは自衛隊、こういったことの再編も含めて、これは国家の防衛のために、例えば戦略上の規制的な問題もいろいろ出てまいりましょう。そういう意味では基地の移設とか、あるいは訓練の分散移転だとか、そういうことについてもやはり国が十分に熟慮をし、そして国の責任において一貫した方針をしっかり打ち立てて、そしてその上で具体的には関係してくるそういう市町にしっかり理解を求めながら対応に当たっていくということが大事なことであろうかなと、こういうふうに思います。具体的な提案とかそういうことについて、どういうものがあるのかというのが分からない中では、知事会の受け止めも、その後知事会としての考えをまとめ、打ち出すのに少し議論をしたところでございました。しかし、この問題についての知事会としては、一定のそういった考え方を打ち出したところでありますけれども、地方という立場からいけば都道府県だけではなくて、市町村のこういった立場もありますから、私どもとしてはより市町村のそれぞれ、もしも具体的な提案に該当するところがあるとしたら、そういうところの対応というのはより大変であるし重要であると、こういうふうに思います。
(質)総論賛成、各論混乱になっていた知事会後の話なのですけれど、仮にその三重県として手を挙げるのか、これを聞き置く程度なのか、あるいは検討に値するのか、その辺は知事はどういうふうにお考えですか。
(答)三重県は、具体的にこの在日米軍に対する何か役割を果たすような状況というのは基本的にあるとは思っておりませんし、三重県では今自衛隊の基地がいくつかございます。明野駐屯地で約1,000名、それから久居の駐屯地で約1,200名の自衛隊の皆さんがいらっしゃいまして、国家防衛、あるいは地域では防災の時の緊急の支援なんかもしていただいております。航空自衛隊も笠取山の分屯基地がありますし、白山の分屯基地もございまして、この2つで360名くらいの航空自衛隊の方もいらっしゃいます。ですから、三重県内で自衛隊の方は2,560名おられ、これは地元の市町もいろいろ連携協力しながら自衛隊の皆様には国の防衛にあたっていただいているということでございます。国の安全保障に係る問題でありますから、それは戦略的に、国家的にいろいろとしっかり対応を考えていかなければなりません。これは我々がむしろどうだというよりも、国が専管事項としてしっかり考えていくべきことでございます。
(質)たらればの話になってしまうかもしれないのですが、もし仮に、三重県、米軍受け入れてくれよ、というような話が国のほうから出た場合というのはどのように知事としてはお考えなのでしょうか。その沖縄で月26件くらいの犯罪があるという事実がある中で、日本という国から国防のために三重県犠牲になってくれよという話がもし仮にあった場合には知事としてはどういうお考えか教えて下さい。
(答)国の存立に関わるその安全保障のこういった課題でありますから、したがって、国が基本的にしっかり考え、戦略的にも考え、そして全体の対応を考えるべきことであります。記者の皆さんがおっしゃったようなそんな前提条件で考えるような課題ではないと、こういうふうに思いますからお答えはできません。
(質)政権が、枠組みが変わったということに関して知事の所感を。
(答)社民党が連立政権から離脱するようなことを決めたというふうに聞いています。実際にはもう離脱したのですか。それで、これは今回のこのことが直接的な機会になっておりますけれども、社民党そのものの防衛政策については、かつての非武装中立をとられたり、自衛隊の存在についてもかなりいろんな議論をやってきたと、そういう流れの中で、連立した当時の安全保障政策について民主党と基本政策で合致していたとは思いがたいところがございます。しかし、そうであっても連立を組んだのでありますから、その中でできるその調整というものについては、これは言うに政治的な問題でございます。そういう中で鳩山政権においては、必要だと考え連立を組んだ社民党とのそういった政治的課題をしっかり解きほぐすことができなかった、あるいはそれに対する対応が政治的にできなかったと、こういうことになるのだろうと思います。
(質)それに関してなのですが、内閣の支持率がだいぶ低下している、この問題についてはどのような、あるべき姿といいますか、どういうことを求められますか。
(答)私は、この政権といいますのは歴史的な使命感を持ってそれを発揮していかなければならない政権だと、こういうふうにも感じてきたところです。自民党政権がずっと続いてきた中で、私は、最後の麻生内閣、これは小泉政権等に象徴されるようなそういう流れを変えていこうという政策を、これを打ち出してきた内閣でもありましたので、私なりにその評価もしたところでございますけれども、しかし、残念ながら内閣に対する国民の支持信頼というものが無いために、その後行われた総選挙においてこれだけ大きな逆転をし、民主党政権が誕生したところでございます。麻生政権が旧来の自民党政治を変えていこうということについては、まあ政策的ないろんなそういう取り組みというものもあったところでありますが、民主党政権においては、いわゆる官僚主導に基づくこれまでの枠を根本的に変えるとか、あるいは国の無駄というものを事業仕分け等もやりながら徹底してあぶり出していく、そういう手法もとっているところでございます。これまでのやり方から随分変わる、ある意味では過激な面も含めて、やり方でありますから国民の評価もいろいろあるかと思いますが、私は時代を大変革していくこの作業は大変なことだと思います。慌て過ぎて舵を急に切りすぎて船が転覆してしまうというようなことがあってはいけないな、そういう意味ではこれは政治的には非常に難しい運営を求められるのだろうと思いました。しかし、これまでやってきているところについては、私は評価できるところ、随分あると思っております。ただ、残念かな一番の問題は、今回のこの安全保障というような国の最も基本的な政策において、やはり政治的に結果としてはうまくない、そういう政治運営になってしまったこと、あるいは、それ以前に政治と金という古くて新しい課題だと言われてきたこの課題がいまだに、これだけ大きく国をチェンジしていこうという、そういう大きな課題がある時にまたそのことも出てきた。そういう意味で、この政権にとっては重い課題が突きつけられているところでございます。私はこの国のあり方という知事会での研究会もやってまいりましたように、この国はこれまでのある意味でうまくやってきたシステムを全てそれも崩壊し、また取り巻く環境も変わってきている、そういう中で政治的にはずいぶんやらなくてはならない課題が多すぎるくらいあると思います。まずはセーフティーネットですね、すべてを張り替えていく必要がございます。そういうために個々のいろんな政策というものも再設計していかなければなりません。そのためには、強い意志と、そしてしっかりした理念が必要であると、こう思います。それに基づいてしっかりした国家ビジョンを具体的に打ち出しながら個々の制度改革をやってもらいたいと、こういうふうに思っているところでありますけれども、非常に政権が、今、不安定な状況になっているということ、そのことが結果的にこれまでの空白の20年に私は及ぶと考えておりますけれども、政治的な空白の議論の期間が更に今後続いて伸びてしまうということにならないように、もうこれ以上続いたらこの国は本当に破滅状況に近い日本になってしまうのではないかなと、こう思って心配しています。そういうためにも国民もある面しっかり落ち着いて考えていかなければならないと、こう思います。いろんな小政党が乱立もしてきているところでありますけれども、いずれも私から思うと政策的には評価できなかったり、あるいはやっぱり間違った方向にいくのではないかと、そんな心配する向きもありますから、ここのところは2大政党でしっかり機能しながら、今申し上げましたような、そういったこの国の転換がしっかり果たされるように願ってまいりたいと、こう思っております。
以上