知事定例会見録
平成20年 9月26日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目等
- 熊野古道スタンプラリー並びに「平成の熊野詣(もうで)」参加者募集について(発表)
それでは、発表事項を申し上げます。この度、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の熊野古道にスポットを当てました、その魅力、これを広くPRするということで、和歌山県そして奈良県と連携をいたしまして、この10月から12月まで熊野古道スタンプラリーを開催いたします。このスタンプラリーにつきましては、昨年度の紀伊半島知事会議におきまして、私の方から本県の「平成の熊野詣」の取り組みを紹介したことがきっかけで、3県が連携して実施をするということになったものでございます。このスタンプラリーを通じまして、熊野古道の中辺路(なかへち)、小辺路(こへち)、伊勢路、この3つのルートを一体的にPRをしていきます。一方、伊勢路では、3県で熊野古道をPRし注目が集まっているこの機会を捉えまして、昨年度に引き続き伊勢から熊野までの170㎞を歩きます「平成の熊野詣」を実施します。平成の熊野詣は、歩くために必要な情報を掲載いたしましたイラストマップやウォーク手帳を事前に参加者にお送りをいたしまして、それらを持って熊野古道伊勢路の踏破にチャレンジしていただこうというものでございます。昨年度は、89名の方に踏破をいただきました。本年度もこの取り組みを継続して実施をいたしまして、伊勢路を踏破する仕組みを定着させていきたいと考えております。平成の熊野詣は、地域でまちづくり活動や歴史・文化の掘り起こしを行っている方々など多様な主体が一体となって熊野古道への来訪者をもてなし、地域にございます資源を生かしながら魅力ある地域づくりを行っていくということが狙いでございます。このイベントに活用いたします伊勢路図絵も、公募によりますボランティアや住民の方たちと一緒に作り上げたものでございまして、昨年度の率先実行大賞を受賞しております。今年もこのように、地域住民の皆さんや沿線の10市町、東紀州観光まちづくり公社と連携をいたしまして来訪者のサポートを行ってまいりますので、ぜひ多くの皆さんにお出かけをいただきたいと、こう思っております。私の方からは今日はこの件だけです。
2.質疑応答
(質)昨年度は三重県単独でこのキャンペーンを行われて、1,766人から参加申し込みがあったということなんですが、今年の参加者数の見込みというのは?
(答)分かりますか。担当の方から。
(答:政策部)今年度は3県が連携します関係で、3,000名程を予定しております。
(質)そのうち三重県では、大体どのぐらいとかは?
(答:政策部)それはまだ、3,000名のうちたくさんの方が来てくださればいいというふうに思っておりますだけで、何人ということは算定しておりません。
(質)
先日、麻生新内閣がスタートしましたが、閣僚の顔ぶれなどを見て何か印象や期待すること、要望などがあれば改めてお聞かせください。
(答)ここしばらくずっと国政が漂流してきたような、そういう印象で、私どもは毎年内閣が代わってきた、総理が代わってきたわけですね、その度にある程度期待を持ってきたわけですが、結果としては途中で投げ出すようなことが続いてきております。今回、麻生さんが総理ということになられ、新しい内閣がスタートいたしましたが、国民の政府に対する期待、これを裏切ることのないように、しっかりこの国のあり方を示しながら進んでいただきたいものだなと、こう思っております。併せて、選挙がないまま政権交代がずっとなされてきているところであります。内閣が代わってきたということです。国民に信を問うということ、これはもう大変大事なことであります。すぐ選挙ということになりますから、また国民の審判をしっかり得た上で、この国の政治がもっと、やっぱりしっかりした体制になることを強く望んでいきたいと、こう思ってます。麻生内閣そのものについては、しばらく私どもも様子を見させていただいてから、また評価していったらいいと、こう思ってます。
(質)もうすぐ解散・総選挙ということになると思うんですが、その中で何か、いろいろ課題があるとは思うんですが、争点となるべき問題は何かとお考えでしょうか。
(答)もう古い話ですが、日本がバブルがはじけて、そしてまた過去にないような未曾有の財政危機にも陥って、そしてここ十数年、政府は構造改革という名の下でいろんな取り組みをやろうとしてきたわけでありますけれども、いずれもその成果を得られずに、今も財政危機は全く、本当に危機的な状況のまま推移をしてきております。民間の経済はそういう中で、いわゆる政治的な支援ということがなかなかない中で自ら構造改革を進めて立ち直ってきましたけれども、政治の世界では国難の状況がずっと続いてきているところであります。もう十数年経ってきた状況の中で、大概にしてこの政治の方向というものをしっかり変えていかなければならない、少なくともこれまでの政治の行ってきたことの意味合いというものは、小さな改革は幾つかあっても、抜本的にこの国を未来ある明るいものにしていこうという方向には変えてこられなかった、だからぜひ、今度は政治の大きな転換を私としては期待をいたしていきたいと、こう思っています。
(質)政治の大きな転換というと、政権交代?
(答)必ずしも民主党が政権をもし取ったとしてもどういう政治を目指していくのか、はっきり見えておりません。自民党の中でもまた、いろんな主張もあるように思います。私はそういったことがきちっと整理されて、もっと分かりやすくなっていく、そして国民にしっかりそれを訴えて、国民の共感を得ながら進んでいく、そういう政治になることを期待いたしております。
(質)もっと分かりやすくというのは、例えば政界再編とか、そういうイメージですか。
(答)そうですね、この国の将来あるべき姿をどういうところに求めていくんだという、それをしっかり私としては示していただきたいなと、こういうふうに思います。はっきり言えば、低負担しかし自己責任、低福祉で、いわゆる格差問題が拡がっている、そういうアメリカだとか、そういった国を目指していくのか、高負担そして高福祉でありながら高成長を成してきたヨーロッパ型の、北欧型の、そういう国を目指していくのか、私はこの方向性すら、しっかり国民に問うてその選択を迫っていないと、こう思います。私はやっぱりそういう意味で、日本がこれからどういう国家を目指していくのかということを、やっぱり示しながら、国民にその選択を迫っていくということが大事だと思ってます。
(質)知事ご自身は、アメリカ型かヨーロッパ型か、目指されるところがおありなんですか。
(答)私は、アメリカ型というのは結局、格差問題を拡げるだけであり、あるいは自立していこうと思ったら自分でしっかり経済を稼いでいかなければならない、というものが今、アメリカ発の金融不安を巻き起こしておりますけれども、日本のようなモノづくりで汗をかきながらしっかり経済を活性化させていくというのではなくて、お金が回ることによってその利ザヤを稼ぎ、汗をかかずに金をもうけるという、そういう悪い意味での金融資本主義がまん延していく原因にもなっているのではないかと、こう思います。そういう意味で、私は今回の金融不安も含めて、しっかりこのことから学ぶものを得ていく必要があるのではないかなと、こう思ってます。
(質)文脈から察すると、知事はヨーロッパ型をどちらかというと志向される?
(答)そうです。私としては社会保障がしっかりしていて、日々の生活あるいは老後に対する不安がないということが、無理に資産を増やすという、そういうことに走らない、ある意味で金もうけだけを考えるような、そういう風潮もない、そして国民に、生活に安定感がある、そういう国が、私は日本としては望ましいんではないかなと、こういうふうに思っています。
(質)だからそれに伴う高負担というのも、ある程度止むなしということですね。
(答)もちろん、そういうことです。今の社会保障制度では、メニューがいくらあっても中身一つひとつの充実ができておりません。特に、高齢者福祉も今、切り捨て論が随分多いと言われております。それ以上に、子どもに関する社会保障の関係というのは、日本は非常に低過ぎるのではないか、あるいは介護といったことについても十分な体制になっていないのではないか、こういうことが国民の生活の中で不安に感じさせる大変大きな要素を占めているのではないかなと、こういうふうに思ってます。そういう意味では、その社会保障を、やっぱり国民が「これだけ」という一つの必要な水準をしっかり守っていくことが大事であるし、今の状況では放っておいても高齢化が進んでいっておりますから、その高齢者の分だけでももう社会保障の必要額が自然に増えていくという状況です。ですからそういう中で負担を増やさないということになりますと、どんどん切り詰めていくことばかりが先行していくということになります。そして、そうなりますと自分が自分を守らなければいけない、自分で自分の保障をしていこうということになると、なおのこと金融商品に走ってしまうという傾向もあり、悪循環を起こしていくのではないかなと、こう思います。
(質)昨日は望月副知事が退職されるという発表がありまして、10月3日付けで総務省に復帰されると。その望月さんの退職に当たって何かありましたら。
(答)今回、麻生内閣が誕生したということで、実は予想しなかったようないろんな人事の動きが出てきたわけであります。私どもの副知事でございました望月さんは大変優秀な方であり、それだけに今回望月さんを戻したいという強い要請が起こったわけであります。議会の開会中であり、私どもも、これは弱ったなと思いましたけれども、望月さんはまだまだ国のためにもっと大きな力を出して働いていただかなければならない方でありますから、望月さんの将来のことを考えますとこれは受けざるを得ないということで、認めたところでございます。
(質)後任の人事に関しては?
(答)まだこういう事態になったすぐでございますので、後任については、今その後任を検討しているところでございまして、なるべく早く決めていきたいと、こう思っております。一応、案が固まりましたら、議会にも相談申し上げていきたいと、こう思っています。
(質)やはり国の方からということになるんですか。
(答)まだ今、そういうことも含めて考慮中ということでございます。
(質)それは、総務省に当たっているということで考えていいんですか。
(答)人事のことですから、申し上げられません。
(質)知事が考える、2年余りの望月副知事の功績の中で、一番三重県のためになったなと言いますか、具体的にございましたら。
(答)そうですね、私にとりましては、副知事は大変大事な助言者でもあります。大きな県政の課題につきましては、今は2人の副知事にいつも意見を求めながらやっておりますし、以前は副知事とそれから出納長という立場でありましたけれども、私の助言者としていろんな意見をいただきます。望月さんもそういう意味では、総務省という国の行政マンでもあったということから、大変貴重ないろんな意見を言っていただきまして、私にとりましては大変すばらしい副知事であったと、こういうふうに思っております。
(質)副知事が2人制になってから半年ぐらい経つわけですが、何か格段に改善された点とかいうのはありますか。
(答)副知事が2人制になりましたことによって、県政の、大変広い行政の範囲を大きく2つに分けて、二分いたしましてそれぞれの副知事にその半分、半分を主体的に考えてもらうということにもしたところでございます。そうすることによってもう一つ、私自身が最終的には全てに責任を持つといたしましても、それぞれの部門でそれ以前にチェックできるところはチェックしてもらい、いろんな形で担当とも意見交換をして詰めてもらっているというところもございまして、そういう点では今までとかなり変わったということが言えると思います。
(質)一言で、望月さんのおられた時の印象というのはどんな感じですか。私なんか、よくジョギングしてるなあ、という印象しかないんですけど。
(答)望月さんはかなり三重県内のいろんな所へも行っていただいて、本当に、三重県のことをまず知る努力もしていただき、そしてそれぞれの地域に親しんでいただいていったのではないかなと、こう思います。望月さんは伊勢の地元学の検定も取られたりしまして、今や三重県人以上に三重県のいろんなことをご存じいただいているのではないかなと、こう思います。そういう意味では、「みえけん愛」をかなりしっかり持っていただいたのではないかと、こう思っています。
(質)議会がよく言っている、地方主権の時代でもあるから、そろそろ国からというのはポストを返上したらどうかという話をよく言ってますが、今回を機にそういうことというのは、今のところはお考えの中にはないですか。
(答)人事に直接影響するご質問でありますから、お答えいたしません。
(質)誰を、と聞いているわけじゃなくて、制度について聞いているんですけど、それもだめですか。
(答)答えは変わりません。
(質)次期副知事の理想像は、どういう人物というのはありますか。
(答)やっぱり素晴らしい方に、と思いますけれども、もうこれ以上は突っ込んで答えません。
(質)
先日愛知県と静岡県が、県税収入が今年度と来年度とで大幅に減少するというようなことを言っていましたが、北米の景気減速で三重県の財政に与える影響というのはどの程度のものか、お伺いしたいんですが。
(答)三重県もここ数年、非常に順調に経済がますます元気になってきたところでございました。平成19年も県税収入は過去最高になっていたということで、大変良かったのでありますけれど、やはり今年になってからはまず、非常に原油が高騰した、あるいはそのことがいろんな影響をもたらして、まず食料、穀物が非常に高くなったとか、原材料が高くなった、そういうことがじわじわと県内経済にも影響をもたらしてきたのではないかなと、ですからそういう意味では、今年は来年に向けてかなり厳しいのかなと思っていたところに、さらに今回のアメリカ発の金融危機が発生したということであります。リーマン・ブラザーズの破たんの影響そのものは、地元の銀行でも若干影響があるようでありますが、そのことが直ちに県内経済に大変影響を及ぼしているというような状況は聞いていないところでございます。ですが、ここら辺は今後もよく状況を見てまいりたいなと思います。ただ県内の状況としては、他県と比べますとまだまだ投資意欲を持っている企業、事業所が幾つかございまして、この辺は今の経済状況にありましても、あまり直接的な影響を受けずに今後も新規投資が続いていくのではないかなと、こう思っております。したがいまして、そういう部門への期待は持ちながらも、しかし全体としては今年、そして来年へ向けての影響はかなり税収等にも起こってくるのではないかなと、こういうふうな感じを持っております。
(質)今年度の当初の税収見通しを下方修正するという状況にありますか。
(答)まだちょっと、財政当局からよく聞いてその上で判断していかなければなりませんけれども、かなり注視をしながら捉えていきたいなと、こう思います。
(質)金額としては大体、来年度の税収減はどの程度のものになるとお考えですか。
(答)ちょっと、数字を今申し上げられるような資料を持っておりません。
(質)もし数十億、数百億という税収減が出てくるとすれば、今予定されておられる「美(うま)し国おこし・三重」であるとか、新博物館建設であるとか、そこら辺の計画にも見直しを加える必要があると思われるんですがどうでしょうか。
(答)三重県の経済状況から、数百億円とかそんな規模にはなりませんけれども、したがって額としてはどのぐらいの影響が出るのか、そして税収が減れば減ったで、今、国の交付税措置が75%ございますね。ですから、県税収入の減そのものが純減となっていくわけではありません。
(質)4月に開設されたイノベーションセンター等、あれは税収とかに直結するものではないんですよね。
(答)これはまだ今年スタートしたばかりでありますし、順調にその取り組みは進んでおりまして、ネットワークもどんどん拡がっているのかなと思います。これは知識集約型産業構造への転換という、未来への投資環境を作っていく、こういうことでありますから、直接的に税収に影響したりとかいうことではありません。
(質)
財政健全化法による4指標の、各自治体のレッドカード、イエローカードに当たる所というのは今後、もうすぐ発表されるかと思うんですけれども、それで国は地方に財政を立て直すように求めてきているんですが、一方で交付税というのはほとんど減らされている状況で、これまでの国の地方財政政策に対する問題点と、あと知事が望むことを教えていただきたいんですが。
(答)国は、自らの財政再建をやらずに地方を問題にしたりしているわけです。無駄遣いをなくして、そして税金を効果的に使う、このことはもちろん大事なことでありますけれども、しかし地方よりも、最も財政危機に陥っている国そのものがきちっと立て直しをしなければ、その国の財政構造に地方はどっぷり漬かっているわけでありますから、地方の努力で地方だけが財政再建できる、そんなことはあり得ないことであります。私としてはポイントがずれているのではないかなと、こう思います。ただそうは言いながら、地方がそれぞれどういう立場にあるのかというのを見る、そういう意味での財政の透明性だとか、情報公開というような、そういう観点からも意味合いはそういう意味ではあると思います。三重県の場合には、歴代ずっとそんな無駄な投資もやらずに来ていますから、そういう意味では、全国対比で見ても借金は本当に少ない県の一つでありますし、そういう意味ではもちろん健全化指標も問題ありません。多分、市町においても三重県の場合には、まあまあ全体としてはそう悪くないのではないかなと、こう思っております。いずれにしても、またそのうちに全国のいろんな状況というのが発表になってくるでありましょうから、それを見てまた、県として対応しなければならないところがある場合には対応していきたいと、こう思います。
(質)ちょっと別の質問になるんですが、小泉元総理が今期限りで政界を引退する意向を固めたということですけど、これに対してまず知事がどう捉えていらっしゃるのかということと、三位一体の改革を含めて地方に対する影響も少なからずあったと思うんですが、小泉改革に対する評価を改めて教えてください。
(答)小泉さんが引退されるということは新聞で見ましたけれども、まことに結構なことではないかなと思います。政治が世代交代していくということは大事なことであります。それから小泉改革につきましては、先程申し上げたように、ここ十数年の政治漂流の一番大きな原因を作ったと考えます。郵政改革であるとか、いろいろと国民に改革という言葉で期待を引きつけ、人気は良かったのでありますけれども、そのことが結果的にはこの国難と言われる、国の本当に大事な改革を見えなくさせてきた、そういう意味ではまことに残念なことであります。しかも目指した国家像は、竹中平蔵さんらとともに、いわゆる失敗になったアメリカ型の金融資本主義社会であったということでありますから、そのことも我が国においては格差を拡げ、今の社会でのいろんなひずみを起こした原因にも結びついたのではないかなと、こう思っております。個性的には、私も以前国会議員としてお付き合いしまして、とても魅力的な方でありますけれども、政治的には全く評価できない結果であると思います。
(質)地方に与えた影響という意味ではいかがですか。
(答)地方にとってあんまり良くなかったのではないですか。基本的には地方分権ということも実質進んでおりませんし、しかしそれが小泉さんのせいなのかと言ったらそれは官僚機構の難しさもあるわけでありましょう。しかし、郵政だとか特定の改革にあれだけ力を入れるのであれば、もっと成すべきことはたくさんあったのではないかなと、そういう意味では地方にとってそんな大きなメリットがあったとは思いません。
(質)
三重県立博物館、新博物館の建設計画ですが、この前、明確に140億円という数字が初めて出てきましたけれども、改めて公約にも掲げられたこの思いを、本気度とその意気込みの程を知事からお聞かせいただきたいなと思っているのですが。
(答)140億円というような数字は出しておりません。新聞が勝手に書いていましたね。私どもは1万2,000平方メートルのうち第一期分1万平方メートルで、それに係る所要経費を120億円というふうに見込んで、先般議会の方へ申し上げたところでございます。財政面、大変厳しい状況の中で、これらについてどのように資金を調達していくのかということについても追々また申し上げてまいりたいなと、こう思っております。どちらにしろ大変厳しい、苦しい中であります。その厳しい、苦しい中でのやりくりの中で、やはり子どもたちの未来のための投資として、私は博物館は欠かすことのできないものであろうと、こう思っております。そういう意味で、しっかり県民の皆さんにもご意見をいただきながら、議会でもご議論をいただきながら着実に進めてまいりたいなと、そういう思いでございます。
(質)ハコ物行政に対する行政への批判、なぜ今と思われる県民の方もいらっしゃるかもしれませんし、ただ造られるなら中途半端なものではなくてしっかりしたもの、何か収蔵部分がひょっとしたら縮小するかも、みたいなお話も出てきたりしてるのですけど、その辺りのところで、「いや、やるんだ」という、どの辺りのお気持ちなのかなと。
(答)ハコ物行政というような、そんな発想は全くありません。無駄なものを造るというような、そういうことは旧来ハコ物行政として批判された対象であろうかと思います。しかしハコ物がいくら駄目なのだと言っても、例えば警察署は老朽化して、なかなか直しも補修もきかない、そういう意味ではハコ物抑制した、ただ単にそういう単純な言い方でハコ物抑制をしたおかげで、まだその当時に造っていればわりと造りやすかったのが、今になって大変な状況の中で、それでもやっぱり造っていかなければならないのです。ですからどうしても必要なものは必要だということで、これは淡々と行政展開していかなければいけない、こういうふうに思います。そういう角度から見て博物館は必要だと、私は申し上げているところであります。
(質)
先日、北京五輪で活躍された吉田選手と小椋選手がいらっしゃいましたけれども、お会いになっての印象を教えてください。
(答)二人ともとても明るくて素晴らしい方ですね。そして何よりも吉田選手には金メダル2連覇ですから、すごい偉業を成し遂げられた、まさに王者の風格ということを申し上げたのでありますけれども、次のロンドンに向けても3連覇しっかり目指していきますということを言っておりましたので、さらに彼女に対する期待が高まりました。それから小椋久美子さんは残念ながらメダルを取れなかったのですが5位入賞ということで、良かったと思います。非常に、お目にかかっても「オグシオ」の人気がすごいですけれども、本当に晴れやかな方だなと、こういうことを思いました。オグシオチームが、コンビがどうなっていくのかということについて、少しいろいろ報道されておりますけれども、小椋久美子さんは、自分は次のロンドンに向けて頑張っていきたいのだということをやっぱりおっしゃっておられまして、そういう意味で小椋さんにも今後もご活躍を期待し、必ずそのロンドンへの夢が叶うことを祈りたいと、こう思っております。お二人に共通して、私はとても地元三重に対する思いをしっかり持っていていただける方ではないかなと、やはり故郷に対する思いをしっかり持っていただいている、そのこともお二人に対しては感謝申し上げたいし、心から敬意を表しているところであります。それからもちろん、県民に大変な喜び、感動、そして県民の誇りも与えていただいたと、こういうふうに思います。そういう意味では大変功労者であると、こういうふうにも思いました。それから昨日、伊藤智也選手、パラリンピックで陸上の400m・800mで金メダルを2つ取りました。彼にもお目にかかりました。これもとてもすごいことでありましたし、特に障がい者(※)スポーツは、障がい者のスポーツを通した自立あるいは社会参加を、これを促していくという意味でも大変意義があるものでありますけれども、伊藤智也選手には自ら障がいを乗り越え、そしてアテネでも出られましたけれども、アテネの時は入賞でありました。今回は見事金メダル2つということで、本当に障がい者の皆さんにも夢・希望というものを与えた、そして今やパラリンピックも競技のレベルは本当に高いわけでありますから、その意味でスポーツ振興にも大変、伊藤智也選手にもご貢献いただいたと、こう思っています。皆さん本当に大変な功績を挙げていただいたと、こう思っております。
(質)知事はお二人からサインをもらってましたけれども、頂いたサインはどこに飾られているのですか。
(答)色紙を1枚頂きまして、私の部屋に、執務室に置いてあります。サインのないものを書いてくれと言って書いてもらったものは、知事室の入った入口の所に今日も立てかけてありますので、帰りにちょっと見ていってください。
(質)関連で、アテネの後に元県議会議員で岡部さんがいらっしゃって、あの方が一般質問か何かで聞かれたと思うのですけど、例えば今回、伊藤さんも小椋さんと同じ賞を県が出したわけですよね。ただし別々に分けて授賞というのは果たしていいのかということを岡部さんが言われたことがあったと思うのですが、その辺は今回そういう調整はつかなかったのですか。
(答)前回アテネの時に吉田沙保里さんと野口さんも金メダルを取られて、これはかつてなかったことでありますのでどうしようかというので、そして県民栄誉賞というのを設け、それを大蔵省の造幣局(※)の方にデザイン等もお願いをし、そして準備をしたものですから、実際にお渡しするまでかなり日にちがかかりました。大体遅すぎるのではないかということで批判もいただいたのですが、それはそれだけ準備が必要であったわけです。今回はもうデザインは前回のもので同じデザインを使えばいい、ただ作るのに当然製作期間がいります。そういう中で、先方のご都合もありますから、日程調整して先般ということになりました。パラリンピックは、オリンピックが終わった後の開催ということで、またかなり日にちがずれ、しかもまた伊藤智也選手等が金メダルということで、その確定してくるのにだいぶ後になりました。ですからこれは一緒に調整ということにはならない、またオリンピックとパラリンピックは大会も違いますから、一緒である必要もないのではないかと、こういうふうに思っております。今、伊藤智也選手の県民栄誉賞については、製作途中でございます。もう注文ももちろんしてあるわけで、今作っていただいておりますが、それができてくるのと同時に、伊藤さんをはじめ入賞された方々との日程調整をして、その上でまた行おうと思っています。
(※知事は「大蔵省の造幣局」と答えていますが、正式名称は「独立行政法人 造幣局」です。)
ということは、平たく言えば健常者と障がい者を分けた形で別に授賞するということではなくて、賞品それ自身の発注が、パラリンピックは時期がずれているので、それが間に合わないからずれるということですか。
(答)それもひとつありますし、それとオリンピックとパラリンピックは、これは大会が違うわけです。
(質)でも県が与えているものは全く一緒ですよね。つまり小椋さんの賞と伊藤さんの賞は何ら差はないわけですよね。
(答)そうです。(※)
(※知事は同じ賞と答えていますが、正式名称は小椋久美子さん:三重県スポーツ栄誉賞、伊藤智也さん:三重県民栄誉賞です。)
(質)
同じ栄誉賞ですよね。
(答)そうです。
(質)楯も違いはないわけですよね、楯というかお渡しになるもの。
(答)吉田さんは今回2連覇ということで、県民特別栄誉賞という、4年前の賞とは違うわけですけれども。
(質)
RDFなのですけれども、昨日も少し出ましたけれども、桑名市長の方から29年度以降どこが主体ということで、「県が主体となることも含め」という文言を入れるということと、それから今年度の処理料金の据え置きというのが要望として出されていると思うのですが、県、知事としての考え、対応について改めてお聞かせいただきたいのですけれども。
(答)県の方から譲歩をする案をお示しをいたしましたところ、8月8日の理事会におきまして熱心に議論をされ、その上まとめられた理事会の意見を桑名市長の方からお聞きをしているところでございます。理事会のご意見であるので県としては非常に重く受け止めているというところでございます。処理委託料の改定につきましては、まずは早期に解決すべき課題であるということで、今回理事会のご意向もいただきましたので、特にその点では、早く決着できるように最終的な詰めを行っているところでございまして、早ければ10月に入ってから県の考え方をその場でお示しをしていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。なお、29年度以降のあり方については、お申し出いただいた点を踏まえて、今後検討部会を設けて市町としっかり議論・検討をさせていただいていくということが一番良いのではないかと思っております。
(質)改めてのその桑名市長の要望なのですけれども、県の考え方というのは、ある程度受け入れも考慮されているということですか。
(答)桑名市長から面会の申し入れがありまして、8月12日に私はお目にかかっております。その時、市長の方から2点要請をお伺いしております。1点は、29年度以降のあり方につきましては「県が事業主体になることを含めて」という文言を入れてほしいということ、それから2つ目に、20年度については処理委託料を据え置きにしてほしいと、こういうお話でありました。この2点につきましては真摯に検討させていただいて、そして先程申しましたように、10月になりましたらぜひできるだけ早く県としての考え方をお示ししていきたいと、こういうふうに思っております。
(質)10月の理事会ということでよろしいでしょうか。
(答)これは、理事会はそういう日程がいつ予定されているのか、今のところまだ分かりませんけれども、理事会の前にも関係者の総務運営部会もありますし、そういう場を通して市町の方にはお知らせしていくということになると思います。
※三重県では、「障害者」の表記における「害」という漢字のイメージの悪さを考慮し、平成19年6月から公文書・広報紙等において「障がい者」と表しています。
( 以 上 )