知事定例会見録
平成20年 7月 8日
於 プレゼンテーションルーム
1.発表項目
- 熊野古道伊勢路シンボルマークの募集について(発表)
- 三重県医師修学資金の貸与申込み結果について(報告)
それではまず、熊野古道伊勢路シンボルマークの募集について申し上げます。熊野古道につきましては、平成16年7月7日に世界遺産に登録をされまして4周年を迎えております。この4年間に熊野古道の来訪者のニーズというものは変化をしてきております。世界遺産に登録をされた峠だけではなくて、峠から峠へ、伊勢から熊野へ連続して歩きたいという人が増えてきているところでありまして、4年前には見られなかった状況でございます。このようなニーズに応えるために、県におきましては関係市町や地域の皆様方と協働いたしまして、ウォーク手帳とかイラストマップなどの伊勢路踏破に必要な情報を提供いたしまして、またスタンプラリー、こういったものを開催するなどいたしましてソフト面の整備を中心に行ってきたところでございます。今回、伊勢から熊野まで連続して歩いていただくための目印となるシンボルマークを決めまして、熊野古道伊勢路の道標等に活用することによりまして、シンボルマークをたどって安心して歩くことができるような環境を整備してまいります。このため、熊野古道伊勢路のシンボルマークを募集いたします。募集は、本日7月8日から8月29日まででございます。熊野古道伊勢路が連想できるような、そしてまた誰もが親しみを持てるようなシンボルマークを皆さんからぜひお寄せをいただきたいと、こう思っております。また、世界遺産登録月でございます今月、この7月には、東紀州地域の団体や施設が世界遺産登録4周年を記念いたしまして、お手元に別紙があるかと思いますが、そこにありますとおり多彩な記念イベントを開催いたしまして、地域が一体となってPRをしているところであります。皆さんにこれらのイベントにつきましてもご参加をいただきたいと、このように思っております。
次に、医師修学資金の貸与申込み結果について申し上げます。皆さんもご承知のとおり、県内の深刻な医師不足の早期解消をめざしまして、三重県医師修学資金貸与制度の抜本的な改正を図ったところでございます。本年4月から、新制度によります貸与者の募集を行ってまいりました。その結果、申請期限の6月末日までに、昨年度の5名を大きく上回ります65名の医学生の方からお申し込みをいただいたところであります。この三重県医師修学資金貸与制度でございますが、平成16年に創設をしたものでございまして、昨年度までに延べ15名の医学生に貸与をしているところでありますが、年間の貸与者は、募集枠8名に対しまして5名程度にとどまっていたところであります。このため、県内の医師不足の早期解消を目指しまして、平成20年度からは募集枠を8名から55名へと大幅に増加をいたしました。また返還免除となる義務年限を短縮をする、また勤務する診療科の制限を事実上撤廃をする、また、へき地勤務の義務のない「県内勤務医コース」を新設する、こういった抜本的な制度改正を行ったところでございます。詳しくは、お手元にお配りをいたしました「新・三重県医師修学資金貸与制度の概要」というのをご覧いただきたいと思います。さらに、県内をはじめ全国の進学校・予備校等へのPRでありますとか、三重大学医学部の新入生ガイダンス等での募集活動、さらには近鉄及びJR主要駅構内あるいは車内へのポスター掲示、そして医学生の保護者へのDM(ダイレクトメール)送付など、様々な募集活動を展開いたしまして、大幅な申込者の増につなげることができました。申請をいただいた65名の内訳でございますが、三重大学生が53名でございます。このうち三重県出身者が48名、他府県出身者が5名であります。それから、他府県の大学生が合計12名ございます。三重県出身者が8名で、他府県出身者が4名となっているところであります。それから1年生が30名ということでありますが、これに対しまして2年生以上が35名ということで、うち5年生が3名、6年生が4名となっておりまして、来年、再来年の即戦力として期待をしているところでございます。各申請者に対しましては、この7月から8月にかけまして面接を実施し、最終的な貸与者を決定する予定でございます。今後は、修学資金を貸与いたしました医学生が、将来医師として本県の地域医療の現場で活躍していただくことを期待いたしますとともに、次年度以降も引き続き多くの医学生からの申し込みをいただけるよう、本制度の一層の周知を図ってまいりたいと考えております。私からは以上でございます。
2.質疑応答
(質)熊野古道の件ですけれども、伊勢から熊野まで整備する道標などに使用するということですが、新たに何か、道標的な物を整備するということでしょうか。
(答)実は今までは、平成16年に世界遺産マークを、これは3県共通の物として作りまして、それを基に世界遺産マークというのを伊勢路道標として設置してきたところでございます。しかし今回募集いたしますシンボルマークにつきましては、いわゆる世界遺産に登録されている伊勢路そのものではなくてそれ以外の地域、すなわち峠から次の峠へ行く、あるいは伊勢から熊野へ連続して歩いていこうという場合にその峠でない所、いわゆる峠道では世界遺産マークを表示するわけでありますが、それ以外の地域に設置することによりまして、参詣道としての連続性を確保するということ、世界遺産の価値を相対的に高めるということができるのではないかと、こう考えております。したがって大体4km間隔、一里塚に大体設置するというようなこと、それからその間におよそ500m間隔で補助的なサインが表示できるような、そういう形にして連続性を持たせようということを考えているところであります。
(質)設置はいつ頃になるんでしょうか。
(答)まずは先程申し上げたように、このマークを募集して、そしてまずその中からマークを選ばせていただくということです。設置につきましてはまだその後ということになります。
(質)設置は看板のような物を立てるということですか。
(答)ちょっと、イメージを担当から。
(答:政策部)看板のような物かどうかということも、シンボルマークを募集しまして採択された後、どのような物がいいかということをまたコンペ等にかけて募集しますので、今まだどのような形というような、木にするのか、それから材質も分かりませんし、今そこまではまだ分かっておりません。
(質)決定後ということですけれども、年度内ぐらいにはやはり設置されるんでしょうか。
(答:政策部)今年度の終わり頃とそれから来年度の初め頃に、予算の都合もございますので、分けたような形で設置をする予定でございます。まだ具体的にどこまでというのが決まっておりませんので、年度内と来年度をかけてというふうに今考えているところでございます。
(質)連続して歩く人はどのぐらい増えているんでしょうか。
(答:政策部)昨年の9月から11月までのイベントに参加していただいた方では、89名が歩いていただいております。あとは、最近そういう方をよく見かけるという話を聞いておりますが、正確な数字というのは把握しておりません。各所からの私どもへの照会も、それから古道センター等への照会も、連続して歩きたいというお問い合せは、件数はちょっと把握しておりませんが割と多くなっているという事実がございます。
(質)現状はどうなっていますか。増えていますか。参加者というか利用者というか。
(答:政策部)通して歩く方は増えております。
(質)四季を通して、やはりどこが一番多いですか。夏とか?
(答:政策部)やはり秋です。このゴールデンウィークもかなり、伊勢から歩いた方が尾鷲の古道センターに立ち寄られたという話は聞いております。
(質)1年でどれ位の参加者ですか。
(答:政策部)まだちょっと把握しておりません。
(質)若い人たちは来るんですか。
(答:政策部)昨年の参加者で見ますと、大体60代を中心にその前後が全体の大体70%近くになっております。
(質)医師修学資金の件ですが、予算上は55人分だったかと思うのですけれども、面接をして65人全部オーケーということになれば、補正予算などで対応するということになるのでしょうか。
(答)まだ、これから選抜をしていくということになります。私どもは、やはりこれからの三重県の地域医療をしっかり支えていただく、そういう人材を確保していきたいと、こう思っているわけであります。したがいましてその審査の過程では、まずは医師となるための資質を持っているというようなこと、それからやはり三重県の地域医療に従事するという強い意志を併せて持っていただいているかどうか、こういったことを中心に慎重に見極めていきたいと、こう思っているところであります。募集定員を超えて貸与するかどうかということについては、今、面接の結果を十分踏まえて判断をしていこうというふうに考えておりまして、今まだ枠を超えて何人とか、そういう具体的なところまでは決めておりません。
(質)他府県の大学生で、他府県出身者というのは4名いるようですけれども、ちなみにどこの県かということは分かりませんか。
(答)どこの県かということですか。
(質)はい。
(答)今度の65名の出身地を見てまいりますと、三重県の出身の方というのが56名であります。それから愛知県が4名、奈良県が1名、大阪府が2名、東京都が1名、神奈川県が1名、合計65名ということです。
(質)そのうち他府県の大学というのは、何県になるんでしょうか。他府県の大学生で他府県出身者というのは、全く三重とゆかりがないということになると思うのですけど。
(答)そういう方ですか。三重県以外の出身地で、そして三重県以外の大学という方は4名ですね。
(質)その方が、今言った中でどの県かというのは分かりますか。
(答)愛知県4名のうち2名がそうであります。それから東京都と神奈川県それぞれ1名ずつ、というのが他府県の大学でございます。
(質)勤務できる診療科の制限を事実上撤廃する、これはどういうことでしょうか。
(答)担当から説明させます。
(答:健康福祉部)ご説明させていただきます。従来は主にへき地に勤務する内科、外科それから産婦人科、小児科、こういったところで診療科の制限がございました。しかしながら今般は、へき地以外にも県内全域の救急医療等の状況が厳しくなっているということにかんがみまして、そういった診療科の制限を撤廃いたしまして、例えば皮膚科であっても眼科であっても、皮膚科であれば熱傷患者の救急対応、眼科であれば未熟児網膜症の対応等、様々な場面での活躍が考えられますので、診療科の制限を撤廃しているところでございます。しかし美容外科でございますとか、お手元の資料にもございますように救急医療にさほど関連が薄いような診療科については、ちょっと見合わせていただいておりますが、事実上はほとんどの内科系、外科系、脳外科にしても皮膚科にしても眼科にしても、診療科の制限は撤廃してございます。以上でございます。
(質)なぜ、これだけ大幅に増加したというふうに考えますか。
(答)これは、やはりとにかく医師不足にどう効果的に対応できるのか、それを修学資金貸与制度の中でも工夫してみようということで、大幅な、抜本的な改正を行って対応したところでありますけれども、先程申し上げましたように、まずコースとして県内勤務医コースを設けたとか、あるいは返還免除となるための必要勤務年数についても短縮をしたというようなこと、それから先程ご質問がありました診療科の制限、これが事実上撤廃されたということ、こういったことが医学生にとっては将来の自分の目標あるいはそれに対する不安というようなものを払拭もできたのではないかなということは、一つ制度の中身としてあるかと思います。それからもう一方で、とにかくこの広報活動は早く展開した方がいいということで昨年、大改正の中身を決定しましてから、直後から積極的にPRにも努めてきて、全国の大学医学部あるいは有名進学校・予備校、こういった所にまでチラシを配布したり、いろんな都道府県へ取り組みをやってきたところでございまして、こういったいわゆるPRをしっかり力を入れたということも功を奏したのではないかと、こう思っております。
(質)先程、5年生・6年生の申込みがあるという話ですが、5年生・6年生でも返還免除の期間というのは変わらないのですか。
(答:健康福祉部)5年生・6年生であっても勤務年限に変更はございません。全て均一となってございます。
(質)貸与の額自体はその年度内で少なくなりますよね。
(答:健康福祉部)貸与の額は総額は変わりますが、1年ごとに、新入生につきましては入学金相当分を加えて、お手元の資料にございますように150万円程、2年生以降につきましては年間約120万円ちょっとお貸しするということで、毎年度ごと、ですから5年生にとっては今年と来年と2カ年、120万ずつを受け取れるというような制度になってございます。
(質)最近、コンビニの深夜営業規制の問題が出ていますけれども、何かお考えあればお聞かせいただけますでしょうか。
(答)いろいろ、各県においてそれぞれ、これについてどう規制をするかどうかというような議論がされているということでございます。私どもも、この件については、1つは地球温暖化を防止するという環境面からのことも大事であります。併せて、やはりこれについては県民にとりましての利便性ということもございます。それらを勘案して考えていかなければいけないのではないかなと、こういうふうに思っております。具体的に、各県の状況もいろいろ見ているところでありますけれども、いわゆる条例で規制をするというような、そういう形は具体的には検討されていないようでありまして、どちらかと言うと業者・業界に自粛要請をするかどうかというような、そういう形での検討も行われているというふうに伺っているところであります。今の時点ではまだ具体的に検討しているところも少ない状況でございます。三重県といたしましては、もうしばらくそういった状況も見ながら、またこれに対するいろんな意見もいただく中で、今後どうするのかということを検討していきたいと、こう思っております。
(質)四日市の贈収賄で、県に直接関係するところは少ないと思いますが、知事としてこの事件をどういうふうに捉えていらっしゃるんでしょうか。
(答)今捜査が行われているところでありますから、基本的にはその捜査の行方をしっかり見守っていくということだと思います。ただ、こういう事件そのものが起こったということについては大変遺憾なことであると、こう思っているところであります。私どもも、捜査状況を見守りながら、早く解明されていくということを望んでいるところであります。
(質)谷本整形に関連する話なんですが、昨日の議長会見で、保健所長の兼務体制があるというのは県民の負託に応えられないのではないかという話がありましたが、それは解消すべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)私どもの保健所の体制につきましては、保健所の数は8つございますけれども、現在6人の所長で一部兼務をしながら担っているという状況でございます。このことについては、私どもは決して望ましい形だと思っておりませんけれども、根本的にこうなった要因については、医師不足ということが挙げられます。県の保健所の所長は医師でなければならないわけでありまして(※)、そういう意味では退職されたり異動したりというようなことで欠員が生じたことによりまして、こういう状況になっているというところでございます。対応策といたしましては、今後も公衆衛生医師、これを公募していくということ、あるいは三重大学等の関係機関にも依頼を行うというようなことをやっているところであります。ただ、これは三重県だけではなくて全国的にも医師不足の中で、保健所の所長が兼務している所があるということでありますので、厚生労働省の方にも医師派遣依頼、これを行っているところでありまして、医師不足の根本的な解決も含め、国に対してはそういった要請をしていきたいと、こう思っております。
(質)四日市港の汚職の関連なんですけれども、航路で汚職があったということなんですが、中空アクセス全体として元々、津・松阪・四日市・鳥羽で手が挙がっていて津・松阪になったという経緯があると思うんですけれども、中空アクセス全体として松阪もあまりちょっと調子が良くないみたいですけれども、全体的に原油高という理由もあり、なかなかうまくいってないと。その中空アクセス全体のあり方として、知事は現在どのようにお考えかというのをお聞かせください。
(答)基本的には中空が常滑沖にできる時に、三重県としては県民の足、利便性あるいは県へ入り込む方の利便性、こういったことを配慮しながら海上アクセスを確保するというのが当初からの基本であったわけであります。それについてはどういう形でしようか、いろいろ手を挙げ、アクセス誘致を図ろうという動きがある中で、県の方でひとつの条件を決めて、いわゆる3条件という、そういうものを決めて、それに合致する所について開設をするという方針でやってきたところであります。今、アクセスを取り巻く環境状況としては利用客の客数の問題、それ以上に利益を確保しようにも非常に原油高になっている、当初考えていたところからいくと、原油そのものも最初の議論の頃からいきますと2倍、3倍に上がっているというような状況のようであります。なかなか大変だということは推測するところでありますけれども、それぞれのアクセスの航路につきましては、それぞれでしっかり対応をとっていただきたい、そして県民の利便性を確保していただきたいなと、こういうふうに思ってます。
(質)例えば津と松阪だと比較的距離も近いような気もするんですけど、どっちか1本に集約すればもうちょっと採算が取れたのではないかなという気もするんですけれども、これはどのように考えですか。
(答)県が整備すべきことだとは考えておりません。
(質)贈収賄の関係ですけれども、事件そのものが起こったことは遺憾というお話でしたけれども、具体的には率直な感想というか、教えていただけますか。
(答)私、少し事件の中身もよく分からないところであります。したがいまして、一般的な形でああいう贈収賄等の事件が起こるというのはもちろんけしからん話だと、こういうことで、そのこと自体が行政等に対する不信にも結び付くわけでございます。そういった意味で、大変遺憾なことだということを申し上げたところであります。
(質)逮捕された芳野という容疑者が、国交省から出向してきたということがまた若干、ニュース的な価値があるんだと思うんですが、国交省の課長、そうした人が贈収賄の事件の中心人物だったと、そのことに関してはどういうふうに思われますか。
(答)国交省の出向者であれ、そうでない者であれ、やはり公務を司る公務員としてはあるまじきことでありますから、何も区別して申し上げることはないんではないかなと思います。事件のこと、私も詳しく分からない中でありますけれども、これまでの少し経緯を見てましても、驚くほど横着な、驚くほどその公務に携わる者としては心構えができていないような、そういう感じを私自身は持ったところであります。
※法令によると、保健所長は医師でなければならないと定められていますが、医師を配置することが著しく困難であると地方公共団体の長が認めた場合には、医師でない者を所長とすることができる特例規定が設けられています。
( 以 上 )